業界に先駆けて着古した製品を回収し原材料に再生する「つなげる糸リサイクルプログラム(Common Threads Garment Recycling Program)」を2005年9月から実施し、2011年には自社製品のリユースを推進するマーケットプレイスを開設するなど、企業の社会的責任を忠実に果たし、環境に配慮した施策に取り組み続けている、米アウトドアアパレルメーカー「パタゴニア」が、ベンチャーキャピタル事業への参入を明らかにしました。
「$20 Million and Change」と呼ばれるこの事業は、パタゴニアグループの体制変更とともに立ち上げられたもの。このほど、パタゴニアは、持株会社「パタゴニア・ワークス」を新設し、この持株会社のもとに、従来のパタゴニアと、2013年中に立ち上げ予定の食品レーベル「パタゴニア・プロビジョンズ」、サーフボード製造を手がける「Fletcher Chouinard Designs」らが子会社として位置づけられることになりました。このベンチャーキャピタル事業も「パタゴニア・ワークス」の子会社として設立されています。
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パタゴニアは、近年、業績が好調で、過去5年間で、会社規模が倍となり、収益は3倍にまで伸びてきました。今回のベンチャーキャピタル事業の参入は、ここ数年の好業績によって得られた余剰資金を有効活用し、先進的な環境対策に取り組む新興企業をサポートしようという狙いがあるとみられています。
「$20 Million and Change」は、投資先に50万ドル〜500万ドル(約5,000万円〜5億円)の範囲で出資する予定。また、資金供与のみならず、経営面などから助言を行ったり、パタゴニアの既存の販売ネットワークを活用させるなど、様々な手段を通じて、投資先をサポートする方針です。
パタゴニアのベンチャーキャピタル事業への参入は、早くも業界の内外で注目を集めています。2013年5月6日にこの方針を発表して以来、企業やベンチャーキャピタルファンド、投資グループなどからの問い合わせが相次いでいるとか。とはいえ、ベンチャーキャピタル事業の分野では、パタゴニアは“新人”であり、確固たる前例はありません。パタゴニアの前COO(最高執行責任者)兼CFO(最高財務責任者)で「パタゴニア・ワークス」の会長兼CEO(最高経営責任者)を務めるRose Marcario氏は、「この先2年間で3〜5社以上の投資に対応できるか、まだわからない」と述べています。
1965年の創業以来、地球環境と社会への責任のもとに、持続可能な事業を展開してきたパタゴニア。これまでの経験・ノウハウを、ベンチャーキャピタル事業という新しいフィールドでどのように活かし、発展させていくのか、パタゴニアの新たなチャレンジに要注目です。
[via Co.EXIST]