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“21世紀はみんなの時代!” そんな意識にさせるドキュメンタリー映画が目白押し。年末年始は劇場に急げ!

© 2006 A&E Television Networks. All Rights Reserved, © 2009, Crude Productions, LLC, © 2007, Ample Productions & Barranca Productions, © 2008 A Water Project LLC Production

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映画が好きな人は多いと思います。

映画を見るのはほとんどの場合、息抜きのためだと思いますが、最近では社会派映画、とくにドキュメンタリーが社会問題への意識を人々の間で高めるために一役買っていることが結構あります。greenzでも過去そのような映画をいろいろと紹介してきましたが、そんな社会派映画を多く紹介している東京MXのTV番組「松嶋×町山の未公開映画を観るTV」で紹介された映画がついに劇場で上映されます。これは見逃すわけには行きません。

「松嶋×町山の未公開映画を観るTV」は、東京ローカルの放送局東京MXTVで日曜の夜に、アメリカ在住でマニアックな映画について語らせたら右に出るものはいない映画コラムニストの町山智浩さんが選んだ未公開映画を2週間に1本ずつ紹介する番組。作品は基本的にドキュメンタリーです。

この番組は本当に面白くて、私は番組が始まった頃からよく観ています。ビールの入ったプラスティックカップにピンポン球を投げ入れる競技「ビアポン」を描くなんていうくだらないものから、オイルメジャーと南米の人々の戦いを描いくすごく真面目なものまでバリエーションに富みながら、面白い映画が本当に多いのです。

その未公開映画の数々が「リアル未公開映画祭」として12月25日から渋谷アップリンクを皮切りに全国の劇場で上映されます。公開されるのは厳選された9本、同時にインターネット上での未公開映画祭も開催中。こちらは1本ずつ視聴でき、全作品がリストアップされています。

インターネットで、オンデマンドで見られるのもいいですが、やはり改めてスクリーンで見ることができる「リアル未公開映画祭」が何よりも魅力的。というわけで、ここではgreenz的に「リアル未公開映画祭」を紹介して行きます。

© 2007, Ample Productions & Barranca Productions

『ビーイング・ボーン』

まずは“イクメン”などのキーワードが話題に上り、日本でも熱い話題となっている出産、育児に関する作品『ビーイング・ボーン』です。この作品はアメリカの衝撃的な出産事情についてのレポートであり、薬漬け、帝王切開偏重のアメリカの現状に対して助産士の地位向上と自然分娩の復権を訴える一種のキャンペーン映画です。この映画のもくろみは、医師や製薬会社という巨大な力に対して、一般人である妊婦と地位の低い助産士が権利を主張することで、これは弱者が強者に対抗するために映画というメディアを利用するひとつの典型的な例でもあります。私は映画がそのような手段となりうることには賛成です。プロパガンダになりかねない一方的な表現には注意が必要ですが、どうしても言論を圧殺されがちな市井の人々が声を上げる手段としての映画には大きな可能性がある気がするのです。

greenz/グリーンズ 未公開映画祭『フロウ』

『フロウ』

続いて、「環境」について問題意識を持つ人ならぜひ観てほしいのが、『フロウ』です。この作品の対象は水問題、特に「すべての人に清潔な水を使う権利がある」ということを主張する作品であるといえます。その文脈の中で水メジャーによる水道事業の独占の問題、ボトル入り飲料水の問題などが取りざたされます。この作品のすぐれた点は観る者に「考えさせる」ということ、一方的な主張でキャンペーンを張るのではなく、事実や当事者の発言を並べ、そこに暗喩や間を挟むことで観る者自身がその意味を考えるように仕向けるというところです。この作品を観れば“水の世紀”と言われる今世紀の「水問題」について基本的なことがわかるし、それに対してそう考えていけばいいのかという心構えもできるそんな作品なのです。

greenz/グリーンズ 未公開映画祭『クルード』

『クルード』

次に、グローバル化する世界の中で、われわれ市民が何をすべきかを考えさせてくれる作品としてあげたいのが『クルード』です。この作品の舞台は、中米エクアドルの奥地の油井地域。映し出されるのは、土壌の汚染によって苦しめられる住人達。その元凶は何十年も前に石油の採掘を始めたアメリカの石油会社テキサコ。テキサコは漏れ出た石油で汚染された土壌を放置し、そのために地下水に有害物質が浸透、住民達はさまざまな疾患に苦しめられるようになってしまいました。ニューヨークの弁護士スティーヴンは、現地の弁護士ファルハドとともに、テキサコの事業を引き継いだシェブロンを相手に訴訟を起こします。映画はその訴訟の行方を描き、巨大企業と人権派弁護士の対決の中から、多国籍企業の狡猾さと暴いていくのです。

作品中にはエクアドルの人々の支持者として、スティング夫妻が登場、有名人の支持を取り付けることで国際世論を味方につけることに成功します。環境、グローバル化といった世界が抱える問題に対する世界のあり方というものがこの映画には非常によく表れていると思います。「世界」について考えるなら必見の作品です。

それ以外にも、6歳のときに反政府軍に誘拐され、少年兵になった過去を持つウガンダ出身のボクシングの世界チャンピオン、カシム“ザ・ドリーム”オウマの半生を描いた『カシム・ザ・ドリーム』、キリスト教原理主義者の子供たちが集まられるサマーキャンプの様子を描いた『ジーザス・キャンプ』などすべてが「世界」を考えるきっかけとなる作品と言えるでしょう。

最後に、『フロウ』で印象に残った一言を

21世紀は一般市民の時代だ
-“ガンジアン”リーダー シッダラジ・ダッダ

ぜひ年末年始には世界について考える映画を観て「市民の時代」の心構えを。

「リアル未公開映画祭」に行こう!