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子どもたちのためにサステイナブルな未来をつくる親たちの集い~green parents party vol.1 報告~

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「パパママにだって、夢がある!」
「子育て中だからこそ、仲間がほしい!」
「子どもたちのために、サステイナブルな未来をつくりたい!」

…って思う人たち、集まれ!!
と呼びかけてみた子育て世代のgreen drinks、「green parents party」。

同じ思いを共有する仲間と、子連れで気軽に出会える場所があったらいいなと告知してみたら、なんと、告知後たった1週間で満員御礼!という嬉しい悲鳴。8月28日土曜日、green parentsが総勢30組、大人と子どもあわせて80人以上が千葉県いすみ市のブラウンズフィールドに集いました。

ハンモックが揺れ、ヤギが歩き、実った稲穂が頭をたれるブラウンズフィールドの素敵な風景。今回はそのお庭を40人の子どもたちが走りまわり、親たちが木陰で話し込み、楽しすぎる空間。

そんなgreen parents partyの第1回目をレポートしたいとおもいます。

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今回の目玉は、大人にとっては、いすみ市に住む子どもたち約100人が参加している自主保育「やかまし村」の話を聞くこと。そして、子どもたちにとっては「やかまし村」の移動式外遊び遊具で遊ぶこと!

トーク内容も後述しますが、まずはなんといっても今回のpartyの立役者となったこの遊具の魅力を報告させてください。千葉大学の学生さんたちが制作し、子ども環境学会でデザイン賞を受賞したというこの遊具、見た目が美しいこともさることながら、「遊び方の種類が無限大」というなんともクリエイティブな作品です。

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はしごや板、車輪付きの台、曲線が美しい階段状の遊具など、組合せのパターンは自由。組み方も、使い方も、置く場所も、その場で遊ぶ子どもたち自身が決めていきます。間に平均台を入れてみたり、板を3枚組み合わせて滑り台にしてみたりと、小学生のお兄さん、お姉さんが楽しそうに組み替え続けるジャングルジム、小さな子どもたちは飽きずに何度だって上ります。自分のパパママなんてわき目もふらず、半日延々と遊び続けている子も。おかげで、parentsたちが話に花を咲かせることもできました。

いやほんと。作り方を公開して、日本全国の公園に置いてほしいくらいです!

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千葉大の学生さんたち、地元の地域通貨「安房マネー」での呼びかけに応えてくださった方々を中心とするボランティアチームが、思いっきり遊ぶ子どもたちを見守ってくださる間、green parentsたちは母屋で「やかまし村」の話に聞き入りました。

会場提供してくれたブラウンズフィールドの綿貫シネマさんも、ご自身が自主保育で育っているということもあり、興味深々です。ゲストは創設者の北澤蓉子さん。聞き手は鈴木友美さん。

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鈴木友美さん:いまや、いすみ市の子育てシーンになくてはならない自主保育「やかまし村」。発足から7年で100人以上の子どもたちが参加する保育も、はじめは2人からだったと伺いました。

北澤蓉子さん: そうなんです。中島デコさんの息子、民人くんを家に招き、日中一緒に過ごさせていたことからすべてがはじまりました。デコさんが忙しそうだったので、毎日だってうちにいらっしゃい、と声をかけたのがはじまりでした。

2人は、それはそれは楽しそうでしたよ。木の棒を釣りざおに見たてて池で何時間も釣り遊びをしたり、つくしやふきのとうをとってきて、佃煮にして食べたり。ザリガニだって何匹もつかまえてきて、そのたびに揚げて食べましたよ。

朝早くから日が暮れるまで、毎日外で遊んで、泥だらけ。そのうち、2歳の二男、コウシロウもお兄ちゃんを見ながら木のぼりをはじめ、近所の子も参加するようになり、家の周りがにぎやかになっていったんです。

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鈴木さん:人をまとめるのは大変な仕事です。参加する他のお母さんたちの自主性は、どんな風に引き出されていったのですか?

北澤さん:今週は草木染めのクラスを仲間に紹介しよう、宇宙あそび村の週1クラスに体験参加してみよう、と面白いことをみつけては共有しているうちに、仲間の輪もどんどん広がっていきました。メールも一般的ではなかった当時、毎週1回の集いの前日は参加親子への電話連絡を徹底していました。やりがいはあるけれど、たいへんな作業です。

そのうち、代表を毎月2人1組の当番制にすることが決まりました。当番の仕事は場所の確保、材料の準備、前日連絡の徹底、その月の予定表づくり、わらべうたのご挨拶…、必要最低限のルールだけ決めてはじめてみると、皆に才能があることがわかってきました。

わらじを編める人、有機農業を教えてくれる人、菜種の収穫をさせてくれる人など、教えてくれる地元の人とつないでくれる参加者も増えました。先生もいるのだし、皆で畑も借りました。

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鈴木さん:保育者を当番制に切り替えて運営するにあたり、「やかまし村」でルールを作ったりしたのですか?

