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46年ぶりの皆既日食、見逃したあなたも大丈夫。一番の特等席はPCの前!?

Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by zitalee_jingyi

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いやぁ、すごかった。皆既日食。日本で観測できるのが46年ぶりということで多くの人が「初めてみた」という今回の日食だが、ツアーに出かけた人、近所で観た人、TVで見た人、ネットで見た人とさまざまだった様子。あなたは日食を満喫できましたか? 

満喫できたという人も、そうでない人ももう一度振り返って、その醍醐味を味わおう。

今回、皆既日食が起きたのはインドからキリバスにかけて、南アジアから太平洋にかけての広い地域で多くの人たちが日食を観察しようと空を見上げた。まずは起きた順番にどのような報告があったか見てみよう。

インド

greenz/グリーンズ 日食インド1
Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by zitalee_jingyi
インドでは夜明けとともに日食が始まった。ヒンドゥー教の神話では、日食を「魔神ラーフとケートゥが太陽を飲み込み、吐き出すために起きる」と解釈することもあってインド人の多くにとっては不安な瞬間となった。しかし天候はよく、ダイヤモンドリングプロミネンスもしっかりと観察できた。観光客や科学者にとっては非常にいい条件だったといえる。

アラハバッドではヒンドゥー教の聖者サドゥーも日食に見入った(トップの写真参照)。インド各地では日食の間人々が祈りを捧げ、無事終わった時には歓声が上がったという。

ネパール

ネパールでもインド同様、日食は不吉なこととされており、妊婦は部屋から出て行けないとか、日食の間はものを食べてはいけないとか、いろいろな禁忌あるようだ。雲の上にそびえる山々から日食を見たらさぞ美しいだろうと思うが、その様子を記録した映像などは見つけられなかった。やはりその土地で不吉とされているものは記録されにくいということだろう。

ブータン

仏教国のブータンでは日食は歓迎される。日本からのツアーもいくつかあり、寺院などで日食を観察するツアー客の様子が報道されてもいた。

アジア各国の日食のとらえ方の違いは、人間が地球と太陽と月という宇宙のサイクルと生活とを密接に関係付けてきたことを示唆する。日食を凶兆ととるか吉兆ととるかという違いはあるにせよ、その特異な現象が人間に影響を及ぼすと信じていたわけだ。これは人間が人間だけで生きるのではなく、自然そして宇宙の一部であるということが意識の根底にあることを意味する。いま地球意識なんて騒がれていることが昔は普通にとらえられていたのだ。現代の社会が以下に過剰に人間中心主義になっているのかということがよくわかる。

中国

greenz/グリーンズ 日食上海
Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by Qiao-Da-Ye賽門譙大爺
皆既日食帯に含まれる最大の都市上海はあいにくの雨で太陽が欠ける様子はまったく見えなかった。しかし、太陽が完全に欠けたとき、あたりはまるで夜のように真っ暗になり、街の建物には明かりが灯った。悪天候だったからこそのこの現象、これも日食と太陽のパワーを感じさせてくれる出来事だった。

杭州は薄曇り、皆既日食は観察できたようだ。flickerには世界各国のユーザが撮った日食写真がたくさんアップされている。この杭州の写真もその一つ。
greenz/グリーンズ 日食杭州
Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by jaaron

トカラ列島

日本で最も長く皆既日食が観察できるとして人気を集めた悪石島、多くの観光客が訪れたが雲は晴れず、雨が降り、竜巻も発生するなど荒天、太陽はまったく見えなかった。上海と同様周囲が真っ暗になるという現象は見られたが、わざわざ日食を見に来た観光客には大きな落胆だっただろう。

奄美大島、喜界島

喜界島、奄美大島では鑑賞できた。奄美大島には沢尻エリカ夫妻が訪れて話題になったが、前日には奄美皆既日食音楽祭なるものが開かれて盛り上がったようだ。もちろん日食そのものを見ることが最大の目的ではあるけれど、一種のお祭りとして楽しむこともイベントとしての日食の楽しみ方の一つであるはずだ。TVやネットを通して共有される体験とはまた別の、その場所にいる人だけが共有できる体験、それも太古から“祭り”としても体験されてきた日食の体験の仕方の一つなのかもしれない。

