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カンヌ国際クリエイティブ祭2011受賞の社会派広告(5)Outdoor Lions その1

カンヌ受賞の社会派広告、今日は屋外広告の部門からご紹介します。この部門はシリーズものが多いので二回に分けてお伝えします。

【GOLD】

●MUGSHOT / AMNESTY INTERNATIONAL

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人権団体アムネスティの広告です。上下に写真が並んでいるのですが、上の写真には「警察が撮った写真です」、下の写真には「アムネスティが撮った写真です」というキャプションがつけられています。上の写真は凶悪な印象がありますが、下の写真は人間らしく写っています。警察が犯罪とみなした人が、必ずしも犯罪者とは限らないということですね。下の写真は歳をとっているので、冤罪についてもほのめかしているのかも知れません。

【SILVER】

●PIMPLE , BIG BOTTOM , BAD HAIR DAY / BREAST CANCER FOUNDATION

・PIMPLE
作品のイメージはこちら

・BIG BOTTOM
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・BAD HAIR DAY
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ペイントした女性の裸がモチーフになったちょっとセクシーなこの広告、ヴィジュアルも面白いですが、コピーもウィットに富んでいます。シリーズ共通のキャッチフレーズは「取るに足らないことばかり考えてるんじゃないですか?」

最初のニキビを気にするような女の子のビジュアルについているボディコピーはこう書かれています。「最後にチェックしたとき、そのできものは致命的なものではありませんでした。でも、乳がんは確かにあったのです。シンガポールでは、少なくとも年に280人が乳がんで命を落としています。貴重な命は、たった30分の検査で守ることができます。乳がん検診に行ってください。」

次のおっぱいのところがおしりのようになっているビジュアルには、「お尻の大きさを眠れないほど心配するより、胸のしこりを心配してください。毎年280人以上のシンガポール人女性は、手遅れになったときにやっと気づくんです。たった30分の検査で、致命的ながんを防ぐことができます。」

そして最後の、まとまらない髪の毛を気にするようなビジュアルには「ヘアースタイルがダサいからって死ぬ人はいません。でも、シンガポールでは年間少なくとも280人の女性が乳がんで亡くなっています。みんな、30分ほどの検査で早めに見つけられれば助かったのに。どうか、今日にでも乳がん検診を受けてください。」

女の子のいろいろな悩みをシンボリックに見せて、そんなことに悩んでるんだったら、乳がんのことを心配したほうがいいよ、と言っているんですね。

●BOYS,GIRLS / TOWER HAMLETS

・BOYS
boys

・GIRLS
girls

コピーは、「運転中にメールしていると、事故の確率が23倍になります」。写真は、この事実をそのままビジュアル化しています。道路に遊んでいる子どもたちが23人いるんですね。こんな危ない状況で運転できますか、と。数字だけではへー、くらいなもんですが、こうしてビジュアル化することでいかに恐ろしいことなのかがよく分かります。

●BELTS,SHOES / PEOPLE FOR THE ETHICAL TREATMENT OF ANIMALS ASIA PACIFIC

・BELTS
belts

・SHOES
shoes

これは動物愛護団体によるAR広告です。ファッションアイテムの広告らしきポスターにはこう書かれています。「スマートフォンのバーコードリーダーでスキャンして、無料の『Sticky Bits』アプリをダウンロードしてください。新次元のショッピングを体験できます」。新次元のショッピングって?と思って指示されたとおりスマホでスキャンすると…。ベルトのポスターの場合はヘビ、シューズのポスターの場合は、牛の動画が流れ、こんなコピーが出てきます。「それがどこから来たか知っていますか?本当の価値を知ってください」。私たちが大量につくり、消費しているものが、かけがえのない命を犠牲にしてできているということを通販広告のような体裁で伝えているんですね。

