2013カンヌ受賞作の連載、今回はインドからの事例をご紹介します。
インドでは都市部でも、道路のあちこちが陥没しています。このくぼみはドライバーにとってストレスになることはもちろん、時には大きな事故につながることもあり、問題になっていました。
とはいえ、住民にできることはといえば、行政にクレームを入れることくらいで、くぼみは増える一方。この問題に、みんなが楽しく向き合える場を提供したのが、インドのタイヤメーカー「APOLLO」でした。
APOLLOは、くぼみを捨てられたかわいそうなペットに見立て、ペットの里親を探すようにくぼみを直すというプロジェクトをスタートさせたのです。
そのプロセスはこうです。道路のくぼみを見つけたら携帯電話で写真を撮り、そのくぼみに合った名前を付けてAPOLLOが開設したサイト「ADOPT A POTHOLE PROJECT」に投稿。ソーシャルメディアなどで多く共有されたチャーミングなくぼみを、APOLLOが修繕。修繕したあとの、くぼみを発見して投稿した人の名前が実際につけられるというもの。
この取り組みは最初、首都デリーの近郊グルガーオンで2ヶ月ほど実施され、21のくぼみが修復されました。この参加型の取り組みは新聞などで取り上げられて話題となり、インドの他の街にも広がったそうです。
それまで文句を言うだけで済ませていた問題を、ちょっと参加してみようかなと思わせることで解決に導くアプローチが素晴らしいですね。この事例でのくぼみのように、問題を慈しみの目で見つめてみると、チャーミングな解決が見つかるかもしれませんよ。
カンヌライオンズ受賞作の連載は続きます!引き続きお楽しみに。
(翻訳協力:モリジュンヤ)