greenzでも以前にお伝えした電池交換式のEVタクシー、ベタープレイスが経済産業省からの委託事業として行うこの実証実験がいよいよ本格的にスタートした。この実験のために作られた3台のタクシーは六本木ヒルズを起点として実際にお客さんを乗せ、東京の街を走る。電池交換を行う交換ステーションは虎ノ門に作られ、その開所式が先日行われた。実際見たらやっぱりすごい!ちょっと未来の東京を覗いてみよう!
今回の「電気自動車普及環境整備実証事業」には10の事業者が選ばれたが、電池交換式のものはこのベタープレイスのEVタクシーだけだった。もちろんそれには理由があり、その理由とはタクシーが利益を上げるためには車両の回転率を揚げる必要があり、そのためには充電に何時間もかけるのは現実的ではないというものだ。
さらにタクシーをEV化することの意味も大きい。タクシーは台数では乗用車の2%を占めるに過ぎないが、CO2の排出量に着目すると全乗用車の20%をタクシーが排出しているのである。また、東京はタクシーの数が6万台とロンドン、パリ、ニューヨークの合計台数よりも多く、これをEV化すれば東京のイメージは大きく変わる。ベタープレイスの言葉を借りるなら「東京がアジアにおけるEV首都になる」のだ。ステーションの開設式に先立って行われた記者発表にはベタープレイス本社のCEOで2009年にはTime誌の選ぶ「最も影響力のある人物100人」に選ばれたシャイ・アガシ氏も登壇、東京のすべてのタクシーがEVかされる近未来について語った。
そして、実際にこの交換ステーションでの電池の交換を目にするとその速さにやはり驚く。タクシーがレーンに入って、電池を交換し、出て行くまでわずか2分。すべては自動的に行われ、あっという間に終わってしまう。そしてこのステーションには、各EVタクシーがどこを走り、どれくらいバッテリーが残っているのかを管理するシステムもあり、非常に効率的なオペレーションが可能であるという印象を受ける。
今回の交換ステーションの開設と3台のEVタクシーの運行は経済産業省資源エネルギー庁の委託事業という形で、7月末までの期間限定だ。この期間が終わった後このステーションやタクシーがどうなるかは明らかにされていない。ステーション自体は約200台のタクシーを管理する能力があり、利益を上げるためにはステーションをフル稼働させる必要がある。つまり、3台だけのタクシーで利益をあげることは不可能だということだ。果たしてタクシーを増産し、EVタクシーを軌道に乗せることができるのか? ベタープレイスの本当の力が試されるのは、この実験期間が終わった後なのかもしれない。
でも、臭いも騒音もなく乗り心地は最高とのこと、料金は通常のタクシーと同じなので、機会があったらぜひ乗ってみたい! 電池交換ステーションの見学はいつでも可能、土日祝日には電池交換のデモンストレーションも行われるので、最新技術を見てみたいという方もぜひ!
EVタクシーに乗ってみよう