去る8/27-28、東京ウィメンズプラザで開催された”VISIONS”。豪傑と学ぶ2日間~新しい日本を創る人を全国に広げます~と題されたフォーラムの基調講演が、27日、熊野英介氏(アミタホールディング㈱代表取締役会長兼社長)によって行われました。
今必要なのは「接続可能な文明の再構築」です。弊社は新しい価値、新しい事業を視野に、自然資本と人間的関係の増加に資する事業を行うことを株主総会で発表し、創意を得ました。大事なのはビジョンの共有です。事業家とは社会のニーズに応えるものです。
そもそも、社会的進化を遂げた動物が人類ですが、数年前より連続で日本は毎年3万人の自殺者が出ています。人災国家です。震災後の写真は決して過去のことではなく、近代が壊れたというのは未来にも言えることだと私は思っています。
目の前で困っている人よりもマニュアルを作ることを優先する、被災地の人と連帯、共感ができない。以前より日本は、衣食住足りて精神的飢餓に陥っています。死は誰にでも訪れます。これでいいのでしょうか。生命をつなぐとはどういうことなのでしょうか。
この混沌は日本だけではなく、世界で加速しています。
増加する中産階級は、膨張する消費市場を生み出していますし、超少子化・超高齢化は縮む所有欲を。枯渇していく資源、具体的には、石油は富士山を入れ物に見立てると8分の1しかありません。こういったエネルギー、食糧、環境の悪化(20年後は気温がプラス2度、高齢化も進みます。)など制約条件下における未来は、縮む希望です。
社会的に進化した我々は、飢餓貧困は克服したけれども、人間性を劣化させているのです。今まさに、足元をしっかり見直す必要があります。社会的価値が大きいもの、言うならば、経済競争から社会競争へ、価格競争から価値競争に移ることです。
前述のように制約条件下の時代です。今、代わりとなる資源は、丁寧に扱えば増加する、人間関係資本と自然資本なのです。現在の会社の資産は、土地、建物、お金です。人は今経費なのです。経費は少ないほどよいです。しかしながら、人間は経費ではありませんし、人生を時間で切り売りする存在ではないのです。
それでは次の近代モデルを作るためにどうすればよいのでしょうか。
②私有財産を、自らの意思を持って社会資本に投資することです。拡大するSRI市場(社会責任投資)の中で、今の日本は規模が小さい。どう意思を持って資産を使うか。意味のある満足できる使い方をするかなのです。
③物的消費、サービス消費から、貢献消費、貢献時間所有へ移行することです。意識と行動が変わるとき、時代が変わります。新しい価値を定着するには、もう駄目だという意識、新しい資本が根底にあります。
カンパニー、仲間は資本とする考え方。会社を社中に原点に戻る。血縁、地縁。職縁といったものを金銭より多くしないと幸せになれないのです。
文明の再構築とは、欲望の商品化ではなく、社会的商品を作ることです。事業家は営利・非営利に関係なく新しい形を作るのです。これから必要なのは、社会的経済人です。個人が市民革命でやっとつかんだ私有財産を投下し、自分の意思を持って社会参画できる商品をたくさんつくる。そして社会的企業家は連帯する。時代に向かって協力しあうことです。
以上、熊野氏の講演で一番心に残ったのは今の状況、将来の状況の危機感と、そして、このままじゃいけないという思いを強くしたことです。この思いがうねりとなって、具体的に社会的貢献の大きな事業の源、行動の源となっていくのですね。
プロジェクトライター:出羽愛美
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