カンヌ受賞の社会派広告、今回は印刷広告の部門、プレスライオンからご紹介します。この部門はアウトドアとかぶるものが多くなるので、いつもよりも少なく感じると思います。街に貼られるポスターなどは、通りかかる人がオッと思うようなインパクトあるビジュアルと、簡潔なコピーが求められます。どれも難しい課題を、パッと見てわかる表現でクリアしています。
【GOLD】
●CHAIR / RAISING THE ROOF
粗大ゴミのように路上に置かれたイスのイラスト。そこにこんなコピーが書かれています。「捨てられたイスを見かけたとき『きれいにしたらまた使えるかもしれない』と思う。若いホームレスを見かけたとき『目を合わせないようにしよう』と思う。」物のリサイクルは進んでいるのに、ホームレスの社会復帰については人びとの意識が低いままだということを痛烈に表現しています。これは、チャリティ団体のポスターで、若いホームレスの可能性に目を向けてもらうために制作されたものです。
【BRONZE】
●KITE, SLIDE, SWING/ACTIVE LIFE
ソーシャルメディアのアイコンたちが、凧揚げをしたり、滑り台やブランコで遊んでいたりします。コピーは「オンラインで出会ったら、外で遊ぼう」。パソコンやスマートフォンとにらめっこしてるばかりじゃなくて、出会った仲間とオフラインで遊ぼうぜ、と呼びかけるムーブメントですね。
●FISH,WHALE,SEAL/SURFRIDER FOUNDATION EUROPE
空き缶やビン、プラスチック容器が海の生き物たちを致命的に傷つける武器のように描かれています。コピーは「毎年、何百万という海の生き物が、私たちのゴミに殺されています」。サーフライダーファウンデーションは一貫して海のゴミを減らす訴えをし続けているサーファーの団体です。
●OBAMA/CRINTON,CAMERON,PUTIN
/ REPORTERS WITHOUT BORDERS
世界の首脳たちの手にモザイクがかかったような写真。オバマがヒラリー・クリントンのおっぱいを触ってる?キャメロンが中指を立ててる?プーチンがオナニーしてる?ようにも見えます。コピーは「検閲が事実を曲げる」。これは報道の自由を訴える国境なき記者団のポスターです。日本の報道だったらモザイクだらけになるかも知れませんね。
●HAND, FOOT, HAMMER/ AMNESTY INTERNATIONAL
人の群れでできた指が首吊り台をはじこうとする。足が鉄条網の壁を踏みつぶそうとする。ハンマーが電気イスを叩きつぶそうとする。理不尽な暴力や人権侵害をこの世からなくすためには、人びとが反対の意思を示して束になることが大切だということをイラストだけで表現しています。もう、黙ってなんかいられませんね。
カンヌ2011受賞の社会派広告、まだまだ続きます。
次は、サイバー部門の受賞作からご紹介します。
お楽しみに。
※これまでに紹介した以下の部門からの受賞作と重複するものは省いてあります。
・Promo & Activation Lions
・Direct Lions
・PR Lions
・Media Lions
・Outdoor Lions(1)
・Outdoor Lions(2)
☆翻訳協力:@t_saori