石油や石炭といった化石燃料に代わるエネルギーとして期待されるバイオ燃料だが、とうもろこしなどの食用にもなる穀物を原料とするため食糧の高騰という弊害が生じ、普及の障壁となっている。そこで食糧以外の原料によるバイオ燃料の開発が各地で行われているわけだが、あのビル・ゲイツが投資するバイオ燃料が誕生したという。
その燃料の原料は緑の藻。しかも生成されるのはエタノールではなく軽質スイート原油(硫黄を含まない原油、ガソリンの精製が容易)と同じ化学組成を持つ油であり、そこからガソリンや灯油の精製が可能なのだという。もちろん、その油を燃やせば二酸化炭素が排出されるわけだが、藻から燃料を作る過程で行われる光合成による二酸化炭素の吸収によりオフセットされる。しかも、それほどきれいではない水でもこの藻は繁殖が可能なため、食糧生産のための農業用地/用水との競合も起きないという。
これを開発するSapphire Energy社は5年以内に1日1万バレルの生産が可能になるという。1万バレルという数字はアメリカで1日に消費される石油の0.1%にも満たないし、原料が藻であっても燃やすときには汚染物質が排出されるという懸念はあるが、食糧生産に影響を与えることなく、化石燃料から脱却するという未来図への希望を抱かせてくれるものではある。
同様の研究のいくつかが続けて実を結べば、化石燃料をそれほど必要としない未来というのもそう遠くはないのではないだろうか。