お金を一切払わずに、一流シェフのディナーが食べられる…そんな、食いしん坊には夢のようなポップアップレストランが、オーストリアのウィーンに誕生しました。
場所は歴史的な建物に囲まれた石畳の街の一角。シックな内装の店内のテーブル1つ1つには、ピンクや黄色のバラが生けてあり、黒板には、シェフがその日に仕入れた食材から作る”本日のおすすめ”が書かれています。
プロのシェフが腕をふるいます
このレストラン「BIOMAT」の魅力は、その素敵な雰囲気だけではありません。ここの食事をいただくために、なんとお金ではなく生ゴミを持ってくる仕組みなのです!生ゴミ1kgにつき1ユーロ分のクーポンがもらえ、このレストランの食事代として使うことができます。
生ゴミがお金の変わりになるなんてちょっと信じられませんが、なぜそれが可能なのでしょうか?それは、このレストランでは生ゴミが調理するときに使うエネルギーの資源になるから。集まった生ゴミは地域の都市農園に運ばれ、キッチンで使えるバイオガスに変換されるのです。
このレストランは、オーストリアで開催された「ウィーンデザインウィーク」で、1週間限定で開かれました。「BIOMAT」というコンポスト用の袋などをつくるメーカーと、「Vera Wiedermann Designstudio」というテーブルウェアやレストランの空間デザインをするデザインスタジオの共同展示です。
お金を払わずに、今日のディナーをいただきます!
現在日本では、一年間におよそ1000万トンの生ゴミがでています。(環境省資料:「生ごみの分類と発生・処理状況」より)そしてほとんどが、焼却処分され灰となり、埋め立てられています。一方でエネルギーを得るために莫大なお金を使っています。だからこそ生ゴミをそのままエネルギー資源にするというのはとてもスマートな発想。
何よりレストランのお客として行く私たちが、生ゴミをレストランへ渡しそこでできたエネルギーで作った料理をいただくことで、エネルギーへの意識を高めることにもつながりそうですね。
お金は便利なツールですが、時にはそれよりも、物と物、もしくは物とサービスの交換のほうが合理的だったりハッピーな場合もあるんです。あなたの身の回りのサービスが、お金以外のもので得られるとしたら、何と交換してみたいですか?
(Text:小貫 友里)
[via: GOOD]