●FAMILY,KIDS,KITCHEN / UNICEF

・FAMILY
family

・KIDS
kids

・KITCHEN
Kitchen

シリーズ共通のコピーは「テレビを消したときに、テレビを見てみてください」。ビジュアルは、消されたテレビの画面に、親子が楽しそうにふれあう様子が写り込んでいるというもの。たまにはテレビを消して、家族の団らんを楽しんでください、というメッセージです。

●WILD DOG,TTLED CRANE,DUGONG,RIVERINE RABBIT,NORTHERN WHITE RHINO
/ ENDANGERED WILDLIFE TRUST

・WILD DOG
wilddog
「あなたは南アフリカに残された、全てのワイルドドッグを見ています。」

・WATTLED CRANE
wattledcrane
「あなたは南アフリカに残された、全てのホオカザリヅルを見ています。」

・DUGONG
dugong
「あなたはアフリカの海に残された、全てのジュゴンを見ています。」

・RIVERINE RABBIT
RIVERINE RABBIT
「あなたは地球に残された、全てのブッシュマンウサギを見ています。」

・NORTHERN WHITE RHINO
white-rhino
「 あなたは地球に残された、全てのキタシロサイを見ています。」

このシリーズも、数字をビジュアル化することで説得力を高めています。漠然と「絶滅危惧種」といわれるよりも、具体的な数字とそれぞれが個性ある生き物として行きている様子を見せられるほうが危機感が伝わりますし、納得度も高くなりますよね。

●SUSHI TRAIN / JAPAN EARTHQUAKE APPEAL

sushitrain

これはオーストラリアの回転寿司店で実施された広告です。お寿司にまじって、寄付を訴えるボードがのったお皿が回ってきます。そのお皿をもっていけば、色に応じてレジでお寿司のお代といっしょに寄付ができる仕組みになっています。お寿司屋さんに来るひとは日本のことが好きな人が多いですし、食事代といっしょなら、気負うことなく自然に寄付ができるということですね。こんな簡単なアイデアですが、なんと15000ドルもの寄付金を集めることができたそうです。

●MUD-FLOW / JARINGAN ADVOKASI TAMBANG (JATAM)

これは壮大な広告です。まず、ターゲットがインドネシア大統領。風化しつつあった火山の噴火による被害を大統領に思い出してもらうために、大統領の住居の前に火山灰の中に埋もれた家々を思い出させるようなオブジェをドーンとつくったんです。コピーは「シドアルジョ泥火山の犠牲者が人生を取り戻せるよう、援助してください」。これを目の当たりにして援助しなかったら大統領はとてもひどい人だと思われるでしょうね。

●SURPRISE CATWALK / FRETEX

オスロのファッションウィークに実施された、オシャレなドッキリ広告です。クライアントは救世軍が運営する古着チェーン店。地下鉄から出てくると、目の前がファッションショーのキャットウォークみたいになっています。突然注目と拍手を浴びて、思わずポーズをとってしまったりしながらキャットウォークを歩き終えると、古着の寄付を勧められます。いまあなたが着ている服が、次のシーズンのコレクションになるんですよ、と。古着の寄付をオシャレなニュースにすることで、リサイクルの輪を広げていったんですね。

●SHARE WITH THOSE WHO NEED…
/ ASSOCIAÇÃO EDUCACIONAL E ASSISTENCIAL CASA DO ZEZINHO

sherewiththosewhoneed

スーパーで売られているのは、半分にカットされた野菜。空いたところには、こんなメッセージが書かれています「援助が必要な人たちと、どう分け合うか。」この半分にカットされた野菜は1つ分と同じ値段で売られていて、売上の半分は恵まれない子どもたちに寄付される仕組みになっていました。

次はアウトドア部門の続きをご紹介します。

※これまでに紹介した以下の部門からの受賞作と重複するものは省いてあります。
Promo & Activation Lions
Direct Lions
PR Lions
Media Lions

翻訳協力:@t_saori
TOP画像:PublicDomainArchive(via. Pixabay)