すごく専門的で細かい話にはなるが、日本にもエコな資源があった!
化粧品や医薬品といった化学製品を作る際、重要になるのが酸化反応という工程。これは化学製品の原料となるアルデヒド、ケトン、エステルなどの物質がアルコールを酸化させることで生成することによる。
酸化させるとはつまり、アルコールと酸素を結びつけるわけだが、ただアルコールと酸素を混ぜればよいわけではなく、マンガンや鉛、クロムといった金属の過酸化物をアルコールと混ぜることによってアルコールが酸化する。このような酸化の仲介をする物質を触媒と呼ぶのだが、従来この触媒には金属が使われてきたわけだ。
しかし、この金属触媒は多くが毒性を持つため、医薬品を製造する際には精製が必要でコストがかかった。また金属資源の減少によるコスト高も今後予想される。
名古屋大学大学院工学研究科の石原一彰教授とムハメット・ウヤヌク助教はこの酸化の工程に金属の代わりにヨウ素化合物を利用する方法を開発した。ヨウ素は非金属で環境に優しく、しかも安全だという。さらにはこのヨウ素、日本は世界の生産量の40%を占める世界第2位のヨウ素輸出国だというから日本には願ったりかなったりの発明なのだ。
化学製品というのは市場規模が大きいだけでなく、われわれに身近なものでもある。ヨウ素は関東平野の地下水から多く取れるらしい。もしかしたらあなたの足元を流れている水が世界を救う! ……なんて日がもうすぐ来るかもしれない。