ISSUE☆連載 HOW TO BE A GOOD NEIGHBOR

3 years ago - 2013.08.09

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音楽と一緒にゴミの分別もエンジョイ!鹿児島の野外フェス「グッドネイバーズ・ジャンボリー」の画期的なゴミステーションとは?

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いよいよ夏本番ですね!
読者のみなさんのなかで、野外フェスに出かけるひとも多いのではないでしょうか。

野外フェスの醍醐味と言えば、屋外でのライブはもちろん、人気店のフードやドリンクを堪能できること。しかし、どのイベントでも来場者や出店者が増えるにつれて問題になってくるのはゴミ問題です。この夏で4回目を迎える「グッドネイバーズ・ジャンボリー」も、当初は例外ではありませんでした。

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グッドネイバーズ・ジャンボリーのFacebookページより

ゴミの分別は20種類!

鹿児島県南九州市の山間にある「かわなべ森の学校」で開催されているグッドネイバーズ・ジャンボリー。築100年ほどの古い校舎とシンボリックな大きな楠、豊かな緑の中で“聴く”、“学ぶ”、“創る”など、ジャンルを超越したクリエイティブな活動が楽しめます。

そして、会場であるかわなべ森の学校をきれいに使うため、ゴミステーション運営しているのが、グリーンズでも以前紹介した「サクラ島大学」です。

このゴミステーションは、来場者それそれがゴミを処理・分別する全員参加型。そのような試みも増えてきていると思いますが、一線を画すのは、プラスチックでも「やわらかいプラスチック」と「かたいプラスチック」、ビンでも「無色のビン」と「茶色のビン」を分けるなど、ゴミを20種にも分別すること。そこに至るにはフェスの舞台となる町の住民との、素敵な学びあいの関係がありました。

そんなゴミステーションの舞台裏について、サクラ島大学学長の久保雄太さんにお話をうかがいました。

ゴミブースとゴミステーションの違いとは?

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久保雄太さん(撮影/小久保 葵)

サクラ島大学は、地域資源を活かし “学び”の時間を通して心地よく人とつながっていくことを目的とした架空の大学。

「実は、僕自身はエコや環境問題に対してスイッチをもっている方ではないんです。だからスイッチをもっていない人でも抵抗感なく参加できるゴミステーションを作る必要があると思ったんですよ」と前置きした久保さんですが、サクラ島大学としては、2回目のグッドネイバーズ・ジャンボリーでゴミブースを手伝い、そこでの苦い経験を経て、昨年の3回目から正式にゴミステーションを運営することになったそうです。

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ゴミステーションの様子

一昨年は3つほどのゴミ箱を設置しただけのグッドネイバーズ・ジャンボリーのゴミブース。来場者が捨てたゴミ箱の中のゴミを、サクラ島大学のスタッフで川辺町のゴミ分別のルールに従って20種に分別したのだとか。

「このときは、引き受けたものの事前の準備が足りなかった。正直、大変でした」と久保さん。この反省を踏まえて運営したのが、昨年実施した全員参加型のゴミステーションです。

スタッフの声かけと誘導のもと、食べ残しの生ゴミはざるで水切りをしてから捨てたり、食べ物の容器は霧吹きで水をかけてから端切れで拭いたり、みんなでゴミを分別するようにした。

と久保さんが話す通り、このゴミステーションの仕組みは来場者の協力あってのものでした。この仕組みには、かわなべ森の学校を守る人々の想いや、川辺町の歴史と深い関わりがあります。

かわなべ森の学校を守る人たちの想い

児童数の減少に伴い、平成2年に閉校になったかわなべ森の学校(旧長谷小学校)。この木造校舎や校庭の維持に力を注いでいるのが、「長谷ふるさと村」のメンバーです。久保さんは長谷小学校の卒業生だというメンバーを取材し、「 “場所を守りたい”“使うことが守ること”という考え方にグッときた」と言います。

使えば使うほど傷む部分もあるのに、日々手作業で修復している人が「場所が必要とされることがうれしい」とおっしゃる。だから僕らはできるだけきれいに、ていねいに使わなければならないと思ったんです。

