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街を“クール”にクールダウン!ニューヨークの屋根を真っ白にする「NYC °CoolRoofs」

Creative Commons: Some Rights Reserved. Photo by 350.org

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ニューヨークは、一足早い、雪化粧?!
いえいえ、ニューヨーク市内の建物の屋根を白く塗り、地球温暖化やヒートアイランドから“クールダウン”させようというプロジェクト「NYC °CoolRoofs」のひとコマです。

東京やニューヨークなど、世界の大都市では、郊外に比べて気温が異常に上昇する「ヒートアイランド」が近年、課題に…。ニューヨークでは、ロング・アイランド・シティ(Long Island City)など、屋根の温度が市内の平均値よりもさらに高くなる地域があり、その原因としてヒートアイランドの影響が指摘されています。そこで、2009年9月、マイケル・ブルームバーグ(Michael R. Bloomberg)ニューヨーク市長とアル・ゴア(Al Gore)元米副大統領が「ロング・アイランド・シティにある建物の屋根10万平方フィートを白いペンキで塗る」というパイロットプログラムを実施。2010年5月には、この取り組みをニューヨーク全域に広げるプロジェクト「NYC °CoolRoofs」として正式に発足しました。ボランティアの人々を中心に市役所や公園・コミュニティカレッジなどの公共施設の屋根を白く塗ったり、一般の建物オーナーに向けて「屋根を白く塗るためのDIYチュートリアル」を公開するなどして、ニューヨーク市内の屋根を白くする活動を推進しています。

ニューヨークの建物の屋根は、濃い色で塗られたものが多いのですが、これによって太陽エネルギーが建物により多く吸収され、温度が高くなるという面があるそうです。そこで、「NYC °CoolRoofs」では、屋根を白くすることによって、太陽エネルギーを反射させ、屋根の温度はもとより、室内温度を下げようというのが狙い。ヒートアイランドの影響を軽減でき、エアコンの使用量を減らせるので、エネルギー消費の削減にもつながり、光熱費の節約にもなるというわけです。ちなみに、「NYC °CoolRoofs」によって白塗りされた屋根は、当初の目標である100万平方フィートを達成し、現時点で102万フィート超。「2030年までに温暖化ガス排出量30%減」を掲げているニューヨーク市にとって、この取り組みは、温暖化防止を推進する有力な施策のひとつになりそうです。

屋根を白くするという方法は、大規模なインフラ設備や工事なども不要で、比較的経済的な地球温暖化対策といわれています。米国では、米エネルギー省のスティ-ブン・チュー(Steven Chu)長官も、省エネルギーや二酸化炭素排出量の削減に向け、建物の屋根を白く塗ることを提唱。米国各地の同省国家核安全保障局(NNSA)の施設の屋根を白くする取り組みをはじめています。また、カリフォルニア州やフロリダ州・ジョージア州では、商業用施設への白い屋根の導入を推進する建築基準が制定されているそうですよ。

2010年夏の記録的な猛暑がようやく過ぎ去った日本でも、次の夏が来てからあわてるのではなく、秋や春など比較的気候のよい時期から、夏に備えた取り組みに着手することが望ましいですね。各世帯による個別対応だけでなく、地方自治体などが中心となり、街づくりの一環として取り組むことが、街全体の温度のクールダウンにつながりそうです。

建物の屋根を白く塗るためのDIY法を調べてみよう。