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たとえ本ばなれが進んでも、出会った1冊を手にしたときの目の輝きはなくならない。「ブックバス」東北ツアーから見えてきた、本の未来の可能性

山間部で毎日楽しく暮らしている私ですが、本当にごくたまに都会がいいなと思うときがあります。

そのひとつが、大規模書店から独立系のこだわり書店、古書店まで、とにかくたくさんの本屋さんがあること。ネットのおかげでどこにいても本が買えるようになったとはいえ、本好きとしては手にとって本を選ぶ楽しみや、本との一期一会の出会いを楽しむ機会がないのは、なかなか寂しいものです。

無書店地域に本を届けたい! という思いのもとに始まった株式会社バリューブックスの「ブックバスプロジェクト」。1年ほど前、クラウドファンディングを行なった際に、greenz.jpでも紹介させていただきました。

その後、拠点を置く長野県上田市を中心に、イベントに出店したり、無書店地域を含む近隣地域を回っていたブックバスですが、6月上旬、初の東北遠征ツアーが決まったとのこと。ブックバスがいったいどんなふうに活用されているのか見てみたい! ということで、ツアー2日目の6月3日から最終日の6月6日まで、同行取材させていただきました。

旅というやつは、本当にさまざまなドラマを生み出します。本がつないだ笑いと涙、そして出会いと再会の旅レポートをお届けします!

この東北ツアーには、映像作家の上田謙太郎さんも同行して密着取材。
47分の中編ドキュメンタリー『BOOK BUSは本を届ける旅に出る』が制作されました。
記事を読む前にまずは予告編をどうぞ!
記事の最後に本編へのリンクもありますのでお見逃しなく!

6月3日 秋田県湯沢市「ゆざわグリーンマルシェ」

6月だというのに夏がやってきたのか、と思うほど日差しの強かったこの日。お昼ごろ「ゆざわグリーンマルシェ」の会場となっている「道の駅おがち」に到着しました。

「ゆざわグリーンマルシェ」は、秋田県湯沢市で、年に2回ほど開催されているクラフトマーケットです。会場はすでに大勢の人で賑わい、ブックバスも、まったく人が途切れない大盛況! タイミングによっては、満員電車かと思うほど車内が人でいっぱいになっています。

前日も、湯沢市の山間部、無書店地域にあるカフェの前に出店し、夜は本好きのみなさんと本について語らうイベントを開催していたのだそう。

この2日間の企画をゼロから考え、お店やマルシェの主催者と出店の交渉をしたのは、昨年のクラウドファンディングで「ブックバスを好きなところに呼べる権利」を購入した加藤さんご夫妻。

じつはご主人の加藤計史さんは、バリューブックスの社員。といってもやらせではありませんよ(笑) ご夫婦で相談して、計史さんの故郷、湯沢市にブックバスを呼びたいと、会社にも内緒で個人的にファンドしたのです。

加藤さんご夫妻(左)とゆざわグリーンマルシェの事務局の小嶋武俊さん(右)

東京で暮らす加藤さんは、これまであまり地元を振り返ったことがなかったそうです。しかし、帰省するたびに開いている店の数が減り、寂しくなっていくまちを見るうちに「何かできないだろうか」と考えるようになりました。

加藤さん 僕が中学生や高校生のときは、湯沢にもいろいろなお店がありました。おしゃれな服屋さんもあって、歩いていてちゃんとドキドキするまちだった。じゃあ「今の子どもたちはドキドキする場所があるのかな」って思う気持ちがあって。

バスの中はずっとこんな状態

ちなみに子ども時代の加藤さんは、学校をサボって図書館で本ばかり読んでいたそう。

加藤さん 自分にとっていちばんのドキドキは本だったので、ブックバスを呼んでみたいと思いました。本には興味がない人もいると思いますけど、ブックバスなら見た目だけで面白味があります。その中で本と出会って、何か発見があったら嬉しいなと思ったんです。

とはいえ、ファンドにはかなりのお金がかかります。奥さんに恐る恐る相談したところ、二つ返事で「OK」をもらえたのだそう。奥様は奥様で「お義母さんに、息子がどんな会社で働いているのかぜひ見てもらいたい」という、親孝行のような思いがありました。

