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必要なのは土のベッドに敷くだけ! シート型の畑「Seedsheet」が目指す、だれもが簡単に自産自消を楽しめる未来

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こちらの記事は、greenz peopleのみなさんからいただいた寄付を原資に作成しました。

みなさんは、自宅で野菜やハーブを育てようと思ったことはありますか? しかしベランダや庭で菜園を始めるにあたって必要な道具や知識がなく、あきらめてしまったことがあるかもしれません。

たとえばベランダのプランターでいろいろ育てようと考えたところで「あれとこれを一緒に植えていいのかな」と迷ったり、庭に小さな畑をつくりたいけど「草むしりは大変そう」と自信がなくなったり。そうして、結局何も植えていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

成長や収穫を楽しみたい。でも準備や世話にハードルを感じる。そんな時、「できあがった畑ごと届けてくれたら、私でもすぐに挑戦できるのに」と思うかもしれません。

今回ご紹介する「Seedsheet」は、そんな、みなさんの育てたい畑をシートにして自宅などに届けてくれるサービス。準備のプロセスがぎゅっと短縮され、すぐに栽培を始めることができるうえ、その畑は草むしりの手間もかからないのです!
 
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「30秒で設置できる」という「SeedSheet」。シートを土の上に敷くと、あっという間に畑の完成!

うまく育つようレイアウトされた、種入りの防草シート

簡単さを追求したという「Seedsheet」。その仕組みはどうなっているのでしょうか?

「Seedsheet」では、まず作物のタイプ(ハーブ・野菜・花)や畑のサイズから、育てたい畑シートを選びます。スムージーづくりにおすすめの「スムージー・シート」やピザトッピング用の「ピザ・シート」など、目的から選べるのも親切ですね。

畑シートの中には、種と肥料が入ったポッドが埋め込まれています。うまく育つように、それぞれのポッドの間隔や並び順は最適にレイアウトされているので、初心者でも気軽に畑を準備できるそう。
 
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プランターほどのサイズから、より本格的な約15㎡サイズまで選べる

注文すると畑シートが届きます。用意しておいた土の上に敷いて、4隅をペグで固定、そして水をあげたら準備完了! 種と肥料が入っているポッドは水溶性なので、水をあげると溶けてなくなるのだとか。

このように、畑の準備がとても簡単そうな「Seedsheet」。しかもシートは水を通して光を通さない素材で、雑草を予防してくれるとか。世話も楽になるようです。
 
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シートには種と肥料が入ったポッドが埋め込まれている

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しばらく水やりをすると、発芽を楽しめる

やがて世話をつづけていくと、収穫を楽しめます。たとえば「トマト・シート」を育てると、3種類のトマトとバジルが収穫できるそう!
 
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成長した「トマト・シート」。「SeedSheet」の販売エリアは残念ながらアメリカ国内のみ

ちなみに、右側の黄色い花はマリーゴールド。トマトと一緒に植えると、トマトに害虫がつくのを防いでくれるのだそうです。「SeedSheet」のポッドレイアウトは、こうした組み合わせも考慮して設計されているのです。

オリジナル畑を簡単設計!畑プリンターを開発中

そして「もっといろいろな組み合わせを楽しみたい」という人に向けて、さらに畑の設計ツールを開発中なのだとか。

「SeedSheet」のこの設計ツールでは、畑のある郵便番号を入力すると気候にあった作物がリストアップされます。そして畑のサイズと育てたい作物を指定するとポッドを自動的にレイアウト。相性のいい作物をリストから選んでいくだけで、簡単に畑を設計できるのだそう。

こうして自分好みのレイアウトを注文すると、まるで畑がプリントアウトされるように、その畑シートが送られてくるのです。
 
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サイズや種類を指定してオリジナルの畑シートをつくれる

「どうしたらもっと簡単に?」自身の体験から創業

こうして準備と世話の“簡単さ”を追求することで、都市で働くような人たちにも”自産自消”の楽しみを伝えたいという「SeedSheet」創業者のCam MacKugler(以下、キャムさん)。

キャムさんは、どんなきっかけで「SeedSheet」をつくったのでしょうか?

キャムさんはアメリカ・バーモント州の建築事務所で働いていました。ところがある時、2週間留守にするという知人の家と菜園の世話を頼まれます。そして菜園を世話するうち、キャムさんは食べものを収穫する暮らしの楽しさに気がついたのだとか。しかし一方で栽培のむずかしさも感じたそうです。

普段は仕事もとても忙しいし、アパートは小さいし、栽培の知識やスキルもない。だからこんな素敵な畑をつくるのはとてもむずかしいと思ったんだ。

そこで「家庭菜園のプロセスをもっと簡単にして、だれもが収穫を楽しめるようにしたい」と考えるうち、「SeedSheet」のアイデアを思いついたとキャムさんはいいます。

ある日の午後、夕食の野菜を収穫していると突然ひらめいたんだ。僕は採っていたケールを放っていそいで家に駆け込むと、とにかくすぐにアイデアを紙に書き留めたよ。家に飛び込んでつかんだのは子ども用のクレヨンで、それが「SeedSheet」の最初のスケッチになったんだ。

それからキャムさんはいろいろな素材をためしてシートを開発し、クラウドファンディングで支援を募ります。するとニューヨークやボストンなどの都市部からも支援が集まり、プロジェクトは成功。2ヶ月後には仕事を辞めて「SeedSheet」を本格スタートさせたのです。
 
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「SeedSheet」創業者のキャムさん。トイレットペーパーなどいろんな素材を試してシートの開発に成功

自身の体験をきっかけに、食べものを自分で育てるプロセスを簡単にしようと、新たな仕組みをつくったキャムさん。

みなさんも「このプロセスは大変だ」と感じた時、「どうしたら簡単になるか?」と考えてみると、アイデアがひらめくかもしれません。

[via Fortune, Co.Exist, Motherboard, Kickstarter]