眠っている赤ちゃんをアート作品にしてしまう「寝相アート」が流行っているのは、ご存知でしょうか? 想像力次第でどんな世界も表現してしまえるところが、とてもすてきなアイデアです。
スロベニアの少年、Luka(以下、ルカくん)がこの寝相アートに挑戦したのは、まったく異なる理由からでした。
ルカくんは、筋ジストロフィーという難病にかかっています。これは筋肉が縮み、次第に体の自由がきかなくなっていく病気。12歳の彼は、自分の足で歩いたり、手足を満足に動かすことさえできないのです。
それでも彼は、前向きでした。彼なりの方法で、横になったまま、写真を通してなりたい自分を表現してみせたのです。
バスケットボールをしてみたり
スケートボードをしてみたり
海の中をスイスイ
ギターをかき鳴らし、音楽に合わせて体を動かす
ジャーン!
撮影に協力したのは、精神病医であり写真家でもある Matej Peljhan(以下、ペルヤンさん)。カウンセラーを勤める学校で、ルカくんと出会います。
あるときルカくんに「自分が歩きまわったり、イタズラをしているところを写真に撮ってほしい」と頼まれたのをきっかけに、ペルヤンさんはこれらの写真を撮ることに決めたのでした。
想像の力を借りることによって、ルカは、自分の障害のことを忘れることができるのです。
と、ペルヤンさん。彼はルカくんの写真を集めた作品に、「Le Petit Prince(星の王子さま)」というタイトルをつけました。
「人が空想できる全ての出来事は、起こりうる現実である」と、僕の好きなマンガで読んだことがあります。ほしい未来も、なりたい自分も、すべては想像することから始まるもの。思い描かなければそれを叶えることはできないからこそ、ルカくんのような夢を持つ心、想像する心、いつまでも忘れずに持っていたいですね。
(Text: 宮本裕人)
[via Co.EXIST]