ポコポコといくつもの泡が積み重なったような不思議なカタチをしたタワー。このタワーが、将来、深刻化しつつある水不足を軽減するかもしれないとか・・・・・・。
日本で暮らしていると実感がわかないかもしれませんが、世界の水不足問題は年々深刻化しています。2030年には世界の半分近くが水不足に悩む可能性まで指摘されているほどです。
そんな水不足問題を軽減する、次世代の高層建築物としてデザインされたのが、この不思議なカタチをしたタワー。というのは、このタワーは淡水を生成する働きを持っているのです。
どのように淡水を生成するかというと、塩水で育ち淡水を出す、という変わった特性を持つマングローブを使用します。潮汐エネルギーを使ったポンプにより、マングローブを植えたタンクの中に塩水(塩分濃度を落とした海水)を導き、淡水を放出させます。
計算では、このタワーで一日3万リットルの淡水を生成でき、これは1ヘクタールのトマト畑で使用する1日分の水の量に当たるそう。世界の水総使用量の内、農業用に使われる水の量が一番多いのですが、このタワーで生成された水も農業用水として使われることを目的としています。
このタワーは、地球規模の環境改善や都市改革を実現し、我々の生活を向上させるような、新しいSkyscraperのアイディアを募集した「the 2010 eVolo Skyscraper competition」にて提案された作品の一つで、建設されるかどうかはわかりません。
しかし、水不足を軽減するために、科学技術だけではなく、植物のマングローブをフィルターとして使うなど、技術と自然の両方を利用して解決法を探ろうとする視点は、今後、環境問題を考える上で良い切り口になりそうな気がします。
資源としての「水」について知ろう