以前紹介した、“世界のEAST=大阪”からデザインの可能性を追究するイベント「DESIGNEAST03」(前編)では、”状況との対話”をテーマに2012年9月15日〜17日開催されたイベント「DESIGNEAST03」の各コーナーをダイジェストでお届けしましたが、こちらはその後編。「DESINEAST03」を締めくくる最後のトークイベントとして、グリーンズ編集長YOSH(兼松佳宏)が登壇しました。
YOSH編集長は、「現状を変える」だけでなく「変化が起こった後の新しい風景を示す」ことこそグリーンズの役割と位置づけ、おばあちゃんにマフラーを編んでもらえるサービス「Golden Hook」や制限速度を守れば宝くじに当たるというスウェーデンのユニークな交通ルール、丸の内朝大学発マイプロジェクト「東京シャボン玉倶楽部」、ご近所づきあいまでデザインする建築プロジェクト「いえつく」といった人気記事を引用しながら、プラス思考への転換によって生まれたアイデアや、行動のデザインを実現した例を紹介。
それぞれが身の回りに存在する社会的課題を”自分ごと”として受け止め、実際にアクションすることによって、その解決につなげることの大切さを説きました。
このトークイベントには、ディスカッションパートナーを務めた、即興パフォーマンス集団「contact Gonzo」主宰者・塚原悠也氏のほか、「DESIGNEAST03」の実行委員会メンバーも飛び入り参加。グリーンズが目指す世界観と、デザイナー・クリエイター・アーティストらの創作活動の源泉とを対比させながら、議論が展開されました。
中でも、私が一番興味深く思ったのは、社会的課題の解決プロセスと建築やデザイン・アートの創作プロセスには意外と共通点が多い、という点。
社会的課題の解決には、万能な理論やフレームワークは存在せず、”自分なりのルール”を信じ、ときに疑いながら、試行錯誤を繰り返すことによって、次第に課題解決へと導かれていくものですが、創作プロセスも同様に、試行錯誤を通じてカラダ全体で新しい”知”を体得し、これが様々な創作活動の源泉となることが多いのだとか。
つまり、想像力を研ぎすましながら”自分ごと”として物事に向き合い、試行錯誤するプロセスそのものが、社会的課題の解決であり、創作活動であるともいえるでしょう。
さらに議論は、”集合知”のあり方にまで展開。”自分ごと”として成し遂げられた数々の成功や失敗が蓄積され、これらが分類され、比較され、検証されることによって、個々のアクションやアイデアがセオリー(理論)にまで昇華されるのではないか、という見解が示されていました。
「DESIGNEAST03」がテーマとして掲げていた”状況との対話”とは、「状況をどう捉え、何をなそうとするか?」という自分自身との対話なのかもしれません。このトークイベントでの一連の議論は、「自分は何をどう捉え、どんなアクションにつなげていきたいか?」という問いを自分に投げかけるきっかけを与えてくれた気がします。
DESIGNEAST03の前編はこちらをどうぞ。
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