せっかく呼ぶならばちゃんとまちのためになるようにと、ふたりは1年かけて準備を進めたといいます。何度も帰省し、市役所に足を運び、マルシェの主催者やカフェのオーナーとつながりました。チラシの配布や宣伝は、親戚や地元の友だちが協力してくれたのだそう。

地元出身者が企画したブックバス招待のニュースは、地方紙に多数掲載され、テレビの取材も受けました。それを見て、同級生が数十年ぶりに会いにきてくれたり、親戚の方が訪ねてきてくれたりという、サプライズもたくさん起きたのだとか。

新聞で見て「計史なんて珍しい名前はあいつしかいない」と会いにきてくれた同級生とは、中学卒業ぶりの再会だったそう

今回の企画を始めるまで、地元でのつながりは皆無になっていたという加藤さんですが、新たなご縁や友だちとの再会により、故郷は一気に身近な存在になりました。

加藤さん 僕らだけだったらこんなにたくさんの人がきてくれることはありませんでした。湯沢で頑張っているみなさんと協力してつくりあげられた2日間だったと思います。まちは一見寂しく見えたけど、じつはたくさん頑張っている人たちがいたんですよね。僕もあの輪の中に入りたいって思っちゃいました(笑)

企画を通じて今の湯沢のことを知り、それは故郷と自分との関係性を見直すことにもつながったという加藤さん。今後も定期的にブックバスを呼べるよう、今回できた仲間と協力していけたらと話してくれました。

ゆざわグリーンマルシェの出店者のみなさんと

6月4日 秋田県湯沢市「Kさん宅」&岩手県盛岡市「放課後児童クラブ・サンガキッズ山岸」

前日、加藤さんは、ブックバスの記事を掲載していた新聞社を経由して、ある連絡をもらっていました。市内に住むKさんという方からの「本を寄贈したい」という問い合わせです。

通常、バリューブックスでは対面での本の引き取りはしていません。しかしKさんは高齢でインターネットは使っておらず、送付してもらうことは難しそうでした。さらに「ぜひともお願いしたい」という強い思いが感じられたため、これも旅のご縁と、この日の朝、特別にお伺いすることにしたのです。

ご自宅に伺うと、玄関には、風呂敷に包まれたたくさんの本が用意されていました。

Kさんは90代半ば。おひとりで暮らされていて、人生の終活を始めようと、身の回りのものを整理していたところでした。今回お譲りいただいた本は、亡くなった奥様との思い出が詰まった大切な本ばかり。

Kさん 何度も捨てようとは思ったんです。でもそれは違うんじゃないかと、どうにも気が進みませんでした。それでどうしたものかと思っていたときに、新聞でみなさんの記事を拝見しました。引き取っていただいて良い形で使っていただけるなら、こんなに嬉しいことはないと思ってご連絡させてもらったんです。

奥様と本との思い出話もたくさん伺いました。ご病気の奥様を支えるために、勉強しようと読んだ本。なんども読み返した小説。スタッフはみな、小さな玄関で、ひとつひとつの本に対する思い入れに聞き入っていました。ずっと俯きがちだったKさんが、最後に顔を上げて、晴れやかな笑顔で言ったひとことが、忘れられません。

Kさん こうして捨てずにお渡しすることができて、今日は本当にいい日だ!

何人かのスタッフの目が潤んでいました。

普段は、送られてくる本の思い出を直接聞くことなどありません。旅ならではの、すてきな出会いとなりました。

Kさんの話を聞くブックバススタッフ

Kさんの思いを噛み締めながら、一行は一路、岩手県盛岡市へ。高速に乗った直後にまさかの事故渋滞に巻き込まれ、次の訪問先「サンガキッズ山岸」に着いたのは予定よりも1時間以上遅れてから。待ちくたびれた子どもたちが、玄関から嬉しそうに顔をのぞかせました。

