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いちばん最近に撮った写真は何だった?一枚の写真から、それぞれの街の物語を紡ぎだすプロジェクト

Last_Photo_NY
(c)Ivan Cash

あなたのカメラロールに残っているもっとも最近の写真は何ですか?昨日のランチ、週末の飲み会…それらはあなたにとって、ありふれた景色かもしれません。でも、敢えてこの質問を街をゆく人々に投げかけ、その結果を作品にしている一人のアーティストがいます。

Ivan Cash(イヴァン・キャッシュさん)は、このプロジェクトをサンフランシスコで始め、その後ロサンゼルスとニューヨークでも行いました。

人々が見せてくれる写真は、庭で咲いたサボテンの花、ビーチで見つけたカニ、残業を信じないガールフレンドに見せるために撮った仕事場での長引くミーティング風景…など、本当にさまざま。まるで小説の一シーンのように、そこには豊かな物語が潜んでいることがわかります。
 
 ニューヨークの男性。「なんとなくだけど、空の写真を撮ってるんだ。もう200枚くらいかな。」 ニューヨークの男性。「なんとなくだけど、空の写真を撮ってるんだ。もう200枚くらいかな」。

「甥っ子の写真さ。母親がキスの仕方を教えら、それからいっつもこんな顔してるんだよね(笑)「甥っ子の写真さ。母親がキスの仕方を教えら、それからいっつもこんな顔してるんだよね(笑)」

イヴァンさんはプロジェクトについて、こう語っています。

中には断られる時もあります。僕たちはシェアするものをとても意図的に選んでるし、みんな「こう見られたい」っていうイメージがありますから。でも僕にとっては普通で、ありふれていて、フィルターのかかっていないものこそ魅力的なんです。

5年前に亡くなった夫の墓の写真。「息子と孫と一緒に行くの。…ただそこで過ごすのが好きなのよ」 5年前に亡くなった夫の墓の写真。「息子と孫と一緒に行くの。…ただそこで過ごすのが好きなのよ」

イヴァンさんが最近取り組んでいるのが、「あなたが最後に送ったメールはどんなもの?」と訪ねて回るプロジェクト。街ごとに3日間を過ごす中で、通りをぶらつき、普通なら出会っていないであろう人々の話を聞き、さまざまなストーリーをコレクションしていくのです。

一枚の写真を通して、ひとつの物語が浮かび上がってきます。僕はいつも、そのリアルな物語に心を奪われるんです。街が違えばまた違う物語があるだろうか?僕の仮説は「きっとある」ですね。

携帯電話やスマートフォンで写真が身近なものになってから、人々は今までになく手軽に、自分の「人生のワンシーン」を切り取りながら過ごしています。そんな素のストーリーを直にシェアすることで、気が付けばネットを介したやりとりばかりになっているいつもとは違う、人とのつながりや街の物語が、生まれてくるかもしれません。

ぜひあなたもお互いの最後に取った写真をきっかけに、誰かと会話をしてみませんか?

(Text:田中寛子)

[via Co.Exist]