硫黄島


NHKonlineのYouTube動画

NHKが中継した硫黄島、天候もよく、素晴らしい条件で見ることができた。とはいえ、一般人が立ち入ることは出来ない硫黄島、見ることができたのは舟に乗ってのツアーに参加した限られた人たちだけ。でも、日本人の多くはお茶の間で見守り、感動し、今度は自分の目で見たい!と強く思ったはずだ。

NHKがYouTubeにアップした中継映像は必見! おそらく今回の皆既日食の映像の中で最も美しいものだろう。

キリバス

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一番遅く日食が始まったキリバス、天候もよくしっかりと観察できた。LIVE! ECLIPSE 2009が中継のためスタッフを派遣したが、トラブルが発生し今ひとつだったのが残念。しかし、写真はこの通り美しい。

皆既日食が見られた地域ではこのような悲喜こもごもがあったが、ほとんどの人は、その様子はテレビで眺めただけで、自分の目では部分日食を見ようと空を見上げただろう。沖縄、九州、四国などではよく見えたらしい。特に90%まで欠けた沖縄や九州では、辺りが薄暗くなったりと皆既日食にかなり近い体験が出来たという。

首都圏は曇りがちだったが、雲の間から何度か顔を覗かせた。東北や北海道でも欠け方は小さいがよく見えたという。北海道ではゴルフの石川遼プロもプレーの手を止めて日食を観察したとか。

コチラは宇都宮での一枚

greenz/グリーンズ 宇都宮
Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by at_ut

日食そのものはいつの時代も変わらないが、その伝わり方は大きく変化した。最近話題のリアルタイム・ソーシャルメディアであるtwitterは今回も威力を発揮した。各地のtwittererが状況を報告し、写真をアップし、NHKの放送が優れていること、YouTubeに動画がアップされていることなどもいち早く伝達された。LIVE! ECLIPSE 2009が設定したハッシュタグ#eclipse0907も広まって、多くのユーザがこのハッシュタグから情報を得た。

LIVE! ECLIPSE 2009はPCに加えてiPhone向けにもライブ配信を行い、モバイル時代の期待にこたえた。今回はインフラの弱さや人手の少なさが原因で、十分に力を発揮できなかった感はあるが、携帯端末を通じて世界が同時に同じ情報を(動画で)得ることができるという近未来のかたちを示したように思える。

すっかりまとめが長くなってしまったが、今回はなんと言ってもNHKがよかった。NHKも乗り込んでいた船のツアーに参加していた人たちが最も幸運な人たちだったといえるだろうが、NHKはその機会を十分に生かし素晴らしい機材でリアルタイム中継を行った。

映像の中継は超高速インターネット衛星「きずな」の映像伝送実験によって行われたという。インフラの充実もNHKが民法を引き離した一つの要因だろう。TVもまだまだ捨てたもんじゃないということをNHKは証明して見せたと思う。

そんなさまざまな体験の仕方を通じて感じたのはやはり日食という現象の壮大さだ。いつもは自分の周囲の小さな世界にしか目が行かないけれど、こういう出来事を体験すると、広大な世界に思いを馳せることができる。それは地球意識を越えた宇宙意識であり、自分が宇宙という大きなものとつながっているという意識だ。

ひまわりが撮った地球の画像にくっきりと映る月の影、これを見るとその思いはさらに強まる。

greenz/グリーンズ 日食衛星
動画はコチラ

今回の日食の映像を観て、「いつかは自分の目で見てみたい!」と思った人も多かったのではないだろうか。何を隠そう私もそのひとり。日本で次に皆既日食が見られるのは26年後、それまで待てない!という人は来年イースター島で見ることができる。その次は2016年にマレーシアとインドネシアで見られるそうだ。(ちなみに、2012年5月25日の金環日食は日本列島の広い範囲で見ることができるようです

最後に台湾で撮られた三日月形の木漏れ日の写真を。

greenz/グリーンズ 日食木漏れ日
Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by daniellih

皆既日食ってすごいなぁ。

YouTubeで日食の映像を見る!