ハードウェア・ソフトウェア・データなどを自分のマシンに保存・管理するのではなく、インターネット上で提供されているサービスを利用する、クラウドコンピューティング。インターネットに接続できれば、PCはもちろん、スマートフォンや携帯電話からでも、いつでもどこでも使えるのが利点のひとつです。そんな「クラウド化」の波はいよいよ携帯電話の世界にも広がってきているとか…!
日本では“一人一台”が当たり前になりつつある携帯電話ですが、世界人口の7割以上、40億人規模にのぼる貧困層「BoP(Base of the pyramid)」にとって、携帯電話やSIMカードは極めて高価な買い物。そこで、英国のソーシャルベンチャー「Movirtu」は、アフリカや南アジアの地元プロバイダーと提携し、このような貧困層に向けた“モバイル版クラウドサービス”を開始しました。仕組みは至ってシンプル。各ユーザには、ログインコードと電話番号が割り当てられており、他の人の携帯電話やスマートフォンからこのログインコードを入力すると、“自分のデバイス”に早変わり。自分の電話番号を使って、電話の受発信やショートメッセージの送受信などができます。また、受発信の履歴や連絡先などのデータは、デバイスではなく、インターネット上に保存されるので、プライバシーやセキュリティ面も安心です。
原始的な電話の共有方法としては、他の人の電話をそのまま借りるとか、公衆電話を利用するという方法もありますが、これらはいずれも発信側からの一方向のコミュニケーションになってしまうのが欠点。これに対して、「Movirtu」のモバイルクラウドサービスは、各ユーザに電話番号を付与することで双方向のコミュニケーションを可能にしています。たとえば、電話未設置の家庭や商店・企業でも、固有の連絡先を持つことができ、ネットワーク上で”アイデンティティ”を確立することができるのです。
誰でも必要なときに通信ネットワークを利用できる、Movirtuの「モバイルのクラウド化」は、経済格差に伴う情報格差や社会格差といった“デジタル・デバイド(Digital divide)”の解決手段として、画期的な仕組みといえるでしょう。世界中がフラットにつながる日も、そう遠くない未来かも?!
経済産業省によるBoPビジネスの方針について調べてみよう。