高度1万メートルの上空で排気ガスを撒き散らすジェット機、海外旅行には行きたいけれど、飛行機による環境破壊には心が痛い。でも再生可能エネルギーだけで飛ぶ飛行機なんてまだまだSFの世界の話… なんて思ったら大間違い!太陽エネルギーだけで飛ぶ飛行機が実現しようとしているのです。
そんな飛行機を開発しているのはスイスのSolar Impulse社、2009年に試作機のテスト飛行、2011年には太平洋横断と世界一周フライトへの挑戦を目指している。コンセプトはいたって単純、飛行機の翼の上にソーラーパネルを敷き詰め、それによって発電された電力で飛行機を飛ばす。
試作機HB-SIAは翼幅が61メートルで世界最大の飛行機の一つエアバスA-380よりも少し大きいという巨大なもの。しかしなんと一人乗りでコックピットも与圧されていない。これはソーラーパネルの発電量の限界からそうならざるを得なかったのだ。
HB-SIAとエアバスA380の比較。
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つまり旅客機として使うにはまだまだというわけだが、訓練をつんだパイロットが一人だけしか乗れなくてもまったく化石燃料を使わず、排気ガスも出さない飛行機であることは間違いない。現在の課題は昼間に充電した動力で夜間の飛行を実現するためのエネルギーの効率化。それが可能になれば太平洋横断も夢ではない。
リンドバーグが人類初の単独無着陸大西洋横断を達成したのは1927年、ジェット旅客機が誕生したのはその30年後の1957年だ。そのことを考えると、太陽エネルギーだけで飛ぶ旅客機の誕生もそう遠い未来のことではないのではないだろうか?
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