北澤さん:皆で話し合いをする中から、約束事も自然と生まれていきました。子どもたち同士のけんかは、よっぽど危なくない限り止めません。様子を見ていると、とことんやった後で2人並んで仲良くスイカを食べていたり、年長のお友達が仲裁に入ったりしています。子どもは、子どもの社会の中でたくさんのことを自然に学びますから、その機会は大切にしたかったのです。ルールというか、約束事を話し合うような会議の場での、お母さん同士の世代間交流と学び合いも良かったですよ。

私は、代表としてルールを作ろうと思ったことなんて、一度もないんです。100人規模の自主保育グループを作ろうとも思っていなかった。ただ、子どもの感性に沿いたかっただけです。娘のためにやってきたことが、結果として多くの人を巻き込んでいたという感じです。

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そのほか、「学校よりももっと面白いことが地域にある」と自主的不登校をしながら地元の人気者になっている北澤さんの長女、ひとみちゃんの話、「やかましむら」運営の苦労話や、「いすみこどもミュージカル」事業などの新しい構想などを聴いているうちに、あっというまに60分が過ぎました。

なんだか「自主保育」がはじめられるかもしれない。そんな気分になりました!

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その後、聞き手のgreen parent 鈴木友美さんが看護師として、ひとりの親としての自分の夢を語り、子育ての大先輩の北澤さんにアドバイスを求めた場面が印象的でした。

鈴木さん:私には夢があります。脳性麻痺のお兄ちゃんがいる子が娘の同級生にいて、その家族と交流するようになってから、健康な子と障がいのある子が一緒にいられる空間をつくりたいと思うようになりました。最初、子どもたちはお兄ちゃんを見て「なんで手が動かないの?」「なんでお話しないの?」と聞いていましたが、しばらく一緒に遊んでいると、「じゃあ、お兄ちゃんはお店屋さんね」と車いすのところに商品を並べたりして、ごく普通に一緒に遊びはじめるんですね。

健康な子も、障がいのある子もいる空間がみんなにとって普通。そういう空間を作りたいんです。どんなところからはじめたらいいか、アドバイスをいただけますでしょうか?

北澤さん:子どもたちのためにやりたいと思うことがあったら、できなくてもいいからまず口に出してみるのがいいと思います。そうすれば自然と手が差し伸べられたり、仲間が増えていったりするものだから。言ったこと、実際にはできなくてもいいんですよ。みんな忘れるだけだから(笑)。

みんなはじめは一人なんです。私もそうだった。子どもが好きだから、喜ぶ顔を見ているのが楽しくて、一人でも気にならなかった。「楽しい」っていうのが大切なんです。辛い顔をしていたら、誰も集まらないでしょう?自分がまず楽しみながら、「一人でもいいからやる」という姿勢が大切だと思います。

「やかまし村」の財産は、ネットワークです。今、外にある遊具も、千葉大学工学部デザイン科の学生さんたちが作ってくれました。こういうことをしていると、自分ひとりで子育てしていただけでは絶対に出会えなかった異分野の人に出会えるんですね。大工さん、看板屋さん、県庁の職員さん、もちつきに手伝いに来てくれる近所の農家さん…。私はそのつながりの中から、いすみ市への移住者支援の仕事もするようになりました。

私は、管理教育を軸にしたコントロールを子どもに課す、今の日本の学校には違和感があります。green parentsのみなさんが持っている夢やアイディアをかたちにすることで、地域の中で子どもが育ち、自然な交流が続いていく、自然な日本が戻ってくるといいなと思っています。

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北澤さんのアドバイスに対して、鈴木さんが返した言葉にも、みんな深く共感しました。

鈴木さん:子どもが大きくなって手があいたら(夢に)取り組もう、ではなく、思ったときにやらないといけないなと感じました。子どもの成長につれてやりたいこともどんどん変わりますもんね。やりたいと心に描いていることをやってみよう、それを友達に話してみよう、ちょっとずつでも発信してみようと思いました。

今日はありがとうございました。

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トークのあとも、子どもたちはまだまだ遊ぶ、遊ぶ!
green parents 同士もまだまだ話す、話す!

音と歌と物語のワークショップも盛況。あまりに素敵な読み聞かせで、いすみの材料で手作りした竹筒レインメーカーを手にした子どもたちが、楽器を鳴らすために片手を掲げたまま、口をあんぐりあけて静止している様子には思わずparentsたちもにっこり。

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草木染めのkitta、スローウォーターカフェやカフェスローが出店し、古着交換会のxChangeも盛り上がり、そこかしこで話に花が咲き、天ぷら油のバスが迎えに来る17時までがあっという間。参加したgreen parents 同士がお互いの仕事や夢の話で盛り上がって名残惜しそうでしたが、みなさん次回を楽しみに帰路につきました。

そう、子どもたちの夜は早いんです。遠出の外出、お疲れさまでした。

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そうそう、第1回目のgreen parents party主催チームの子どもたちへ。

普段の生活の場所も幼稚園も年齢も違うお友達と、出会ってすぐにお友達になれるあなたたちは、未来の希望です。初めての企画にバタバタするparentsたちに振り回されることなく、楽しそうに遊び、たくましく育ってくれて、どうもありがとう。

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▼次回予告!

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次回 green parents party は、10月17日(土)、「土と平和の祭典2010」にて開催します。

「土と平和の祭典」は、日本最大級の規模で、おいしいオーガニックフードや加工品、野菜、米、味噌、醤油、日本酒が買える魅力的なマーケット。しかも、子ども遊びのための仕掛けもそこかしこに準備されているという、green parentsにはたまらないお祭り。(greenz.jpに掲載された去年のレポート

みんなで行こう~。