マクロビウサギの大冒険
うちには6歳になるボビーというウサギが一羽いる。息子が大学生のときあまりにかわいくて笹塚のペットショップで衝動買いしてしまったネザーランドドアーフだ。
- うちのボビー
私が2002年にボストンから戻り、代々木上原で生活をはじめた夏、息子は1週間旅行に行くから、と2歳になるボビーをうちに置いていった。それ以来、旅行から帰っても息子はボビーを引き取る気配がなくボビーもうちを我が家と思い込んでしまって現在に至っている。
彼はいま、夜は私のベッドの下か居間で過ごし、昼は家のなかを自由自在にいわゆるウサギ飛びで走り回り、トイレは新聞紙をひいた居間の一角で用をたす。
毎日うちの小さな中庭で遊ぶのが日課だが、いちど夜に外へ出したら、塀の下を潜って外へ出てしまった。家族で手分けして明け方まで近所を探したが、見つからなかった。がっくりして次の日仕方なく、万が一戻った時のため、一応少し戸を開けて外出した。暗い気持ちで夕方帰ってみると、なんとボビーが居間にちょこんと戻っているではないか。足が汚れ、少々ケガをして血を出していたが、たいしたことはない。私が「ボビー!!」と絶叫したら、得意満面な顔でめずらしく私に抱かれてきた(普段は抱っこが大嫌い)。どんな旅をしてきたのか話したかったのだろう。
うちから一歩も外界に出たことがない彼が、のら猫やカラスにやられず、ひと晩どこで明かしてどうやってうちに戻って来られたのか、いまだに謎だ。よほど疲れていたのだろう、戻った晩は何も食べず、私に会ってからすぐベッドの下に潜り込みひたすら2日位眠り続けた。
ところで、彼は正真正銘のマクロビオティックウサギだ。夏は米飴少々で甘みをつけた豆腐クリームが大好きで無農薬のきゅうりやトマトなどの夏野菜をよく食べる。
- ボビーのマクロ食
でも冬になると体を冷やす夏野菜や豆腐はあまり食べなくなり、そのかわり夏にはあまり食が進まなかった小豆の煮たのやふかしいもやカボチャをおいしそうに目を細めて食べている。まるで食物の陰陽を知っているかのようだ。もちろん玄米や雑穀のパン、菜っ葉、乳製品・卵・マーガリン・白砂糖などを使わない私の手焼きケーキやクッキーは大好物。でも好物も決して食べすぎず、しかもよく噛んでいる。ボビーが何回くらい噛んでいるのか、数えたことがあるが、玄米ならひと口50〜70回噛んでいた。
ボビーは玄米食のおかげで賢く、毛並みは最高。私と違って外食もしないから、きっと長生きするに違いない。