川辺の歴史から学んだこと

1997年、当時の川辺町町長が行政視察の際、ゴミの埋め立て場のずさんな現状を目の当たりにしました。奇しくもその頃、日本で話題となっていたのがダイオキシン問題。川辺町でも調査を実施すると、基準値を遥かに上回る数値が検出されてしまいました。

当時は同じような問題を抱えた市町村はそれらの事実をひた隠しにしていましたが、川辺町町長はデータを公開するとともに、野焼きや埋め立てを禁止します。そして、自治体のゴミ処理能力から考え、20種類の分別を決定したのです!

町長らは住民の理解を得るため幾度となく説明会を開催します。当初は住民からの反発もありましたが、行政の誠実な対応が実って今では住民が積極的に分別に取り組み、ダイオキシン問題は収束していきました。

久保さんは「当時の町長さんたちが動かなければ、問題は解決しなかったと思うんです。そして、僕らも川辺のきれいな空気の中で楽しむことができない」と話します。こだわりのゴミステーションには、こんな原点があったんですね。

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川辺のゴミ出し風景 写真提供:サクラ島大学

ゴミステーションは“川辺方式”

「おはよう!このゴミはどこ?このゴミはあっちね?」と声をかけ合って、みんなでゴミを分別するのは川辺町の日常的な朝の風景だそう。お年寄りが多く暮らす川辺町では、分別のルールをしっかり把握するのが困難な方も。だからこそ、近隣の住人同士が協力してゴミの分別に取り組んでいるのです。

ゴミの分別を通して近所のコミュニケーションが生まれているんです。まさに“グッドネイバーズ(善き隣人)”な光景でした。だから僕たちのゴミステーションは、“川辺方式”。当日は、町の人たちのやり方を参考にして、道具もお借りして、できるだけ川辺町のゴミ置き場を再現しました。

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自らのテーマとしてゴミを考える

「川辺の人たちは食品の容器がゴミとして出ても、ゴミの日が来るまで洗って保管しているので、ただの容器としか思っていないんです」と久保さん。それはゴミステーションにも同じことが言えます。

きちんと水切りし、定期的に排水した生ゴミからは独特の匂いがすることもないですし、ゴミ袋に20分別された容器やビンは種類や色ごとに分かれているので、ある種の美しさすら感じます。

確かに、ゴミの匂いがない中での分別や、川辺の暮らしを体験しているという実感は、来場者にゴミを汚い物と感じる抵抗感よりも、イベントの一部として受け入れられていました。

実際にゴミステーションのサポーターとして参加していた方々も、「親子で楽しそうに分別してくれてうれしかった」「拒否反応を示す人がほとんどいなかった」と感想を話してくれました。しかし、ほんのひと握りの来場者からは「お金を出して来ているのにゴミの分別なんて…」という声もあったそう。けれども、久保さんは「分別はあくまでも強制して行うものではない」と言います。

ゴミステーションにゴミを分別して捨てるという行為は、来場者全員が参加できるグッドネイバーズ・ジャンボリーの企画のひとつ。それは特別なことではなくて、来場者が自らのテーマとして考えるきっかけになることを願います。

暮らしを学ぶゴミステーション

4回目を迎えるにあたり、「出店者にも出来るだけマイ皿やマイカップに対応してもらえるようお願いしている」という久保さん。

鹿児島には素晴らしいクラフト作家さんが大勢いるので、出来るだけお気に入りの食器やカップを見つけて食事を楽しんでもらえたらうれしい。

とも話してくれました。

グッドネイバーズ・ジャンボリーはジャンルを越えたクリエイティブな活動が愉しめる野外フェスティバル。ゴミの分別やそこで交わされる温もりのあるコミュニケーションも川辺方式のゴミステーションと言えます。

今年の開催日は8月31日。グッドネイバーズ・ジャンボリーを通して、美しく緑豊かな川辺町の暮らしを体験してみませんか?

(Text:やましたよしみ/編集:四元朝子)

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