マイホーム発電&排熱利用システム「エネファーム」。環境効果はどのくらい?

東京ガス

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エネルギーをつかう家から、つくる家へ。

夢あるキャッチコピーと共に登場した「エネファーム」は、都市ガスから取り出した水素をつかって電気とお湯をつくる家庭用燃料電池システム。さて、どのくらいの環境効果が期待できるのだろう?

まずは、エネファームのしくみを説明するので、その環境への影響を考えてほしい。

エネファームのしくみ① 家でつかう電気とお湯は、家でつくる

従来、私たちが使う電気は、遠く離れた大型発電所でつくられ、送電線で送られてくる。(特に原子力発電所は遠方に設置されている。)送電時には大量のエネルギーが失われてしまい、利用できるエネルギーは、1次エネルギー37%。エネファームは、自家発電によって送電距離を大幅に縮める。加えて、コージェネレーションによって発電時の排熱を回収する。結果、1次エネルギーが持つエネルギーの80%を電気(うち33%)や熱(うち47%)として有効利用する。熱は、給湯や床暖房に利用される。

greenz/グリーンズ efficiency
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エネファームの発電・排熱回収のしくみ

エネファームのしくみ② 水素と酸素の化学反応で発電

エネファームは、都市ガスから水素を取り出し、水素を空気中の酸素と化学反応させて電気をつくる燃料電池。都市ガスの主成分メタンは、炭素原子1つあたりの水素原子の数が4つという、水素リッチな化石燃料。

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メタン分子は、1つの炭素原子と4つの水素原子から成る。

greenz/グリーンズ chemistry
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水素と酸素の化学反応で、電気が発生する。

ただ、都市ガスには、ガス漏れの際いち早く発見できるようにと、硫黄分を含んだ付臭剤が加えられている。水素をつくる過程で、二酸化炭素(CO2)とともに、微量とはいえ、硫黄酸化物(SOx)が発生してしまうわけだ。
注)東京ガスでは近々、付臭剤に含まれる硫黄分を約半減するため、付臭剤の成分を変更する予定

エネファームのしくみ③ リモコンで見える化

エネファームのリモコン画面には、発電量、貯湯量、買電量、そしてCO2削減量も、リアルタイムで表示される。先月と今月の電気消費量を比べることもできる。

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木や葉っぱのイラストで表示されるCO2削減量。

エネファームに期待される環境効果と課題

以上3つは、いずれもエネルギー利用率アップ、 CO2排出量ダウンにつながるしくみだ。しくみ③は、エコ意識をアップすることで、家を離れた場所のCO2排出量ダウンにもつながるかもしれない。こどもの環境教育にも役立ちそうだ。

東京ガスによると、一般的な家庭(戸建住宅、延床面積150㎡、4人家族)を想定した場合、1台のエネファームを1年間使うことで、従来より約1.5トンのCO2排出量を削減できる。このCO2排出量は、約3,300m2のブナの森林が吸収する量とほぼ同じとのこと。1台の自家用自動車の平均二酸化炭素排出量に換算すると、約7か月分にあたる。

気をつけたいのは、エネファームはゼロエミッションではないということ。水の電気分解の逆のプロセスで発電するから、発電時には、電気と熱のほかに発生するのは水のみ。でも、発電に必要な水素を都市ガスから取り出す過程では二酸化炭素が排出される。つまり、電気消費量が増えれば、二酸化炭素排出量も増える。この点が、太陽光発電や風力発電など炭素を含まないエネルギー源を利用した発電システムと異なる。

もうひとつ、エネファームのエコ度に影響を与える要素を覚えておきたい。それは、熱利用。エネファームのエコの鍵は、排熱利用にある。しくみ①で説明したように、排熱を利用しなければ、エネファームのエネルギー利用率は33%まで落ち込んでしまい、従来のシステムよりも多くのエネルギーが無駄になってしまう。床暖房や温水ラジエータやお風呂など、熱を多く使う家庭のほうが、省エネ率が高く、CO2排出率が低くなる、というわけだ。かといって、熱の利用を増やしすぎてしまうと、バックアップである従来システムを使うことになってしまう。

気になるエネファームのコストパフォーマンス

いまのところ、エネファーム1台の価格は約350万円。
光熱費が低減されるし、エネファーム利用者にはお得なガス料金メニューが用意されている。国の補助金も適用される。それでも、現在の状況では、購入時の費用の回収は難しい

家庭で使う電気のうち、エネファームでまかなえるのは、約6割。電力の需要が大きいときは、従来システムの電気を併用できる。でも、発電によって発生した熱を他の施設で使ってもらうことはできない

電気事業法の制約があることから、停電時は運動停止してしまう。

燃料電池のポテンシャルを最大限発揮するには、まだ改良の余地がありそうなエネファーム。次のブレイクスルーを、楽しみに待ちたい。