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暗闇体験で危機への準備を!ダイアログ・イン・ザ・ダーク・エマージェンシー・ワークショップ

greenz/グリーンズ ダイアログ・イン・ザ・ダーク トップ

もし、いま大地震に襲われたら、急な停電になってしまったら、あなたはその緊急事態にきちんと対処できるでしょうか? 東日本大震災は私たちの災害に対する危機意識を高め、非常時の心得などを改めて確認する機会となりました。でも、本当に危機的状況で状況に応じて臨機応変な対応が取れれるのでしょうか、そして、そもそもどのような対応をとればいいのか理解しているのでしょうか? そんな危機的状況(エマージェンシー)を想定したワークショップをgreenzでも以前取り上げたダイアログ・イン・ザ・ダークが現在行っています。そのワークショップに早速参加して来たので、その様子をレポートします!

ダイアログ・イン・ザ・ダークは、真っ暗闇の中を歩いたり、様々なミッションをこなしたりするアートのようなアトラクションのようなイベントですが、以前から企業の社員教育などの為にワークショップも行ってきました。今回はそんなワークショップの特別編ということで、東日本大震災の被災者支援も兼ねてエマージェンシー・ワークショップが行われているのです。

まず、今回の主旨について簡単に説明があったあと、視覚障害者の方が持っている白い杖「白杖」をてに早速暗闇へ。中で何が起きるのか…については体験する方のためにあまり書かないことにしますが、それではレポートにならないので、少し説明しましょう。

黒いカーテンをくぐって入った空間は本当に真っ暗で、全く何も見えません。目の前にかざした自分の手も見ることができない中、アテンドの視覚障害者の方がサポートしてくださって、奥の方へと連れていってくれます。

greenz/グリーンズ ダイアログ・イン・ザ・ダーク 入り口

そこで、全員が揃うまでしばし待つと、アテンドのリーダーの方から説明があり、「いきなり3つのグループに分かれてください」と言われました。真っ暗だし、全部で何人いるかもわからないのに、3つのグループに分かれるなんてどうやるんだ…? なんて思っていると、周囲からいろいろな人の声が。決定の方法は参加者によって変わるっと思いますので、具体的には書きませんが、結構うまく分けられるもので、めでたく6人ずつのグループに。グループ内で自己紹介をして、呼び名とリーダーを決めます。このリーダーの人選があとあと重要になることも知らず、私はいつの間にかリーダーになってしまうのです…

この後、何が起きるのかは、実際に体験していただくとして、簡単に言うと、いくつかのミッションを暗闇でこなすことになります。どれも明るいところでならほんとうに簡単にできることだけれど、暗闇ではチームでしっかりとコミュニケーションを取り、協力していかないとできないようなもの。戸惑いながらも、予想以上にそのタスクに集中してしまいます。時計も何も無いので、時間の感覚もなくなり、終わってみると2時間半も経っていました。

暗闇からゆっくりと明るい場所に帰ってくると、フィードバックの時間があります。今回は12日の暗闇トークセッションにも登場するバースセラピストの志村季世恵さんが進行役をしてくださいました。

greenz/グリーンズ ダイアログ・イン・ザ・ダーク セッション

ここでも、グループ毎に意見をまとめ、発表しますが、グループごと、そして人それぞれに感想が違うのも特徴的です。

私が一番強く思ったのは「声」が非常に大事だということでした。声を出すことで居場所もわかるし、状況を伝えることもできます。そして、見えなくても声によって個人を識別できるので、慣れてくればわざわざ名乗らなくてもグループのメンバーなら誰がどこで何をしているのかがわかるようになります。エマージェンシーということで言うと、例えば地震で建物が倒壊して閉じこめられたような場合、暗闇のなかで誰がどこにいてどのような状況なのかを確認し、何をすればいいのかを考えるためにまず「声を出すこと」がほんとうに大事だと感じました。

そして、さらに一歩進むと、声を出すだけではダメで、情報をどうやり取りするかということが重要になってきます。目で相手を確認できない状況ではそれぞれが別々の情報を持っている場合に、その情報を交換する術は言葉で説明するしかありません。しかし、その情報の持つ意味を言葉だけで説明するのは非常に難しいのです。モノの大きさ一つをとってもものさしもないので何センチということもできず、手のひら大といっても人それぞれに手のひらの大きさは違うわけです。そのような状況でも正確に同じイメージを共有できるようなコミュニケーションの取り方を身につけるというのは普段から非常に重要なことなのだと感じたのです。

このワークショップが具体的に緊急時に役に立つかははっきり言ってわかりません。しかし、暗闇は五感の持っている意味を変化させ、価値観が転倒させるということを実感しました。暗闇の中ではみな平等というか、そこにいる人が出来ることをやるしかない。それは普段の生活の中で年齢や肩書きや職業に縛られているのとは全く違う状況なのです。

緊急時というのも、普段とは全く異なる状況であり、そこでは普段の生活とは全く異なる感覚や価値観が必要とされます。その意味では、このダイアログ・イン・ザ・ダークはその「普段とは全く異なる状況」を予め体験することによって、緊急時に対する備えにある意味ではなるのではないかと思います。

3時間に渡すセッションの最後に、ダイアログ・イン・ザ・ダークの代表を務める金井真介さんから、東日本大震災直後の状況についてお話がありました。その話というのは、震災の翌日に、ツイッターで「暗闇で経験したことを活かして欲しい」というメッセージを投げかけると、たくさんの反応が帰ってきたというものでした。

暗闇も入ってすぐは不安に襲われ、何をしていいかわからなくなりますが、時間が経つに連れてそれになれ、むしろ心地良さすら覚えるようになります。それは緊急時にパニックに襲われ、それを克服する過程とも似ているのかもしれません。今回の震災では東北だけでなく、東京やその近郊に暮らすか人々の間にもパニックが広がりました。しかし、暗闇での経験を思い出すことで、パニックというのが容易に克服し得るものであるということを理解できるのです。そのような経験も、この「暗闇の体験」の価値なのでしょう。

そして、何よりも、ほんとうに楽しかった!

同じチームだったマイキーさんとアテンドのお二人

同じチームだったマイキーさんとアテンドのお二人

常設の外苑前会場の暗闇バーでは、現在、福島県いわき市の地酒が飲めるとのこと。期間限定のエマージェンシー・ワークショップでも、常設会場でも、ぜひ一度、暗闇を体験してみてください。

緊急チャリティ 第二弾「エマージェンシーワークシヨップ」
開催日時: 2011年5月10日(火)~20日(金) 
開催時間: 平日 15:00~18:00  土日 ①10:00~13:00、②15:00~18:00
開催場所: 六本木ヒルズ森タワー40階 「アカデミーヒルズ40」
参加費用: お一人様 30,000円(税別)→12,000円(税別)  *チャリティ企画限定料金
    ※売上から運営費を除いた全額を東日本大震災の被災地に寄付させて頂きます。