greenz.jpの連載「暮らしの変人」をともにつくりませんか→

greenz people ロゴ

日本の課題を10年先取りする四国から、未来を描く。「地元のために何かしたい!」という思いに火をつける「四国若者1000人会議」

1415691_10201408241221463_1985281293_n

出身地から離れ、住んだり働きはじめても、心の中のどこかにある故郷のこと。「地元のために何かしたい」と思っている人は多いのでは?

しかし、距離が離れていればいるほど、できることが思い浮かばなかったり、なかなか仲間も見つかりにくいもの。そのうち、せっかくわき上がった地元への想いもしぼんでしまいがち。

そんな遠い地元のために立ち上がり、「1000人集めるイベントをしよう!」と思い立ったのは、香川県出身で株式会社459の真鍋邦大さん。12月8日に渋谷ヒカリエで行われる「四国若者1000人会議」発起人の一人である真鍋さんにお話を聞きました。

四国の未来をみんなで描く

1000人

「四国若者1000人会議」とは、日本の課題を10年先取りする「四国」から、「求めず・頼らず・問わず」を合い言葉に、自分たちの未来は自分たちでつくるための、きっかけの場。

メインプログラムの一つは、四国出身の若者によるプレゼンテーション。夢や想いを話してもらい、プレゼン後は参加者による投票を行います。多くの支援を獲得した人へは、プロジェクトの実現が支援されるのだとか。「”これから”の若い人たちを応援する温度を上げていきたい」と真鍋さんは言います。

もう一つは、四国にI・Uターンした人たちによるパネルディスカッション。起業家や伝統産業の担い手など、各分野で活躍する若手リーダーから参考事例を紹介してもらいます。他にも、巨大巻物に10年後の四国の未来を描く巻物プロジェクトも準備しているとか。

東京にいながら、四国のことを1%でもいいから考えてほしい

真鍋さん
ピンク色のポロシャツを着ている人が真鍋さん

もともと「1000人会議」は、真鍋さんが発案したものではなく、「信州若者1000人会議」に続いたものだそう。

「信州若者1000人会議」のイベント発起人だった「地元カンパニー」代表の児玉くんは大学時代の同期なんです。

児玉くんから「信州若者1000人会議をする」と聞いたとき、単純におもしろそうだと思ったのと、信州単発で終わってしまうのはもったいないし、大きなうねりにしたいと想いました。だからもう「信州若者1000人会議」の話を聞いてすぐくらいから、「四国若者1000人会議」をやるために声をかけて仲間を集めました。

「1000人会議」の最初のフォロワーになった真鍋さん。でも、「四国のこと」を考えるイベントなのに、なぜ渋谷でやるのでしょうか?

僕も昔そうだったけど、東京にきて生活しはじめると、四国とか、地元のことなんて、考えたり触れる機会ってほとんどない。だから四国のイベントを東京の渋谷でやって、1000人も集まったら、生活の中の1%くらいは四国のことを考えるようになるかなって思って。

pon

東京にいる頃から「東京にいるからこそできる地元発信をしよう!」をテーマとした「HOME ISLAND PROJECT」に参加していた眞鍋さんは、香川だけでなく、四国全体を考えるように。

みんな、本当は「なんかやりたい」って心のどこかでは思ってるんだと思うんです。でも、どうやったらいいかわからないし、田舎とかだと特に一人でやるのは恥ずかしいって思う人も多い。

だから、そんなときに「俺がいるからいっしょにやろうよ」って言って、勇気を与えたいと思ったし、1000人っていう人数が集まれば、「はじめの一歩を一緒にやりはじめる人」は、確率的にも出逢いやすいでしょ。

ゆるキャラ

僕自身、これからは“地方”とか“女性の時代”というのがキーワードなんじゃないかと感じて、地元・香川に戻ってきました。日本は高齢化してきていて、時代は変わってきているというのを金融の業界にいて、じわじわ感じていたんですね。

“県民ショー”とか、“ゆるキャラ”という動きも、おもしろかったですね。「地方がくるな」と思いました。

会議室で会議をして、上で決まったものを伝えて、みんなそれに従うという時代は終わるんじゃないかと、「物差し」が多様化しているのを働きながら感じていた真鍋さん。違和感を感じつつ、大きな時代の変化の中に巻き込まれます。

地域で暮らしてみて、わかったこと

大学院を卒業後、リーマン・ブラザーズで働き始めた眞鍋さん。そのリーマン・ブラザーズが倒産した“リーマンショック”を機に、地域に目を向けるようになったと言います。

会社が潰れたあと、アメリカに数ヶ月行くことになったのですが、渡米前に一ヶ月間の空白の時間ができたんです。十何年ぶりに実家に帰って、「暮らす」ことをして、自分の考えが大きく変わりました。

多くのマスメディアは「地方は疲弊している」と言っていたし、そう思っていたけど、違った。

東京にいるときには、駅一つ分の区間なのに、座るために電車の席を奪い合い、席に座れば、疲れきった表情で携帯を触る人たちをよく目にしていましたが、地元・香川県で出逢った人たちは、イキイキと「暮らし」を営んでいるのを見て、「次の仕事は、地域での生き方とか新しい暮らし方を見せること・地方への流れを示すこと」にしようと思ったそう。

働いていた当時は、自分が地域おこしを仕事にするなんて考えてなかったし、東京に出てきてからは、地元に帰る気もなかった。「このまま東京にいるんだろうな」と、なんとなく思って働いていました。でも、別に地元が嫌いなわけではなく、むしろ好きだった。

リーマンブラザーズ
リーマンブラザーズで働いていたときの様子

真鍋さんのように「自分の勤めていた会社が倒産する」というような大きなきっかけがあればまだしも、そうではない人に、地方のことを考えてもらうことは難しいかもしれません。

人は論理じゃ動かないって、最近思っていて。インターネットが発達してきたり、仕事も地方にあるし、すぐに東京に行こうと思えば行けるくらい便利な世の中になったのに、“なんとなく”東京にいる人って多いでしょ。

そのことを悪いとは思っていなくて。逆に「じゃぁ俺も」ってカレーとかビール頼むみたいに、地域で生活する人が増えるようにしたいと思ってます。

準備中
四国若者1000人会議準備の様子

四国出身の人も、これから自分の地域で「何か」を仕掛けたいと思っている人も気になる「四国若者1000人会議」。25歳以下の学生の方は参加費無料とのことなので、長期休暇を前に「地元のこと」を考えたい若者にもおすすめのイベントです。

「四国のために何かしたい」「仲間を見つけたい」「地元のためにオモシロいことをしたい」と思っている方、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。