「地球にやさしく」という言葉が暮らしのなかから聞こえてくるようになったのは、1980年代後半から1990年代にかけてのこと。南極上空でオゾン層が極端に薄くなった「オゾンホール」が発見され、その原因となるフロンガスがニュースを賑わせたことを覚えている人もいることでしょう。
「一人ひとりが地球を守る担い手になろう」という機運が世界各国で高まり、1993年には日本でも環境基本法が誕生しました。国だけでなく、行政も企業も、市民も、それぞれの立場から環境問題に取り組んでいく。そんな考え方が広がり始めた時代だったのです。
そうした時代の熱のなか、1993年に生まれたのが「地球環境基金」でした。
地球環境基金は、全国各地や海外で環境保全や調査研究などに取り組むNGO・NPOを支える助成制度です。環境省が所管する独立行政法人環境再生保全機構が運営し、国からの出資に加えて、企業や市民からの寄付も活用しながら、市民活動を支えてきました。まさに、一人ひとりが担い手となるための取り組みです。
あれから約30年。地球環境基金は活動を始めたばかりの団体から、ステップアップを目指す団体まで、延べ6,300件、総額約205億円の助成を行ってきました(2025年時点)。この数字の裏には、“ふつう”の暮らしを営む人々の挑戦と試行錯誤が積み重ねられています。
しかし、この30年で環境NGO・NPOが向き合う課題は大きく変わりました。環境問題は、人口減少や高齢化、地域福祉、交通インフラの衰退、防災など、さまざまな社会課題との関連性をふまえて、環境活動に取り組むことが必要になったのです。そのような変化を受けて、2024年、地球環境基金は新たな助成メニュー「戦略プロジェクト」を立ち上げました。
「環境を守る」ということは、この30年でどう変わったのでしょうか。そして、その活動を支える支援のあり方はどう変わろうとしているのでしょうか。環境再生保全機構のメンバーであり、「戦略プロジェクト」の立ち上げに携わった山口悠介さん、永井亮さん、大島圭子さんにお話を伺いました。
独立行政法人環境再生保全機構・地球環境基金部・地球環境基金課・課長代理。戦略プロジェクト立ち上げに向けて、時代の変化やニーズについてのリサーチや分析を担当。
永井亮(ながい・りょう)<写真中央>
独立行政法人環境再生保全機構・地球環境基金部・地球環境基金課・主査。戦略プロジェクトでは長野県の「一般社団法人自然エネルギー共同設置推進機構(NECO)」担当。
大島圭子(おおしま・けいこ)<写真左>
独立行政法人環境再生保全機構・地球環境基金部・地球環境基金課・副主幹。国際協力学(博士)。戦略プロジェクトでは石川県の「NPO法人河北潟湖沼研究所」、北海道の「NPO法人EnVision環境保全事務所」を担当。
「環境×○○」という新しい視点
2025年より助成が始まった「戦略プロジェクト」には、「地域協働型」と「政策課題協働型」という2つの助成メニューがあります。今回は、そのなかの「地域協働型」に注目していきます。
「地域協働型」は、NPOを中心として企業、行政、地域団体などが協働し、環境問題を含む地域の複合的な課題への取り組みを支援する助成メニュー。持続可能な地域づくりへ向けた地域の担い手づくり、仕組みづくりを行い、社会課題解決を促進していくことを目的としています。まさに、環境課題と地域課題をあわせて解決していくことが求められる時代だからこそ生まれた助成メニューです。
実際にこのメニューが生まれた背景を聞いてみると、地域が直面するさまざまな変化がありました。
なかでも大きいのは、少子高齢化や人口減少です。環境課題が目の前にあっても、そこに取り組む担い手が足りない。過疎化が進む地域では、高齢者の暮らしを支えることだけで精一杯。また、気候変動によって、大型台風やゲリラ豪雨が頻発するようにもなりました。東日本大震災や能登半島地震などの大災害も、地域に大きな課題を残したままです。
こうした課題を俯瞰するとき、みなさんが何度も口にしたのが「環境×○○」という言葉でした。
山口さん かつて環境保全活動といえば、「環境問題そのもの」に焦点が当てられていました。けれども、今、必要なのは「環境×高齢者福祉」や「環境×雇用問題」といった視点でアプローチすること。環境課題と地域課題を同時に解決していくことが大切なんです。
こうした考え方は、すでに各地の活動にも表れ始めています。
