「死んでも環境の役に立ちたい……(ガクッ)」
そんな遺言を遺して死なれたら、遺族としては何か行動せずにはいられないだろう。
魚の人工漁礁(リーフ・ボール)を作る会社を経営しているDon Brawleyは、生前に義理の父親にそのようなセリフを言われたのを、義父の死後に思い出した。そして、義父の頼み通り遺灰をリーフ・ボールとして再利用したのが、この「Eternal Reef」の始まりである。
「Eternal Reef」とは、遺灰をコンクリートに混ぜ、魚の住処となるリーフ・ボールとして再生したものである。人間の遺灰は、骨壺に納められたもの以外は産業廃棄物として処理されてしまうので、それを再利用するというエコフレンドリーな埋葬方法。しかも、魚の住処となる珊瑚礁は年々激減しているので、破壊されていく海洋環境を守るためにもリーフ・ボールは非常に役に立つ。
では「Eternal Reef」を海に沈めるまでの流れを簡単にご紹介しよう。
1. 遺灰でリーフ・ボールを作る。
遺灰を混ぜたコンクリートで、遺族や友人など故人と親しかった人たちとリーフ・ボールを作る。故人と共に「最後の」共同作業といった感じだろうか。孫がお祖父ちゃんのお墓(リーフ・ボール)を作る光景は、意外と楽しそうである。
2. リーフ・ボールを飾る。
リーフ・ボールに、故人の写真や思い出の品、メッセージなどで飾り付けをする。ここまで来て、この装飾が環境に悪いものだったら故人の遺志が台無しになるので、装飾の素材も吟味しよう。
3.「Eternal Reef」を沈める。
船で沖合に出て、故人とのさよならセレモニーを行う。フラワーシャワーのようにお花を海に浮かべるもよし、故人の好きな歌を歌うもよし、お別れを済ませたら、所定の位置に「Eternal Reef」を海に沈める。
4. 時々様子を見る。
海に沈めた3ヶ月後に、「Eternal Reef」の様子をダイバーが調査・確認してくれる。「Eternal Reef」沈めた位置の緯度と経度は遺族も知ることができるので、可能な場所であればお墓参り感覚で“お参りダイビング”するのもいいかもしれない。
夫婦で一つのリーフ・ボールを作ったり、ペットのものを作ったりもできるそう。気になるお値段は、サイズによって3,995ドル〜6,495ドル(約36万円〜60万円)まである。共同リーフは2,495ドル(約23万円)と少々リーズナブル。
死んだ後のことを「土に還る」とか言ったりするが、これからは「海に還る」という選択肢もありなのかも。
「Eternal Reef」の直近の浸水場所とスケジュールをチェック!