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メンタルヘルスケアへのハードルを低く!その架け橋として、新しい仕組みを生み出す「Piece to Peace Project」 [マイプロSHOWCASE]

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心の健康維持・管理をすることをさす”メンタルヘルスケア”。この言葉を聞いて、「自分には関係ない」と思う方も多いかもしれません。

しかし昨年2011年の全国の自殺者の数は30,651人。14年連続で3万人を超え、自殺者数の多さは日本の大きな課題として存在しています。そして、自殺の原因として大きく挙げられるのが心の病なのです。

心の病は誰がいつ発症してもおかしくなく、誰でもなりうるもの。とはいえ決して自分と関係のないものではないにも関わらず、まだまだアクセスするハードルが高いのがメンタルヘルスケアの現状です。

そんなメンタルヘルスケアの分野で、より多くの人にサービスを提供できるように”架け橋”として活動しているのが、今回ご紹介する「Piece to Peace Project」です。

Piece to Peace Projectとは?

「Piece(かけら)を集めてPeace(平和)へつなぐ」という願いが込められた「Piece to Peace Project」では、”治すカウンセリング”をモットーに、(1)クオリティの高い効果的なメンタルヘルスサービスを提供し続けること、(2)より多くの方々に、より効果的な心理カウンセリングの情報を、よりわかりやすい形でお伝えしていくこと、(3)心の仕事に携わるプロの方々やそのフィールドを志す方達とのネットワークを国際的レベルで広げていくこと、の3つをミッションとして掲げています。

「心理カウンセリングサービス」はもちろん、人を育てる「心理カウンセラー養成講座」やお母さんのため「心を育てる幼児教育プログラム」をはじめ、企業内のメンタルヘルスケアを担う「従業員支援プログラム」や本格的な留学を目指す方達を応援する「心理学留学サポートプログラム」など、今までに無かったメンタルヘルスケアの新しい流れをつくり出そうとしているのです。

Piece to Peace Projectをはじめたきっかけ

この「Piece to Peace Project」を創設したのが、今回お話を伺った河瀬さやかさん。もともとは日本の大学で教育を学んでいた河瀬さんが、なぜ心理学の世界に興味をもったのでしょうか。

kawase
河瀬さやかさん

大学1年生の頃、何日も涙がとまらないほど落ち込むことがありました。当時はインターネットも普及していなかったので電話帳で調べてみたんですが、カウンセラーや臨床心理士がすごく少ないことに気づきました。その後、独学でユングやフロイトを読むうちに心理学に興味を持ち、心理学の研究が進んでいるアメリカの大学で学ぶことを決めました。

自身のパニック障害を乗り越え、アメリカで心理学を学び資格を取得した河瀬さんは、アメリカ・ロサンゼルスでクリニックを開業します。そして5年ほど前から日本におけるメンタルヘルスケアを考え始めるようになりました。

開業当時はアメリカの方が多かったんですが、気づけば9割ぐらいが日本の方になっていました。主に駐在している方やそのお子さんのカウンセリングです。

そこで、気になったのが不登校になる日本人のお子さんの多さ。アメリカ人で学校に行かない生徒は、ほとんどがいわゆる不良と呼ばれる子たちなのですが、日本人の不登校のお子さんの状況はすごく複雑だったんです。そこで自然と日本の文化や社会を考慮せざるを得なくなったんです。

10人なら10,000人にサービスを提供できる。

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日本のメンタルヘルスケアについて考え始めていた河瀬さんが、実際に日本でアクションを起こしたきっかけは、ご自身の妊娠でした。

私は子どもが生まれる日まで仕事をしていたのですが、妊娠をして、段々と体が思い通りにならなくなる中で、カウンセリングという仕事がいかに脆いものなのか気付かされました。当たり前ですが、もし私がいなくなったら、サービスが止まってしまうわけです。そこで私がいなくても回る仕組みをつくろうと決意しました。

1人だったら一生のうち1,000人にサービスを提供できるかもしれない。けれど、ノウハウや豊富な専門知識を持った人が10人いれば、10,000人にサービスが提供できる。メンタルヘルスケアを必要としている人のニーズにより幅広く対応するために、ネットワークを広げたり、人を育てる必要があると思ったんです。

こうして、心理学先進国のアメリカで得た最新の知識や経験、広いネットワークなどを、日本のヘンタルヘルスケアの分野で生かしていきたいという思いから、河瀬さんは「Piece to Peace Project」に取り組み始めました。

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現在特に力を入れていくのが、専門的な知識と経験をもったスーパーバイザーの育成とお母さんのための心の教育プログラムです。実は河瀬さん自身2歳半のお子さんの育児中。その環境をいかして、今まで机上の知識だった児童心理などの理論を実践しているのです。

アメリカでは広く知られている赤ちゃんの夜泣き・ぐずりを止める実践的なテクニックや、行動に問題のあるお子さんと接するための母親へのコーチングの手法など、さまざまなプログラムがあります。自分も実感できた、親にも子どもにもプラスの効果を生むプログラムをつくってゆきたいですね。

メンタルヘルスケアに対する社会的な壁をなくしたい

一度カウンセリングに来ると、ほとんどの方はよりいい状態で帰っていくほど、メンタルヘルスケアの高い効果を実感している河瀬さん。しかし、冒頭のように「自分には関係ない」と思う人も少なくありません。だからこそ、河瀬さんにとっては「社会的な壁をなくすこと」が最終ゴールなのです。

単純においしいものを見つけたら、「食べてみて!」って、周りに勧めたくなりますよね。もしかしたら嫌がる人もいるかもしれないけど、大半のひとはよさをわかってもらえる。

メンタルヘルスケアでも、いいサービスを提供して、その人がいい状態になったら、周りの人に勧めてくれるかもしれない。そうしたら、メンタルヘルスケアにアクセスしやすくなって、徐々に社会の壁も薄くなっていくと思うんです。

私は本当の強さとは、何かあった時に周りの家族や友だちを頼ったり、助けを求めることだと思います。そうすれば再び立ち上がることができます。少しでも悩みや葛藤が生まれた時に、早い時点でメンタルヘルスケアに出会えるような情報提供をしてゆきたいですね。

何かに行き詰まったらまずは調べてみる。話をしてみる。頼ってみる。その一歩を踏み出すための一助として、「Piece to Peace Project」は大きな役割をますます果たしていくのではないでしょうか?

河瀬さんの言う”本当の強さ”を備えた人が、もっともっと増えていくといいですね。

(Text:高橋明日香)

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