たとえば、「地域協働型」の助成先ではありませんが、高齢者世帯が多い地域で、ダンボールコンポストを設置する地域密着型の活動を行っている団体があるといいます。この団体では、スタッフが定期的に高齢者宅を訪問し、コンポストの手入れを行うことで、ごみの減量化と高齢者の見守りを同時に実現しています。訪問時の様子は、福祉の専門家にもシェアするそうです。
大島さん この団体さんは、地域の社会福祉協議会や民生委員と連携しながら、コンポストの管理と高齢者の見守りを兼ねる仕組みをつくりました。まさに「環境×福祉」の好事例ですね。
もうひとつ印象的だったのは、地球環境基金が環境省所管の法人として、政府の動きにも常に目を向けていることでした。環境保全を入り口に高齢者福祉や地方創生、防災や復興につながる活動に注目するようになったのも、政府が打ち出す政策を重視しているからです。特に2015年頃から、脱炭素やサーキュラーエコノミーなどが政策の重要なテーマとなるなか、地球環境基金も政策機関の一員として「これからどんなNPOを支援すべきか」と考え続けてきたことが、「地域協働型」プロジェクトの立ち上げにもつながりました。政府を見る目と現場を見る目、両方を持っているからこそできることがあるのです。
「お金を配る」から「ともに考える」へ
一般的に「基金」という言葉には、助成金を出すところ、審査をするところ──そんなイメージを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。実際、地球環境基金のみなさんも「これまで、私たちは“お金を出してくれる団体”だと思われていたのだと思います」と振り返ります。
しかし、「戦略プロジェクト」の立ち上げを機に、地球環境基金は、これまで行ってきた支援のあり方を見つめ直し、「伴走型支援」という考え方を明確に打ち出すようになりました。
通常助成では担当者1人体制ですが、「戦略プロジェクト」では担当者と外部の評価専門委員をそれぞれ2人に増やし、合計4人が助成開始から継続して現地を訪れるなど、密に連絡を取りながら伴走する仕組みとしたのです。こうしたプログラム設計からは、助成先団体の数を増やすことよりも、一つひとつの団体ともっと深く関わっていきたいという思いが伝わってきます。
永井さん これからは、お金の「出し手」と「受け手」というだけの関係ではなく、私たち自身も一緒に課題を解決していくステークホルダーの一員でありたいと思っています。「何かあったら地球環境基金にも相談してみよう」と思ってもらえる存在になれたらうれしいですね。
地域協働型プロジェクトにおいて、伴走のために向き合うのは、助成先の団体だけではありません。頻繁に現地へ足を運び、自治体や企業、住民など、さまざまな立場の人たちの輪に入っていきます。「地球環境基金って何ですか?」と言われることもあるそうですが、大島さんはそんな自分たちを「飛び込み営業みたいですよね」と笑います。

兵庫県丹波篠山市にて、現地の環境NPOや地域企業などを訪問する永井さん(画像提供:環境再生保全機構)
現地に足を運ぶのは理由があります。背景を切り離して助成先の団体だけに注目していると、その団体の価値も地域での役割も、課題の本質も見えにくくなってしまう。そんな状況に陥らないように、企業や自治体など、プロジェクトに関わるさまざまな立場の人とのコミュニケーションを深めています。地域の一員として関わりながら、地域全体を俯瞰する。その姿勢もまた、新たな支援のかたちなのです。
ただ、そこには「どこまでが支援で、どこからが介入になるのか」という深い葛藤もあるようです。
大島さん 団体さんの活動は、あくまでもみなさんが主体となって取り組んでいる市民活動です。だから、外部者である私たちが団体さんに何かを強制したり、それに対して「地球環境基金から言われたことは断れない」と思われたりするような関係になってしまったら、問題だと思うんです。
しかも、訪問者である私たちと違い、みなさんはその土地で、地域の関係性のなかで活動を続けていくわけです。それを考えると、やはり「どこまでが支援で、どこからが介入なのか」ということは、考え続けなければなりませんね。
現場に足を運んで、人とつながる。同時に、踏み込みすぎていないかどうかと自問し続ける。伴走とは、ただ寄り添うことだけを指すのではなく、その先にある「自走」を見据えながら距離感を探り続けることなのだと、大島さんの言葉から感じました。
助成金の額よりも、大切なこと
「地域協働型」の特徴の1つが、助成規模の大きさです。
