ひどい暑さが続いた今年の夏。天気予報で予想気温を見て、うんざりすることが多かったのではないでしょうか。季節は秋になり、やがて冬を迎えます。夏が暑かったといっても、冬あったかくなるとは限りません。きっと骨身にしみるほどの寒さとなる日もあるでしょう。冬の寒さは、ホームレスの人たちにとっては致命的です。
カンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバル2013受賞作を紹介する連載、今回は冬にホームレスへの支援を訴えた取り組みをご紹介します。
ヨーロッパの冬は厳しく、ホームレスのための避難用シェルターはどこもすぐにいっぱいに。そのため、たくさんのホームレスの人たちは外で眠らなければならず、凍死のリスクにさらされています。そんな窮状を伝えるため実施されたのが「DAYS OF HOPE」キャンペーンです。
「明日は寒くなるのかな、雪は降るのかな」。そんなことを思いながら天気予報を見ていると、いつものキャスターではない人が…。明日の天気を伝えるのは、なんとホームレスの人。ふだんの生活でじっくり見ることも話をすることも少ないホームレスの人が、カメラ目線で話す姿は視聴者に大きな驚きを与えました。
寒空のもと路上で生活する人たちの窮状に気づき、DAYS OF HOPEのウェブサイトに行くと、ホームレスたちのプロフィールを見ることができ、寄付もできるような仕組みに。
この天気予報は21人のホームレスの協力のもと、ドイツ、スイス、ポーランド、セルビア、ルーマニア、ロシアなどの国々の国営放送局でオンエア。1日あたり200万人もの視聴者が生でこの放送を見たほか、その模様は報道やソーシャルメディアを通じて世界中に広まっていきました。
結果として、ホームレス支援のためにたくさんの寄付が集まり、ホームレスたちへの住居の提供や仕事のオファーなども舞い込むことに。多くの人の関心ごとである「明日の天気」に、関心が持たれていないホームレスの問題を結びつけることでできた、驚きのブレイクスルーですね。
カンヌライオンズ受賞作の連載はまだまだ続きます!引き続きお楽しみに。
(翻訳協力:モリジュンヤ)