クラウドファンディングをご存知ですか?
クラウドファンディングとは、個人や団体が実現したい「プロジェクト」を提案し、そのアイデアに賛同する一般の人たちから資金を募る仕組みのことです。近年、プロジェクトと寄付者を結びつけるプラットフォームのサイトが多数作られ、日本でもクラウドファンディングという言葉がだいぶ一般的になってきました。
CAMPFIRE、READYFOR?、motion gallery、COUNTDOWN、kibidangoなどのサイトを筆頭に、ファッション、アート、スポーツなどのジャンルに特化したクラウドファンディングサービスも増えてきています。昨年は、映画配給資金を集めるプロジェクトが調達金額 1,460万円を集め、国内では最高額を記録したことも話題になりました。
そして2013年6月12日、新しいクラウドファンディング「ShootingStar」がサービスを開始しました。
この新サービスを始めたのは、国内最大のクラウドファンディングサイト、JustGiving Japanの運営チーム。「JustGiving」は、英国の世界最大の寄付型クラウドファンディングサイトで、日本では2010年3月より運営を開始。3年間で10億円の寄付を仲介した実績があります。
そんなJustGiving Japanが、なぜわざわざ別のクラウドファンディングサイトを立ち上げたのか。運営会社である株式会社JGマーケティングの代表取締役である、佐藤大吾さんに伺いました。
誰かのチャレンジする気持ちを大切にしたい
JustGiving Japanを始めたのは、「誰かのチャレンジする気持ちを大切にしたい、誰かのチャレンジを応援したい、という気持ちも大切にしたい」という思いからです。しかし、サービスを開始した翌年、東日本大震災が起こり、「津波で自分のやっていた居酒屋が流されてしまったが、もう一度やりたい。JustGiving Japanで資金を募りたい」という人がいました。また、「被災地のFM局を再建したい」という人もいました。
ところが、JustGiving Japanは、英国のJustGivingと提携しており、NPO等の非営利団体しか資金を募ることができないのです。つまり、個人や企業が使うことはできませんでした。この2つの例だけでなく、他にもたくさん応援したいプロジェクトが持ち込まれました。
なんとか応援できないかと、英国のJustGivingとも何度も議論を重ねました。しかし、結局、非営利団体のみが使えるというルールは崩さないことに決定したのです。でも、応援はしたい。そこで、別のクラウドファンディングサイトを立ち上げよう!と決めたのです。
そして、個人でも、企業でも、営利目的のプロジェクトでも参加できる「ShootingStar」を始めることにしました。「ShootingStar」を開始するにあたって、もうひとつ、佐藤さんたちが意識した重要なポイントがありました。
JGマーケティング代表取締役の佐藤大吾さん(左)とジャーナリストの堀潤さん(右)
海外・国内で先行しているクラウドファンディングサービスには、いくつか共通の問題点がありました。まず、目標金額を達成したのに、その全額が振り込まれないという問題。これは、クラウドファンディングは目標金額が達成されなければ、決済がされないので、支援者が支援を表明してから、実際にお金が引き落とされるまでの間にタイムラグがあるのです。そのため、その間にカードを使ってしまったりして、引き落としができなくなってしまう場合があるのです。
二つ目に、支援をしたのに、プロジェクトが履行されなかったり、支援者に届くはずのギフトが届かなかったりという問題。プロジェクトの起案者に悪意がある場合とそうでない場合がありますが、せっかくの応援しようという気持ちが踏みにじられてしまう。似たようなことで、100万円でプロジェクトができるといって告知したのに、実際やってみると300万円必要だったというような、起案者の見通しの甘さや嘘で、プロジェクトが実行されないというケースもあります。
こうした問題点を解決するために、弁護士や金融の専門家を入れたチームで新しいサービスを作り上げました。ですから、SootingStarは金融サービスという気持ちが8割くらいあります。与信枠の先取り機能で、目標金額達成後の課金不可を防止するなど、使いやすくてトラブルのない小口決済機能を備えています。
さらに、提携メディアの協力により、プロジェクトをより多くの人に発信できるようにしたり、画像や文章表現を専門家がサポートするサービスをつけたりと、今までのクラウドファンディングにはなかったサービスも加えました。
第1弾は、堀潤さんと高橋歩さんが挑戦
NPO法人オンザロード福島支部リーダーの平学さん(左)と高橋歩さん(右)
SootingStarの第1号案件は、元NHKアナウンサーの堀潤さんと、NPO法人オンザロード代表の高橋歩さんのプロジェクトです。
ジャーナリストで、NPO法人8bitNewsの代表である堀潤さんは、開設から1年を迎えた8bitNewsの新たなチャレンジとリニューアルを企画。クラウドファンディングによる情報発信者の取材資金の調達と、発信者のための学校「僕らのジャーナリズム学校」の開校、オンライン研修などのプロジェクトです。
また高橋歩さんのプロジェクトは、「福島の応援はリアルな出逢いから!高橋歩&福島フレンズと楽しく飲んで、友達になろう!」というもの。福島県内で行われる飲み会に参加する入会費を払うと、それが全額福島の子どもたちのために作られるインドアパークの建設費になるというものです。
どちらのプロジェクトも、お金を払うだけでなく、メンバーとして運営に関われることが大きな魅力。それこそがクラウドファンディングの特徴であり、面白さだといえるでしょう。
佐藤さんは、「いろいろな人にチャレンジするチャンスを提供したい。そして、人のチャレンジを応援したいという人の気持ちも大切にしたい」と語ります。国内でさらに伸びていくと予測されるクラウドファンディングに注目です。