大阪は、たこ焼きやお好み焼きといった個性的な食文化や、上方落語・漫才でおなじみの芸能など、独自の文化が根付いている地域。日本で東京に次ぐ第二の都市であることから、建築・デザインなどの分野で活躍する人々も少なくありませんが、東京と比べ、国際的な認知度が高いとはいえないのが現状です。そこで、「世界のデザインの中心地・欧州のはるか東に位置する大阪から、グローバル・スタンダードなデザインを生み出そう」と立ち上げられた年次デザインイベントが「DESIGNEAST」です。
「DESIGNEAST」は、プロダクト・空間デザイナーの柳原照弘氏をはじめ、大阪を拠点に活動する建築家・リサーチャー・編集者らによって、2009年に創設されました。2012年度「DESIGNEAST03」は、”状況との対話”をテーマに掲げ、名村造船所跡地・クリエイティブセンター大阪にて、2012年9月15日〜17日の3日間にわたって開催。主催者の発表によると、約2,500名の人々が来場したそうです。
デザイン系のイベントというと、プロダクトやアート作品が所狭しと陳列され、参加者はこれを一方的に鑑賞するという形式が一般的ですが、「DESIGNEAST03」は、木工・衣服・食という身近なテーマをも網羅し、参加者自身が”デザイン”を体感できる仕掛けになっているのが特徴。また、デザインを広義に捉え、デザイナーのみならず、建築家・学者・アーティスト・編集者など、幅広い分野で活躍するリーダーたちが集まり、それぞれの言葉や作品、パフォーマンスなどを通じて、”デザイン”を語る場ともなっています。
たとえば、ワークショップフロアでは、デザイナーが設計した図面と材料を購入し、その場で椅子などを自作することができます。ノコギリで木材を切ったり、トンカチで釘を打ったり、楽しみながらものづくりに取り組む参加者の人々の姿が印象的でした。
季節の野菜・果物、手作り石けんなどが販売されているマーケットスペース「FANTASTIC MARKET」も、この期間限定で出展。一般の流通からは手に入りづらい産地直送の新鮮な野菜・果物やこだわりのプロダクトも目を引きましたが、商品を通じてお店とお客さんがより近い距離でコミュニケーションする場としても、意義深い空間だと感じました。
食堂スペースでは、「FANTASTIC MARKET」の食材を使用したオリジナルメニューを提供。イベントの合間に、休憩がてら食事を楽しむ人々が多く見られました。
もちろん、デザインイベントならではのエキシビションとして、建築家・中村竜治氏の作品を展示。繊細な雰囲気があふれるベンチ「water lily」や、段ボールと木材で作った椅子「cardboard and wood chair」などの作品を、間近で鑑賞することができました。
建築家・デザイナー・編集者・パフォーマー・アーティストなど、様々なジャンルで活躍するリーダーたちがリレー式に次々と登壇するトークイベントは、”デザイン”の意義や役割を多角な観点から理解する上で、とても貴重な場。多くの参加者が真剣な表情で登壇者の話に耳を傾けていました。
そして、「DESIGNEAST03」を締めくくる最後のトークイベントには、いよいよ、グリーンズ編集長のYOSHが登壇!詳しくは、後編でたっぷりご紹介しますので、お楽しみに〜。