日本の環境NGO・NPOは、年間予算300万〜1000万円程度の団体が多く、フルタイムの職員1名を雇用して運営を行う目安となる1000万円を超える規模の団体は少ないと言われています。地球環境基金の通常助成も、ほとんどが年間200万〜600万円程度を最大3年間にわたって支援するものでした。
一方、「地域協働型」では、最大5年間、2年目以降は年間800万円〜1200万円へと助成規模を大きく拡充しました。地域での協働を長期的に支える制度へと大きく舵を切ったことが、この数字からも伝わってきます。
これだけの規模からは、「大きな団体しか応募できないのでは?」と思ってしまうかもしれませんが、このメニューの助成対象は大規模な団体だけではありません。地球環境基金としては、団体が次のステージへ進もうとするときや、新しい事業へ挑戦するときに、このメニューを活用することを望んでいます。
規模拡大の背景にあるのは、「社会的に影響力をもつ環境NPOを増やしていかねばならない」という地球環境基金の使命感です。
永井さん 今回の戦略プロジェクトを通して、「環境NGO・NPOはこういう価値を生み出せる存在なんだ」ということを社会に発信していきたいんです。その価値が伝われば、地域の様々な主体から「環境NPOに資金を託す意義がある」と思ってもらえるようになって、行政から委託を受けたり、さまざまなところから資金が流れたりするようになるかもしれません。そういった連携のなかで、この助成メニューが活用されるような循環ができたらいいですね。
また一方で、環境NGO・NPOは、助成金などの外部資金への依存度が高いと言われています。“自然環境”という、すぐには成果が見えにくい存在を相手にしている以上、それは避けられないことかもしれません。
ただ、地球環境基金はそんな状況をネガティブには捉えていません。
永井さん 私たち助成する側から見ると、それだけ助成のあり方がNGO・NPOの活動に大きな影響を与えているとも言えます。だからこそ、金額の多い少ないだけでなく、どんな仕組みをつくるのか、どんな支援を行うのか、どんな団体を支援するのか、助成プログラムの設計そのものが非常に重要になってくるんです。
3つの地域、3つのアプローチ
2025年度、「地域協働型」初年度の採択団体は3団体でした。
長野県上田市で脱炭素を切り口にまちづくりを進める「一般社団法人自然エネルギー共同設置推進機構(NECO)」、石川県の河北潟流域で河北潟の豊かさを持続的に享受できる地域を目指す「NPO法人河北潟湖沼研究所」、そして北海道でGIS(地理情報システム)を活用した環境保全の仕組みづくりを進める「NPO法人EnVision環境保全事務所」です。
各団体のプロジェクトについては、別のインタビュー記事で後日ご紹介しますが、ここでは団体の伴走を担当する永井さんと大島さんに、採択の決め手や今後への期待についてうかがいました。

専門家を含め多くの市民が集まってまちのことを語り合う「NECO」の「上田リバース会議」の様子。講師の話を受けて、近くに座りあった人どうし、小さなグループで対話をして既存の価値観を揺り動かす(画像提供:NECO)
永井さんがNECOの魅力として挙げたのは、「脱炭素そのものを前面に押し出していないこと」でした。さまざまな立場の市民や行政と連携し 、公共交通や健康、まちづくりといった地域の課題を切り口にして、その先に脱炭素社会を描く。その発想に「地域協働型」の考え方が凝縮されていると言います。
永井さん NECOの特徴は、行政の政策を地域の言葉に翻訳しながら、農業を営む人、地元で商売をする人、研究者、学生、移住者など、あらゆる立場の市民を巻き込みながら、地域のビジョンを一緒につくっている点にありますね。まさに「地域協働型」の象徴です。
さらに、どのように市民を巻き込んで、どのように理解を醸成していくのかというプロセスを、ノウハウとして他の地域に展開していくことまで考えています。地域によって課題が異なるなかで、上田市の取り組みが他の地域にどうつながっていくのかを、私たちも一緒に模索していきたいですね。
「河北潟湖沼研究所」の活動フィールドである河北潟流域は、2市2町にまたがり、上流域の過疎化に悩む地域、能登半島地震の復興がままならない地域など、抱える悩みも多種多様。ステークホルダーも多く、「誰が地域をつないでいくのか」が大きな課題です。
大島さん ステークホルダーが多い地域だからこそ、共通の目的を育てること自体が大きな挑戦です。また、活動の担い手の高齢化が進んでいるので、それぞれのステークホルダーにアプローチしていくだけのマンパワーが足りないという問題もあります。こうした地域では、「環境問題の改善」だけを掲げるのではなく 、地域の暮らしや収益化とも結び付けながら、持続可能な仕組みを考えていく必要がありますね。
