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「100日間、洗わなくても臭わないシャツ」を自ら実験して、3,000万円も集めたファッションブランド「Wool&Prince」

Wool & Prince Some Rights Reserved. Wool & Prince Some Rights Reserved.

アメリカ・ニューヨークに、ウールシャツ専門店「Wool&Prince」というブランドが誕生しました。ここの自慢の逸品は、「100日間着続けても臭わない、シワにならない、クリーニングが必要ないウールシャツ」。

そんな洋服が、本当にあるのでしょうか?

「Wool&Prince」のMac Bishop(以下マックさん)は、自ら100日間をかけてそのことを実証。ブランド立ち上げのため、「Kickstarter」で、ファンドレイズもはじめました。

この「洗わなくても臭わないシャツ」というセンセーショナルな売り文句は、またたく間にインターネットで話題となり、「Wool&Princeのウールシャツはランドリーが苦手な怠け者にぴったり!」と数々の紙面でも紹介されていきます。

Kickstarterに投稿したビデオでは、「手間がかからないジーンズとは対照的に、シャツはかっこいいけどシワになり、こまめな洗濯が必要というのは本当か?」という問いかけから始まります。

マックさんは実験中、街中の人たちに無理矢理シャツを触らせたり、臭わせたりして見た目や臭いの感想を聞いていきます。その感想は「クリーニングしたてみたいだね」とか「別に臭わないよ」といったものばかり。その後、「実はこのシャツは100日間ぶっ続けて着ていて一度も洗っていない」という事実を知らされると、みんな驚きの顔を見せるのです!

マックさん自らシャツを着たまま池に飛び込んだり、サイクリングで汗を流したりしたり。それでも、シャツにはシワもつかず、洗わなくても臭わなかった。何よりその事実が、軽くて、着心地が良くて、コットンと比べて6倍長持ちというウールの持ち味をさらに広めていきました。

Wool&Price Some Rights Reserved. Wool&Prince Some Rights Reserved.

その後も世界中の15人の男性に実際にシャツを100日間着てもらい、フィードバックをもらいながら改良を重ねていったマックさん。その結果、なんと3,000万円ものお金を集めることに成功し、98ドルのシャツは完売、ただいま予約待ちと大盛況!

と、そんなセンセーションを起こした「洗わなくても臭わないシャツ」ですが、当のマックさんは、

特許を取るような技術を使っている訳ではなく、ウールを再構築ブランディングしただけ。

と話します。

Wool&Price Some Rights Reserved. Wool&Prince Some Rights Reserved.


実はマックさんの家族は、アメリカ・オレゴン州でも有名なPendleton Woolen Mills(以下、ペンドレトン社)というアパレルメーカーを経営する一族。「洗わなくても臭わないシャツ」のアイデアが生まれたのは、以前中国の取引先から送られてきたエアルームという、軽めのシャツを手にしたときがきっかけだったそうです。

とはいえマックさんのお父さんから「洗わなくても臭わないシャツ」の提案を却下されたことで、マックさんはKickStarterでアイデアを実行するに至ったという背景が。

結果的にはそれが功を奏し、臭わず、シワにもならない「マジック・シャツ」は、分かりやすいセールスピッチがメディアの注目を集めました。また、それを面白おかしく実の父の商品(=臭いがつき、シワにもなる従来のシャツのイメージ)と対比させてウールの新しい可能性をPRしたことも、思いの外多くのお金を集めた秘訣だったのかもしれません。

もともとは「洗濯がめんどくさい」という層をターゲットに開発されたウールシャツですが、見方を変えると「洗う回数が減る」という環境にも優しい側面も持っています。衛生面について書かれたレポートがまだないので分からない部分は多いですが、ぜひ実物が見てみたいですね。

Kickstarterのように、クラウドファンディングなどのファンドレイジングが気軽にできるようになりました。皆さんもマックさんのように、一度却下されたといって諦めず、温めておいたアイデアをお披露目してみてはいかがでしょうか。

(Text:鷲尾 直美)

[via fastcoexist]