Some rights reserved by TEDxAmericasFinestCity
9月となり、季節は次第に秋になってきました。紅葉のシーズンと同時に、読書や体育を満喫するのにいい季節です。
そうした中、世界的なカンファレンスであるTEDxが、日本でもこの秋にいくつか開催されます。TEDxとは、”Idea worth spreding”の理念のもとに、それぞれの地域やコンセプトをもとに世界に広めるべきアイディアやアクションをおこしている人をゲストによび、18分という短い時間の中でプレゼンテーションするイベントです。
世界規模で広がっているTEDx、日本では9月に京都ではじめておこなわれるTEDxKyoto、10月には世界銀行主催で震災や防災をといったトピックをもとにしたTEDxSendai、11月には日本のアイディアや世界へと羽ばたくアクションの”種”を発信するTEDxSeedsが、それぞれ開催されます。
そうした中、9月16日に京都で開催されるTEDxKyotoについて、紹介したいと思います。
京都から世界にアイディアを発信する
TEDxKyotoは、TEDの理念である”Idea worth spreding”に共鳴した立命館大学で教鞭をとるJay Klaphakeさんが2011年に設立。ほどなくして株式会社はてなの創始者であり代表取締役である近藤淳也さんが共同創始者として参加しました。
もともとTEDの大ファンでもあったJayさん。学生時代には法学を研究しロースクールにも通うなどしていました。その後来日して、京都の大学で国際法と政治学、交渉学、法律英語などを教えています。
Jayさんは常に、よりよい社会をつくっていきたい、そのための活動をしていきたいという考えのもとに自分の住んでいる地域を大切にし、その地域がもつ可能性を十分に生かす状態にするための地域貢献をおこないたい、という思いがありました。そこで、TEDxのライセンスを取得し、京都の魅力や京都という土地がもつ素晴らしさを世界に発信していきたいという思いから、TEDxKyotoを設立したい、という考えへと至りました。
その後、京都に拠点をもつ株式会社はてなの近藤淳也さんを紹介してもらい、Jayさんと近藤さんは、同じTEDの理念に共感している者同士、そして京都という地域を盛り上げ、京都を含む関西をこれまで以上の大きなグローバルな意識をつくりあげたい、という思いから、TEDxKyotoは動き出しました。
TEDxKyoto Change を通じて生まれた結束感
9月の開催にあたって、大きな転換点がありました。それは、4月におこなわれたTEDxChangeのパブリックビューイングを京都でおこなったことでした。
「京都でTEDxを開催する」という大きな目標を掲げ、2月の決起集会には運営として参加したいと募ったメンバー約80名近くが集まりました。しかし、多くのスタッフはTEDのイベントに関わったことがないメンバーの集まり。参加した人たちそれぞれが試行錯誤をしながら、どうやってTEDxKyotoをつくっていけばいいか模索する日が続いていました。
その後、メンバーたちはTEDとは、TEDxとは、それらを踏まえてTEDxKyotoはどうあるべきかということを議論し、京都でどういったTEDxができるのか、京都が発信できる魅力やアイディアとは、TEDを知らない人たちにどう伝えていけばいいのか、ということを毎週のように議論してきました。
はじめての開催、はじめての人たち同士によるコミュニケーションをどうとっていくか。前提としてのTEDに関する知識や経験を互いに埋めていくために、チーム内をコミュニティとして機能させ、TEDについて語ったり、自分たちがどう進めていきたいのかといったことを話す場を積極的にもうけ、チーム内の結束を強めていってきました。
そうした中、4月に行われたTEDxKyoto Changeの開催。TEDxChangeは、マイクロソフトの創始者であるビル & メリンダ・ゲイツ 財団(Bill & Melinda Gates Foundation.)によって創設されたひとつの TEDx イベントで、「ワクチン、ポリオ、マラリア、HIV/AIDS、 妊産婦・新生児・乳幼児の保健、そして農業開発などといった世界的な 福祉 / 環境問題」についてのトピックを扱うカンファレンスです。
このTEDxChangeの様子を、9月16日に開催するTEDxKyotoのプレイベントとしてTEDxChange のベルリン会場の映像を上映し、日本ローカルスピーカー 3 名によるプレゼンテーションを行うTEDxKyotoChangeという企画をおこないました。
結果は大きな盛り上がりをみせ、TEDxKyotoに関わるスタッフとしても、9月に対する大きな手応えを感じるイベントとなりました。150名を超える参加者がイベントには集まり、また、成功体験を積んだスタッフらは大きな自信をもち、自分たちの手で京都をもっと盛り上げたい、京都から世界に発信していきたい、という思いがさらに高まるきっかけとなりました。
TEDxKyotoのスタッフは、京都に住んでいる人たちが中心になっています。他にも、京都の魅力を感じ東京や地方から京都に移り住んだ人、京都という求心力に集まった、思いをもった人たちが中心になってTEDxKyotoを作り上げています。だからこそ、京都というもののアイデンティティを感じ、そうした思いをもっと強く発信していきたい、という思いがそこにはあるのだと思います。
「Power of Ideas」を京都から。そしてさらなる発展へ
今年が第1回となるTEDxKyoto。今年のテーマは「Power of Ideas」。TEDがもつ理念をもとに、アイディアがもつ力を感じる日にしたい、という思いがそこにはあります。
そして、イベントの各セッションをつなげる共通のテーマには「Power of Kyoto (京都の力)」のセッションにて京都の人々を取りあげ、別の「Ideas Worth Doing(実践すべきアイデア)」のセッションでは、自分たちの周囲を変えるためのアイデアを実現したコミュニティーの活動や、ボランティアグループを紹介するなど、TEDの理念をベースに、アイディアの共有をはかる構成にしています。
また、もう一つのテーマが「伝統と革新」。京都という土地柄でもある長い歴史と豊かな伝統文化をもとにしつつも、学生や海外からの有識者や留学生、アートやデザインといった芸術の分野における京都の魅力もっと世界に発信していきたい、という思いがそこにはあります。
また、カンファレンスの舞台設定も、「枯山水」をベースとしたシンプルかつそこからアイディアや発想が生み出されるようなしつらえにしています。長い歴史と伝統がもつ魅力と、文化や先端技術といった革新とが長く生み出されてきた土地である京都から、そして、京都だからこそ世界の最先端であるTEDxをおこなうことの意味は大きいと思います。
9月16日におこなわれるTEDxKyoto。Jayさんは、9月のカンファレンス以外にも、今後はTEDxKyotoだけにかかわらず様々な分野、業種、世代などを超えたハブとなることを目指しています。年に一回のTEDxKyotoカンファレンス以外にも、ある特定のトピックに絞ったワークショップなどの企画や、TEDxKyotoから派生してTEDxKyoto@Youth, TEDxKyoto@Teachersといったものを展開していく構想を持っています。
またこれらを通じ、学生や社会人という枠を越え、新たな世代間共創を生み出す場として機能させ、新しいコラボレーションをつくりだす土壌を京都から、関西から、そして日本全体へと発信していくことを考えています。
歴史と伝統が入り交じる京都から、世界に最先端のアイディアのシェアやアクションをおこそうとしているTEDxKyoto。9月16日のカンファレンスは、その大きな一歩を踏み出す胎動を感じる日になるに違いないと思います。
TEDxについて調べてみよう。