“WorldShift”を知っていますか?
“WorldShift”とは、自分にとって本当に大切なものは何かということをもう一度見つめ直して自分自身に変化を起こそうというメッセージ。
いつもどこかで戦争や紛争が起こっていたり、金融不安に悩まされたり、気候の変動に落ち着かない気分にさせられたり…。きっとほとんどの人は、こんな問題ばかりの世の中に、“いまのままじゃ、いけない”と感じているのではないでしょうか。
だったら、生き方や考え方の軸をちょっぴりシフト。オバマ大統領が言うチェンジだと“変えよう!”という決意が強すぎるような気がするから、それよりはいくぶん肩の力が抜けた取り組み。WorldShiftは、そんな意味が込められたメッセージなのです。
WorldShiftという言葉が生まれたのは1999年9月9日のこと。持続可能な世界を実現することを目指す世界賢人会議「ブダペストクラブ」のアーヴィン・ラズロ博士やゴルバチョフ元書記長らが提言を行ったことが誕生の由来です。
多様で多彩なプレゼン。でも、根底に流れる思いはいっしょ
オープニング・トーク(野中ともよ&田坂広志)、すべての映像はこちらから!
国連大学で4月24・25日、その“WorldShift”をキーワードに、ワールドシフト・ジャパン・ネットワーク主催の「Earth Day Tokyo 2010 WorldShift Forum ~持続可能で平和な未来へ~」が開催されました。
司会進行は、ワールドシフト・ジャパン・ネットワーク代表理事の野中ともよさんです。オープニングでは、シンクタンク・ソフィアバンク代表の田坂さんが登場して野中さんとトーク。WorldShiftの提唱者であるアーヴィン・ラズロ博士のメッセージ映像を上映し、その概念などについてを語り合いました。
そして本編では、20分区切りで、さまざまなプレゼンテーターが次から次へと登場。“「 」→「 」”の空白を埋める形で、自らのWorldShiftを提言するとともに、変化を起こすために取り組むようになった背景や方法のプレゼンしました。
このプレゼンは発表時間が短いことが大きな特徴です。終了時間が近づくと鳥の鳴き声が聞こえてくるのですが、発表時間はたった18分。この時間の短さが内容の密度と緊張感を呼び、そしてちょっとしたハプニングも招きました。
では、いったいどんなWorldShiftが提言されたかと言うと…、
「未来はいつかやってくるという意識から」→「未来は一人ひとりが造るという意識へ」上田壮一さん(Think the Earth プロジェクト プロデューサー)
「前例踏襲」→「創造的破壊」米倉誠一郎さん(一橋大学イノベーション研究センター長・教授)
「化石燃料社会」→「R水素社会」兼松佳宏x朝倉彩 (R水素ネットワーク)
などなど。
伝えたいことが多すぎた京都造形大学の竹村真一教授は、「時間ないからこれも飛ばしちゃいましょう。これも、これも!」とパワーポイント資料をズバズバめくっていったり、プレゼンすべてがエンタテインメントショーのようだった米倉誠一郎教授は、客席に降りてくるなどスタイルそのものが創造的破壊であったり。
ドクター中松のプレゼン
「Conservative」→「Creative」
ぶっ飛んだ技術を持った高弊俊之さんは、スケール感のある宇宙の旅を体験させてくれたり、ちゃめっけたっぷりのドクター中松さんは、80を過ぎてなお発明への意欲をめらめら燃やしていたり…。もちろん、国際NGO R水素ネットワークのプレゼンも最高でしたし、立教大学の佐野淳也准教授のダイアログの話もとても興味深いものでした。ワンステージ18分は、…それにしても短すぎ!
プレゼンテーターそれぞれが個性的なら、プレゼン内容もプレゼン方法もそれぞれが独創的だった「Earth Day Tokyo 2010 WorldShift Forum ~持続可能で平和な未来へ~」。でも、多様だからおもしろく、個性的だから刺激がありました。そして、すべてが異なっていても、根底に流れる“なんとかしなくっちゃ”という意識には共通項がたくさん見いだせたことも大きな収穫です。
人は、地球は、未来は、まだまだ可能性を残しているようです。一人ひとりがWorldShiftに取り組む準備は、もうすでにできているみたいだから!
■コメント〜ワールドシフト・ジャパン・ネットワークから
「WorldShiftのWorldとShiftには間がありません。これは、私たちがひとりぼっちなんじゃなくて、みんなつながっているんだよということを意味しています。WorldShiftの答えは人それぞれです。私たちがそれらをつなぐ大きなプラットフォームになれたらうれしいです」(野中ともよさん)
「環境問題、経済危機、社会問題など、さまざまな危機が取り巻いています。それらの問題に対して、考え方や行動を変えて、対応する必要に迫られています。いまから30年後の未来を考えて、そこからバックキャストして物事を見ていくような姿勢が大切ですね」(谷崎テトラさん)