モーターカーレースを取り巻く環境は厳しい。スピードを競ってサーキットをぐるぐる回るのは化石燃料の浪費とも思えてしまう。ならばもっとエコにレースをしたいところだが、いくら“エコ”と言ってもモーターカーレースの醍醐味はスピード、ソーラーカーや電気自動車じゃあスピード感は楽しめない。でも野菜でできたレーシングカーで化石燃料も使わず時速230km出たらどうだろうか? そんなマシンを作ってしまったチームがある……。
そんなマシンを開発したのはイギリスの“ワールド・ファースト・レーシング”。このチームが作ったのは野菜で出来たF3カーだ。ステアリングはニンジンから、シートは大豆から、車体はジャガイモから出来ている。もちろんそれだけで車が出来るはずもなく、カーボンファイバーや金属も使っているが、それらもすべてリサイクルされたものである。
F3というのはF1を頂点とするフォーミュラカーレースの下位カテゴリーで最高速度は270km/h程度、ワールド・ファースト・レーシングのF3カー”ecoF3”は5/12のテストでは190km/hを達成、近い目標として230km/hを上げているから、F3は本当に手の届くところにある。
この“ワールド・ファースト・レーシング”はただ植物由来の原料でフォーミュラカーを作り、それをバイオディーゼルで走らせることでよしとしているわけでは決してない。彼らの野望は彼らが作った車がフェラーリやマクラーレンといったF1チームに売り込むことなのだ。時速230kmではまだまだF1には挑戦できないし、さまざまなレギュレーションの問題もあるけれど、生き残りに必死のレース界のほうからも歩み寄りがあるだろうことは予想できる。
折しもF1の世界では開発費の抑制などさまざまなレギュレーションの変更が議論されている。現在の世界の状況を考えれば、F1がよりエコロジカルな方向に進むであろうことは明らかだ。近い将来、燃料は化石燃料由来ではないものに限定され、車体の原材料はすべてリサイクル原料でなんてことにならないとも限らない。そうなったときこそこのワールド・ファースト・レーシングの出番だ! そのうち原料の野菜別にチーム分けがされたりして…
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