みなさんは、一人でレストランの食事を楽しんだことはありますか?一人で行くにはやっぱり勇気がいるし、他のお客さんの視線が気になるという方も少なくないかもしれません。そんなニッチな悩みを解決してくれるレストランがオランダ・アムステルダムに登場し、話題を呼んでいます。
今年6月に2日間限定でオープンした「Eenmaal」は、世界初を謳っているおひとりさま専用ポップアップ・レストラン。
店内はいたってシンプルで、お客様用のテーブルと椅子が並んでいるだけ。食事に必要のないものは一切置かれていません。店内のテーブルは黒い長方形で統一されており、お客様同士の視線が合わないように配置されています。これなら、人の目を気にせずに、ゆっくりと食事ができそうですね。
テーブルの上には、ナイフ・フォーク、グラスなど、食事に必要な最小限度のものが置かれています。
でもなぜ、ひとり専用レストランのオープンがオランダで話題となっているのでしょうか。その背景には、欧米の”ひとり”に対するマイナスイメージがありました。
実は欧米では、”人前でひとりで食事をすることはタブーである”という社会観念があるのです。そのため、一人でレストランに入ることをためらう人が多く、レストラン側もひとりで来店されるお客様への配慮を怠ってきました。このようなマイナスイメージを払拭すべく、「Eenmaal」のコンセプトが誕生したのです。
このレストランのプロデュースを手がけたオランダのソーシャルデザイナーMarina van Goor(マリーナさん)はこう言います。
「Eenmaal」は、公共空間を友だちに会うための場所としてだけではなく、一人でも快適にすごせる場所にするための一つのアイデアなのです。
2日間限定のオープンでしたが、利用者からの熱い要望があれば、再開もありえるそうですよ。
「Eenmaal」のモットー:「ひとりで来て、ひとりで席に着き、ひとりで食事をする」
期間限定の”ポップアップ”のメリットは、リスクを抑えながらお店を出せることですが、「Eenmaal」のように社会に対して問題提起ができるということもその魅力なのかもしれません。みなさんも今一度自分の食生活を見直してみてはいかがですか?
(Text:細貝太伊朗)
[via psfk]