人との関わりが重要な活動だからこそ、何度も足を運び、一緒に考えていく価値がある、と大島さんは強調します。その言葉からは、支援と介入のあいだで悩みながらも、現地に寄り添おうとする大島さんの姿が重なって見えました。
もう一つの採択団体、EnVision環境保全事務所は、GISという専門技術を強みに、地域の自然環境を可視化しながらネイチャーポジティブの達成に取り組んでいます。常勤スタッフも多く、技術を実践へとつなげていくだけの体制を備えていることも大きな特徴です。GISの技術だけでなく、博物館を中心に自治体や企業、市民が協働している点にも大きな魅力があると言えるでしょう。
大島さん EnVision環境保全事務所はGISを他の地域に広めていく役割を担っています。この役割に関しては、メンバーの1人が「いつまでも自分たちが各地に教えに行くのではなくて、この助成を通してGISを学んだ地域の担い手たちが、さらに別の地域へ知見を広げていくような仕組みをつくっていきたい」とお話されていました。そうした活動の広がりは、私たちも期待するところですね。
地域に根差しながら、その知見を他の地域へ広げていく。そうした活動は、まさに「地域協働型」の理念にぴったりです。
私たちは、どんな団体と歩みたいのか
さて、こうしてスタートした戦略プロジェクトの「地域協働型」ですが、2年目となる2026年度、思いがけない壁にぶつかりました。
採択団体ゼロ。
「決して応募団体のレベルに問題があったわけではなく、私たちのアプローチに課題があったのだと思う」と振り返ります。
初年度も2026年度も、多くの団体から応募がありました。けれども、採択されたのは初年度の3団体だけ。その結果を見て、「ハードルが高そうだ」と応募をためらった団体もあったのかもしれません。
大島さん いま振り返ると、初年度、応募を考えている団体のみなさんに、地域協働型の活動が具体的にイメージできるようにフォローができればよかったと思いますし、初年度に採択された3団体がどんな活動をしているのか、応募を考えている団体のみなさんにも参考になるよう、 もっと発信できればよかったとも思います。反省点はいくつもありますね。
さらには、自分たちが求める団体像を十分に伝え切れていなかったのではないかとも考えているそうです。
というのも、近年はスタートアップビジネスのような発想や手法をもつ団体も環境分野に次々と参入し、実際に「地域協働型」プログラムへ応募した団体もありました。「環境課題を解決する」という点だけで見れば、そうした団体を支援するという選択肢もあるでしょう。けれども、地球環境基金が目指しているのは、あくまでも市民活動を支えることなのです。
永井さん ミスマッチを避けるためにも、私たちは求める団体像をもっと丁寧に発信していくべきだったと思っています。募集するのも、応募するのも、単なる事務手続きではありません。どんな社会を目指すのか、お互いのミッションを共有するためのコミュニケーションなんですよね。
では、地球環境基金は、どんな団体を支援していきたいと考えているのでしょうか。
前半のお話を踏まえた上で改めて聞いてみると、浮かび上がってきたのは、「環境課題×地域課題」にさまざまな立場の人たちを巻き込みながら取り組み、その経験や知見を他の地域へと広げていく市民団体の姿。2025年度の採択団体は、まさにそれを体現しています。
山口さん これまでは、たとえば「ゴミを何キロ拾った」という目に見える数値的な成果が重視されてきたのだと思います。
一つの地域で課題をクリアすることはもちろん重要なことですが、その団体が苦労の末つくり上げたノウハウを、他の団体さんや地球環境基金に共有いただくことで、生まれた成果を他の地域にも波及させることができ、助成によるインパクトはより大きなものになります。
これからは、自団体の成果を他の地域へ広げていくための仕組みや体制、ルールづくりまで考えられる団体がより評価されるのではないでしょうか。
一方で、採択団体を決めていくプロセスでは、もう一つ欠かせない視点があります。それは、地球環境基金が「公的機関」だということです。
大島さん 公的機関である以上、民間の助成団体では支援しにくい活動を支えていくことも、大切な役割の一つですよね。私たちは「地球環境基金として」という主語と「公的機関として」という主語、2つを常に考えなければならないのだと思います。
