greenz.jpでもたびたび紹介している「TEDx」。「Idea worth spreding」という理念のもと、世界に広めるべき価値あるアイデアやプロジェクト、活動を行っているゲストを迎え、プレゼンテーションをしてもらうイベントとして世界中で開催されています。
特に昨年は、6月にTEDxTokyo、9月にTEDxKyoto、10月にはTEDxSendai、11月にはTEDxSeeds、12月にはTEDxKeioSFCが開かれ、TEDxラッシュとなりました。
また、今年に入っても先日はTEDxSapporoが開催されるなど、日本各地でTEDxが行われています。そんな中、TEDxTokyoのスピンアウト版である「TEDxTokyo yz ver.3.0」が来月2月2日に開催。
今回のテーマは「de-mosaic-ing(デモザイキング)」
TEDxTokyo yzは、次世代を担う若者にフォーカスしたカンファレンスを行ってきました。5回目の開催となる今回は、「ver.3.0」と銘打ち、「de-mosaic-ing(デモザイキング=モザイクを消していくこと)」というテーマを掲げています。見えないもの、見えないようにされているものや知らない世界、これまで避けられてきたものに様々な角度からスポットを当てるとのこと。
スピーカーには、遠藤謙氏(ソニーコンピュータサイエンス研究所 アソシエイトリサーチャー)、冨田伊織氏(透明標本アーティスト)、藤間 蘭翔氏(日本舞踊家 藤間流師範)、槌屋 詩野氏(HUB Tokyo 共同設立者)、栗原 一貴氏(産業技術総合研究所 研究員)など10名ほどが名を連ねています。
開催まで数週間とせまる中、「TEDxTokyo yz ver.3.0」のプロジェクトリーダーである鈴木祐介さんに今回のイベントについてお話を伺いました。
キーワードは色々な「見えないもの」
Q 今回5回目の開催と言うことですが、特に意識されたポイントはありますでしょうか?
鈴木 決まっていたのは、TEDxTokyo yz創設者の井口奈保が来年春から海外に行くということもあり、今回を持って卒業することでした。それに伴い、これまで4回開催してきましたが、今回はサクセションプランを含めた体制で始めることがまず1番のポイントになっています。
メンバーが継続的に関わってくれていたこともあり、たしかに経験値自体はたまっていました。しかしながら、今回は新しいメンバーも多く入ってきてくれたので、熟練した人たちを中心に据えるのではなく、新しい形での運営体制をとっています。
例えば、これまでは個々の能力に頼っていた部分もあったため、運営の経験やノウハウを一度オープンにし、今回の中心メンバーで引き取りながら、形にしていく作業をしました。そこが特に大変でしたね。
Q 今回のテーマは「de-mosaic-ing」ということですが、この背景にはどのような思いがあるのでしょうか?
鈴木 まずテーマに関しては、それぞれのメンバーで着目していることやものなど、ゼロから出し合いました。これまで開催したTEDxについてももちろん話し合いましたし、様々な言葉が出ましたが、その中から共通項を見いだしていった結果、その中で「見えないもの」や「直感」というキーワードが多く出ました。
単に見えないということではなく、視覚的な見えないなのか、あえて避けていて見えないのか、色々な「見えない」があるのが面白いのではないかということで今回のテーマにつながりました。
Q スピーカーの選定はどのようにされたのでしょうか?
鈴木 TEDxTokyo yzではTEDxの前提として、多岐に渡る分野の人を一堂に集めます。その上で、ジェネレーションYとZということで、10〜30代に主な焦点を絞ってコンセプトを詰めていくのと同時並行でスピーカー選びもしていきました。
来場者は「聴衆」でなく「参加者」
Q 開催に向けて動いているまっただ中ですが、コミュニティづくりで大切にしていることは何ですか?
鈴木 TEDxTokyo yzでは、スピーカーも参加者もキュレーションをし、多様性を大事にします。運営チームも同じです。職業、年齢、国籍だけでなく、好きなこと、嫌いなこと、得意なこと、不得意なこと。人生のどのステージにいるか、大事にしているものは何か。あらゆることが違う人が集まってきます。
社会でどんな役割を担いたいか模索する人もいれば、社会なんてどうでもいい人もいる。その誰もが自分らしく居られる広い懐のコミュニティとなれるようにしています。
Q 当日はどのような場になってほしいですか?
