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食育にもっとデザインを!「畑からお皿の上まで」のストーリーを見える化する、素敵な食育キット

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「食べ物はどこから来るのかな?」って子どもたちにきいたら、きっと「スーパーから」という答えが返ってくることでしょう。

イギリス・バーミンガム市中心部にある都市農園「Jones Valley Teaching Farm」で働くZoe Burgess(ゾーイ・バージェスさん)は言います。ゾーイさんは、この問いかけを、複雑な食品流通システムについて話をするきっかけとして捕えています。

さまざまな食育プログラムを展開するこの農園では、最近、食育の授業で使うための新しいキットを、農園で働くデザイナーと一緒にデザインしました。これは子どもたちに「食べ物が農場からお皿の上に乗り、最後に生ごみとして捨てられるまで」の段階を追って教えるためのものです。
 
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小学低学年向けの授業では、子どもがお母さんに「食べ物はどこから来るの?」と尋ねる絵本が用意されています。そして次はお楽しみのゲーム!種の特徴を読み上げ、ゲームボードにある野菜とマッチングさせることで、作物の成長について学ぶことができます。

他にもりんごやにんじんなどの食品を、「より魅力的に見せる広告を考えよう!」といったマーケティングのクラスもあり、食を通じた社会との関わりを多角的に学ぶことができます。
 
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また、アメリカ南部の食文化を切り口にシンポジウムや出版などを行う非営利団体サザン・フードウェイ・アライアンスとも提携して、普段子どもたちが気にすることのない食品産業に従事する人々を紹介する仕掛けも。授業の最後に、ある人物の写真付きカードが渡されます。そこにはその人のストーリーが書かれていて、「焼きたてのパンをファーマーズマーケットで売っているあの人」のことや「近所のカキ剥きの名人」について知ることができるのです。

自分たちが口にする物が食卓にやってくるまでの間に、「プライドを持ち一所懸命働いている人々がいる」ということがわかれば、さらにありがたくいただくことができそうですね。
 
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私たちのミッションは、コミュニティをより健康的なものにすることです。私たちが重視しているのは、次世代を教育の力で、より賢く食べ、より健康的に考え、そして、よりよく生きることができるようにすること。

そのために子どもたちが、明確な目的を持ってしっかりとデザインされた教材に触れる機会が必要だと、私たちは強く信じています。

とゾーイさん。現在、高学年の子どもたち向けのプログラムも企画中で、さらに多くの学校で使ってもらえるよう働きかけているところだそうです。
 
「食」は人を良くすること書きますが、食べることは、よりよく生きることと切り離せないもの。彼らの意欲的な取り組みは、日本でも広がっている食育の取り組みに、素敵なヒントとなるかもしれません。
 
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農園を訪れて野菜を育てる子どもたち。子どもたちの健やかな未来も育っています

(Text:田中寛子)
[Via Co.Exist]