この大島さんの言葉からは、「どんな課題を支えるか」だけでなく、「誰を支えるか」にも、公的機関ならではの視点があることが伝わってきました。
助成の、その先へ
戦略プロジェクトが始まって2年目。みなさんの視線は、常に“助成”のその先へと向いています。
2025年度は、戦略プロジェクトだけでなく、すべての助成先団体を対象に相談窓口を新たに設けました。どんなに忙しくても、団体のみなさんと直接言葉を交わせるように、という思いから始まった取り組みです。
大島さん 私は相談窓口を担当していますが、ある団体さんから「こうして話すだけでも、自分たちの課題感が整理できて助かりました」と言っていただいたこともありました。もちろん、いつも正解をお伝えできるわけではありませんし、ときには耳の痛いことを言わなければならないこともあります。でも、私たちはみなさんの応援者でありたい。その思いだけは伝わってほしいですね。
その応援をより確かなものにするためには、団体との関わりのなかで得られた知見を蓄積し、次の支援へといかしていく仕組みも重要になります。
山口さん 30周年を機に事業を見直すなかで、「地球環境基金は“シンクタンク”としての機能を強化していこう」という結論に至りました。今後は、各団体を担当する私たち自身も、そこで得た知識を次年度以降の採択団体へ引き継いでいけるような仕組みをつくれたらいいですね。
現在、地球環境基金が助成している団体は、合計約150団体。全国各地の活動から得られる知見は毎年増え続け、それ自体が大きな財産です。
相談相手になるだけでなく、膨大な知見を次の挑戦へとつなぎ、ときには新たな提案もしていく。そんな姿はまさに「シンクタンク」そのものです。
さらに、繰り返し語られたのは、「助成が終わったあと」のことでした。見つめているのは、助成期間が終わった後も続いていく地域の未来なのです。
大島さん 環境課題も地域課題も、戦略プロジェクトで助成する5年間で、解決へ向けて「これだけの成果が出ました」と簡単に言えるようなものではありません。だからこそ、助成が終わった後も、必要に応じてフォローアップしていけたらと思っています。
助成のゴールは、お金を届けることではありません。
地域に人が育ち、仕組みが育ち、活動が自走していくこと。
そこまで見据えて伴走することが、地球環境基金が目指す支援のかたちなのです。
「私たちのあいだでは、『代表のお母さん、この前、体調を崩したらしいけれど、大丈夫かな』なんて、助成先団体さんのことがよく話題になるんですよ。 地震や台風がきたときも心配で、以前の助成先にもつい電話をかけてしまうんです」
そう言って笑う大島さんは、この仕事を「固有名詞感が強い仕事」だと表現しました。
環境問題へのアプローチというのは、“自然環境”を相手にした活動です。けれども、その活動を支えているのは、子育てや介護、仕事、老いや病など、それぞれの事情を抱える一人ひとりの「人」です。
助成のあり方について語られたこの日の取材は、いつしか、その先にいる一人ひとりの「人」に思いを馳せる話になっていました。
環境を支えることは、人を支えること。
地球環境基金が30年かけてたどり着いた支援のかたちは、そんな当たり前でいて忘れがちなことを、改めて思い出させてくれたような気がしました。
(撮影:廣川慶明)
(編集:村崎恭子)
– INFORMATION –
「地球環境基金「戦略プロジェクト(地域協働型)」は、環境NPOや団体が行政・企業・市民など異なるセクターと協働しながら、地域課題の解決に取り組むプロジェクトを支援する助成制度です。
2027年度助成金募集については、9月上旬に地球環境基金のホームページにて募集内容を公開いたします。
下記URLは、9月上旬に2027年度助成金募集内容に更新を予定しています。
地球環境基金「戦略プロジェクト(地域協働型)」の採択団体が登壇し、地域協働で取り組む環境課題解決をテーマにしたイベントを開催します。
脱炭素・まちづくり・生物多様性・流域保全など、それぞれ異なるフィールドで、行政・企業・市民と協働してきたプロセスと手応えと地域協働のヒントを、具体的なエピソードとともにお伝えします。
地球環境基金「戦略プロジェクト(地域協働型)」に関心がある方、環境NPOの活動に関心のある行政・企業の方、地域課題の解決に一緒に取り組むパートナーを探している方、ネイチャーポジティブや生物多様性に関心を持つ方は、ぜひご参加ください。