鈴木 僕は、昨年の「TEDxTokyo yz ver.2.0」の際に、参加者集めのリーダーをしていました。そこでは、来場者のことをオーディエンス(聴衆)ではなく、パーティシパント(参加者)と呼ぶようにしています。やはりイベントの一部としての参加者ですので、すごく「参加」ということを大事にしています。
TEDでは、スピーカーが大きなステージでアイデアを堂々と披露する光景が見られます。本質はその先にあると思っています。一人のスピーカーの話した内容を例えば違う分野、領域のスペシャリストが会場でフィードバックし、対話し、アイデアを発展させる。
このように、意図しないところで、そのアイデアがさらに加速するようになればと思います。ですので、今回このようなスピーカーを選んだのだから、こういう参加者と合わせたいよね、というある種の化学実験のような場づくりをしようという意識も持っています。
Q 最後になりますが、TEDxTokyo yzというコミュニティ、そしてイベントはどういう未来を見据えているのでしょうか?
鈴木 1つは若者に焦点を当てていることがあります。成功者が大きなスピーチをするというよりは、種の部分、つまり面白いアイデアや焦点の当たっていない部分に光を当てる機会になればと思っています。
また、TEDxという広げやすいプラットフォームを活用してもらって、スピーカー、参加者、運営スタッフも含め、それぞれの価値観や視点の変わるポイントになればと思います。
(インタビューここまで)
これまでに見えていない部分が見える先には、ワクワクする世界がある
TEDxでアイデアを聴いた人がそのアイデアをどうつないでいくのか、次の日からTEDxで触れたことについての見方が変わっていというのも重要なポイントです。これから生きていく上で、出会う確率が低い人たちとの出会いや普段見えていなかったり、避けていたことをテーマに掲げている今回の「TEDxTokyo yz ver.3.0」。
これまでに視界になかったようなアイデアや活動が少しでも見えたとき、ワクワクする世界が待っているでしょう。
(Text:佐藤慶一)
日 時:2013年2月2日(土) 11:00〜20:00(予定)
会 場:青山学院アスタジオ
会場参加者:10〜30代を中心とした約90名(事前招待制)
参加費:5,000円 ※ランチ&ディナーレセプションを含む。
登壇者:10名程度を予定。(下記に参考情報あり)
【プログラム】
登壇者によるプレゼンテーションやパフォーマンスに加え、TEDトークをビデオにて上映いたします。
【登壇者】
遠藤謙(ソニーコンピュータサイエンス研究所 アソシエイトリサーチャー)
冨田伊織(透明標本アーティスト)
藤間 蘭翔(日本舞踊家 藤間流師範)
槌屋 詩野(HUB Tokyo 共同設立者)
栗原 一貴(産業技術総合研究所 研究員) 他
【参加方法】
参加者のディスカッションやコミュニティを重視しているため、基本的に参加者は招待制としておりますが、1月中旬より一部一般公募を行います。詳細は当ウェブサイトやTwitter、Facebookにて告知する予定です。
◎TEDxについて
TEDxはTEDの精神である「ideas worth spreading」 のもとに世界各地で発足されているコミュニティーです。TEDx のxはTEDのコンセプトを受け継いだ団体であることを示します。米国で開催されるTEDのTEDTalksはオンラインで見られるものの、すべての人が招待制のカンファレンスに参加することは困難です。そこで生まれたのがTEDxです。TEDxのイベントは各地のスピーカーによる講演とTEDTalksのビデオの上映によって構成され、また参加者が個々にディスカッションを通してアイデアを共有し、横のつながりを広げていく場でもあります。世界中でTEDのコンセプトは広まりつつあり、現在60カ国以上にわたる都市でTEDxイベントが実施されています。
◎TEDxTokyo yz について
TEDxTokyo yzは、2009 年より開催されているTEDxTokyoのスピンオフプロジェクトです。変遷し続ける現代において、私たちにできることは何か? 新しいライフスタイルとは何か?という問いかけに独自の答えを提示する行動力のある若者に焦点を当てた活動を行っています。日本を中心に世界で活躍する10~30代の人々に彼らのアイデア、パフォーマンスを披露して貰う事で、世界に向けた東京発の創造的なプラットフォームとなる事を目指しています。
公式ウェブサイトをチェックしてみよう!
TEDxTokyo yz ver.3.0に参加する
これまでのTEDxについての記事を読んでみよう!