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カンヌ国際クリエイティブ祭2011受賞の社会派広告(9)Design Lions

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カンヌ2011受賞の社会派広告、今回はデザイン部門の受賞作から。飾るためではなく訴えるためのデザインの数々は、考えさせられるもの、うならされるものがいっぱいです。

【GOLD】

SPIT / PUBLIC HEALTH BUREAU OF FENGXIAN, SHANGHAI

これは上海で実施された、タンやつばを道ばたに吐くことをやめさせるためのアクションです。中国の地方に住む人たちにとっては、タンやつばを道ばたに吐くことは習慣のようなものでした。いま上海には多くの地方都市から出稼ぎ労働者が来ているのですが、彼らのタンやつばが問題になっていました。タンやつばは景観を損ねるだけではありません。病原菌がある場合、なんと直径70メートルの範囲で運ばれるのです。病気が広がることを防ぐために、上海の公衆衛生局が使ったのはアートの力。

出稼ぎ労働者の居住区近くの地面に吐かれたタンのまわりにぐるっと、細菌が広がることをイメージさせるようなイラストを51人ものアーティストやデザイナー、美大生に描かせたのです。タンのまわりにいろんな人が寄ってたかって絵を描くという様子は注目を集め、メディアに取り上げられることで、タンやつばを吐くことが病気の元になるという事実を多くの人に伝えることに成功したそうです。

【SILVER】

●SPECIAL POSTMARK / REPORTERS WITHOUT BORDERS AUSTRIA

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世界には無実の罪で拘束されているジャーナリストがたくさんいます。オーストリアの国境なき記者団は、拘束されているジャーナリストを解放し、サポートする活動への寄付を募るために、世界人権デーにこの広告を実施しました。ジャーナリストが描かれた切手を発行しました。

その切手は寄付を募るダイレクトメールに使われたのですが、郵便局に送られると、牢屋の格子がデザインされた消印が押されるようになっていました。郵便物を受け取った人は、牢屋にジャーナリストが入っているような絵を見ることになるんですね。このアクションはドイツ、オーストリア、スイスの28もの新聞に取り上げられ、たくさんの寄付が集まったということです。

●DWARF DEPRESSION 1、3 / LOVING HANDS MINISTRY

DWARF DEPRESSION 1

DWARF DEPRESSION 3

これは、鬱病を和らげるコンサルティングの広告です。お酒やテレビなど、気分をまぎらわすためのものが小さく描かれています。それほどに大きい鬱病の症状も、コンサルティングを受けることで小さくできる、ということですね。

【BRONZE】

●STOP THE SLAUGHTER / INTERNATIONAL FUND FOR ANIMAL WELFARE

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Slaughter2

Slaughter3

「科学的調査」の名のもとに南極で商業捕鯨が行われ、何千頭という鯨が殺されています。そのままで伝えると酷くなりがちなテーマを多くの人に訴えるため、絵画のように美しいポスターに仕上げています。

●TREE RINGS / ACRES: ANIMAL CONCERNS RESEARCH & EDUCATION SOCIETY

Tree Rings

tree

よ〜く見るとわかるのですが、この年輪はたくさんの種類の動物で描かれているんです。コピーは「鳥類150種、ほ乳類125種、は虫類100種、両生類60種。4万平方マイルの熱帯雨林には、これだけの生き物が住んでいます。助けてください。」環境破壊に対する、声なき動物たちの訴えが感じられます。年輪は中心から外側に向かって、年を経るごとに増えていきます。私たちが何年も森を育てていくことで、生態系がより多様になっていくことを伝えているんですね。

●DISAPPEARING DISCOUNTS / R I AYURVEDA RESEARCH LABS

DISAPPEARING DISCOUNTS

これは自然派化粧品メーカーのクーポン広告です。天然成分でつくられた化粧品はそれほど持たないので、化学的な化粧品よりも早く消費されなければいけません。だから、在庫一掃セールで売り切ってしまう必要があるんですね。そこでつくられたのがこのクーポン。なんと、葉っぱと花弁でできているんです。48時間以内でしおれてしまいます。

この「生きているクーポン」は、期間限定のセールを伝えるとともに、「天然成分をつかっていて、商品が防腐剤を最小限しか使用していない」という商品の価値も同時に伝えるものになっています。主要なアウトレット店舗近くで配られる新聞に織り込まれたこのクーポンはその70%が使われ、メーカー始まって以来の売上を弾き出すセールになったそうです。

●WHEN I GROW UP / FAKTUM

When I grow up

これは、Faktumというホームレスが販売するスウェーデンのストリート・マガジンの広告です。ビッグイシューのような雑誌ですね。この雑誌の販売員をしているホームレスを主人公にしたカレンダーをつくったのですが、そのテーマがエモーショナルなのです。ホームレスになる人にも、夢があります。このカレンダーは、それぞれのホームレスが自分が夢に描いていた姿になりきって撮った写真が使われているのです。たとえば、水兵、神父、乗馬インストラクターといったような姿です。このカレンダーの売上は、ホームレスの報酬(寄付ではなく!)に使われました。

●HANDS / NATIONAL CENTRE FOR DOMESTIC VIOLENCE

HANDS

家庭内暴力を防ぐためのポスターに使われたタイポグラフィです。「隠されたところで、身近な人の手によって行われている」という家庭内暴力。手で作った文字で「パートナーの手(による暴力)におびえないで」と訴えました。

●STOP THE WATER WHILE USING ME! / T.D.G. VERTRIEBS

STOP THE WATER WHILE USING ME!

環境に配慮してつくられた商品のパッケージデザインです。石鹸、シャンプー、シャワージェル、ボディローションのパッケージにドーンと「私を使っている間は、水を止めてください」と書かれています。商品が話かけているよう語り口で、タイポグラフィも手書き文字風でかわいくなっています。チャーミングなこのボトルの製品は発売から2週間で売り切れ増産に迫られたそうです。

次回はお待ちかね、フィルム部門からご紹介します。お楽しみに!

※これまでに紹介した以下の部門からの受賞作と重複するものは省いてあります。

Promo & Activation Lions
Direct Lions

PR Lions

Media Lions
Outdoor Lions(1)
Outdoor Lions(2)
Press Lions
Cyber Lions

☆翻訳協力:@t_saori