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ポリ袋がライフジャケットに!身近なもので救命道具をつくるデザインプロジェクト「THAI THAI DAIJOBU!」

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子どもたちがしがみついているモノ、何だと思いますか?実はこれは救命用具なのです。しかも、何百本ものペットボトルを、魚をつかまえる網でしばってできています!

救命用具といえば、浮き輪やボート、ライフジャケットを思い浮かべる方が多いかもしれません。でも、これらは多くの場合、災害時にすぐ手元にはない場合もあります。「そんなときは、救援を待つしか方法はないの?」と 不安を持つ方も多いのではないでしょうか。

その不安に応えるように、タイで活動している「Design for Disasters」は、自分で命を守れるよう、日用品を活かした洪水への対策術を紹介する「Thai Thai Daijobu」という取り組みを広めています。

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「Design for Disasters」は、デザインを通して、「災害はいつも私たちの身近にある」ということを人々に気付かせ、みんなで備えられるように知識・情報を共有する場をつくっています。

代表のVipavee Kunavichayanont(以下、ウィパーウィーさん)はもともとアートと建築を学んでました。しかし2004年の津波を受け、タイが見舞われる自然災害の恐怖を知り、大学で災害マネジメントを学び始めます。そして、「何とかデザイナーやアーティストの力で、災害に対する発想ゆたかな解決策を生み出せないか」との想いから、「Design for Disasters」を始めました。

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ウィパーウィーさん

さまざまな視点から災害にアプローチしている「Design for Disasters」の中でも、特に「災害が起こったときに私たち一人ひとりが何をできるのか」を問いかけるのが、この「Thai Thai Daijobu」です。

タイでは2010年に大規模な洪水が起こりました。特に世界遺産にも認定されているアユタヤ地方では、低い丘地にある大きな河に近接しているなどの理由から、深刻な被害を受けたのです。この現状に立ち向かうべく、ウィパーウィーさんたちは、「外からの助けを期待する前に、まず自分自身を救う方法を教えなければいけない」と動き出しました。

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ポリ袋を使ったライフジャケット

そこで思いついたのが、誰もが、どこでも手に入るモノを使い、すぐに作ることのできる救命用具。「Design for Disasters」のメンバーがつくり方や使い方をレクチャーする活動もしているので、誰でも簡単につくることができます。

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自然災害そのものを避けることはできません。しかし、その近い未来のため一人ひとりが自分で意識的に備え、アイデアや知識をみんなで共有することはできるはず。

「THAI THAI DAIJOBU!」のように「日用品でいかに命を救えるのか?」という視点で眺めると、見慣れた景色も少し変わって見えてくるかもしれませんね。

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「何とかして人の力になりたい」という想いが実際に行動につながっているからこそ、そのアクションを目の当たりにした人がまたその想いをつなげていく…その連鎖によって「Design for Disasters」は、どんどん広がりを見せています。

10月24日(木)まで神戸KIITOで開催中の「EARTH MANUAL PROJECT展」では、実際に「THAI THAI DAIJOBU!」の展示を見ることもできます。東日本大震災から2年半、いま一度向き合ってみてはいかがでしょうか?

(Text:川地真史)
[via Your Ait Story, BK Magazine, Design for Disasters]