\新着求人/地域の生業、伝統、文化を未来につなぎたいひと、この指とまれ!@ココホレジャパン

greenz people ロゴ

【VISIONSレポート】「本気の有機農業で、年収9,000万円!」古代米浦部農園の浦部真弓さんが語る、これからの農業の話

VISIONS~豪傑と学ぶ2日間。27日の浦部真弓氏(㈲古代米浦部農園取締役)によるレクチャー、『本気の有機農業で、年収9,000万円!』のレポートです。

真弓氏はもともと夫婦ともに東京都職員でいらっしゃいました。時代は高度成長期、農業は衰退期。身体を壊さなければ農家は無かったとのこと。

真弓氏は32歳でベーチェット病を発病します。働きつつも病状は悪化、40歳で仕事を辞め、ご主人の実家に身を寄せます。ご主人は群馬から東京へ片道2時間半の長距離通勤です。なんとか身体が受け付ける食べ物を手に入れることが目的でした。ご主人は、平日の夜と休日に農業をする生活を14年間続けました。

二足のわらじではビジネスになる売れる野菜は作れない。とすると、結局米しかない。ということで、米を作ることになりました。高い農業機械。。そのお金を稼ぐために自分達が食べる以外は売りに出しました。それが初めだそうです。

浦部農園のお米はほかより大分高いです。5キロ4200円。経費だけではなく人件費(公務員の平均給料一人分として、700万円)をいれています。最大限で夫婦二人で5ヘクタール。それに必要な、一式の機械の減価償却費も加味しました。ローンを断られて以来、国や県の助成は一切使っておりません。それに頼らずやっていけるのが今の値段ということです。

3

高い、けれど、お客様は買ってくれます。10年で顧客は3千人です。口コミです。当時は農作業をしながら、玄米のおにぎりと自宅畑の野菜程度の食事。それで医者が投げた病気治りました。3年で花粉症がでなくなりました。

20年かかって気付いたことがあります。人によって買う米が違うのです。好みは体質の違いです。それに気付いてマクロビオテックを学びました。陰陽の理論です。

そして、人の改良の手が加わっているほどトラブルを起こしますし、薬効が薄れます。米ならコシヒカリ、という単一の栽培を手掛けることで大規模化、商品化が楽になりました。しかし、その陰で大事なものを見落としてしまっているのです。たとえ手がかかっても、消費者はお金をくれれば問題ないし、消費者も本物がほしいならお金を払わないと、と考えます。

特筆すべきもう一つは食管法は無くなって生産者が自分で売るとういう自由ができたことです。主人が仕事を辞めてからは毎年の規模拡大となりました。農家の子弟が農業をやらないなら、りたい人を受け入れようと、研修生を受け入れ始めました。

一人立ちが6人おります。実は独立はハードルが高い、農業者になるということが最大のネックなのです。農業者になってしまえば手厚い補助も受けられますが、農業者になるには50rの農地を所有しているか、耕作していることが条件になります。

子弟は簡単ですが、農外の人は宅地を購入して小屋を建てるのです。農地転用、それを農家は嫌がります。農地は今なお資産だからです。

借金を背負って失敗したらそのあとの人生を切り開いていけないでしょう。そこで浦部農園では5ヘクタールがすべて売れるようになるまで、買いあげています。その時には公務員の賃金がとれるからです。

今の農業の担い手の中心は70代。あと10年たったら無理でしょう。そして、水田は畑と違って、貯水池から田んぼまでの水利が整備されなかったら田んぼを持ち続けることができないのです。担い手と地域農業の維持です。

農業は情熱と身体一つではなく、高度はプロの技術者集団です。二年間の研修ですが、人生設計を考えると30歳未満の方しか受け入れておりません。一刻も早くプロのところでプロの仕事を学んでほしいです。

食べ物で身体ができ、運動でも身体ができ、身体ができると精神ができます。食べ物、身体、精神ができて、人間らしい暮らしの基礎ができるのです。大規模農業には反対です。5ヘクタールで食べていける農業者が津々浦々山ほどできることを望みます。

農業が荒廃していますが、初めから終わりまで関わらせてくれるところがありますか?作ったものが自分のところに販売権がある職場がどれだけありますか?

農業の現場は命の始まりから収穫のその日まで、お金にする権利まで留保しています。労働が喜びになるのか、苦痛になるのか。農業には喜びを残したいのです。福島原発のことは将来を左右する大きな出来事です。考えていかなければならないことです。

4

とにかく美しくエネルギッシュでテキパキとした印象の浦部氏でした。講演後は質問者に股割を教えていらっしゃいました。気さくな方で素敵な方でした。

プロジェクトライター:出羽愛美

ほかのレポートも見てみよう