バリューブックスでは「ブックギフト・プロジェクト」という寄付プロジェクトを実施しています。

日々、バリューブックスに送られてくる本のなかには、さまざまな事情で販売することができない本がたくさんあります。これをただ処分するのではなく「本を必要としている人の元へ届けよう!」と、公益の活動をされている団体や施設に寄付しているのです。

盛岡へ向かう途中で小休止。加藤さんはこの日、湯沢から東京に戻る予定でしたが、ブックバスの旅を見届けたいという思いが膨らみ、盛岡まで一緒にくることになりました

今回訪問した「サンガキッズ山岸」は、「ブックギフト・プロジェクト」の寄贈先で、この春に開設されたばかりの民間の学童保育クラブです。ブックバスは無書店地域に本を届けるという大きなミッションを掲げていますが、寄付プロジェクトの寄贈先へ本を届ける際にも活用しています。かわいいブックバスが本を届けにきてくれる、しかも好きな本をその場で選ぶことができる! というのは、ただ本が届くのとは違う楽しさがあります。

今回、バスの中の本はツアーの関係で販売用。バスの外の本棚に並べられたものが寄贈用でした。ただし今回は、学童クラブのほうでも予算を捻出してくれて、販売用の本からも、ひとり1冊好きな本を選んでいいことになりました。「好きな本を選んでいいよ」「バスに乗ってもいいよ」と言われると、子どもたちは嬉しそうに外に出ていきました。

本棚の本に釘付けになる子、ブックバスに乗り、窓から顔を覗かせて楽しそうにしている子。本の選び方もさまざまで、山のように積んでいる子もいれば、本当にほしい本を数冊、大切に抱えている子もいました。ブックバスの前には椅子も少しだけ用意していましたが、さっそく、手元の本を夢中で読み始める子もいて、とにかく子どもたちの目がキラキラして、楽しそう!



子どもたちは読書スペースで、もらったばかりの本を夢中で読んでいます。学童クラブを運営する「NPO法人サンガ岩手」の理事長・吉田茉莉子さんが驚いていました。「こんなに部屋が静かなこと、普段はまずありません(笑)」。

図書室スペースで、受け取ったばかりの本を黙々と読む子どもたち。静かです

吉田さん バスに乗りこんで、好きな本を好きなだけ選んで、自分で大事に抱えて読む。ブックバスは体験型ですね。この楽しい体験が、本を好きになるきっかけになるといいなと思いました。

今は子どもたちもインターネットを当たり前に利用する時代ですが、キラキラした楽しそうな顔、真剣に本を読む姿に、本という「形あるもの」が持つ魅力、そこで得られる体験の大きさを感じました。

お礼にと、子どもたちからは手づくりのお花や寄せ書き、お菓子などをいただきました。お花は運転席の横に。旅のお守りです

6月5日 岩手県二戸市「二戸市・浄法寺総合支所」〜岩手県紫波町「オガール」

岩手県二戸市は、広い岩手県の中でも最北、青森県に面する小さなまちです。前日に訪問した盛岡からも車で2時間ほどかかります。なかなかの長距離を移動することにしたのは、ある理由がありました。じつは二戸市は、ブックバスの故郷なのです!

今から10年以上前、旧浄法寺町(現二戸市)を走っていた「いなにわ号」という移動図書館号がありました。市町村合併後、移動図書館バスがほかにもあったことから、いなにわ号は売却。それをたまたま購入したバリューブックスが、ブックバスとして復活させることになったのです。せっかく東北へ行くならと二戸市役所に問い合わせ、旧浄法寺町への里帰り出店が実現しました。

平日午前中にもかかわらず、当時、いなにわ号の運転手をやっていた職員の方、貸出係をやっていた方などが、お知らせを聞いて遊びにきてくれました。「なつかしい〜!」「面影あるね!」「運転席は昔のまんまだね」とみなさんバスを眺めて目を細めていらっしゃいました。

かつていなにわ号を運転していたという職員さん。懐かしそうに車内を覗き込んでいました

その後、浄法寺カシオペアセンターで図書室の職員さんといなにわ号が再会。当時の写真なども見せていただき、いろいろな思い出話を聞かせてもらいました。

図書室のある浄法寺カシオペアセンターの館長さんに当時の話を伺いました

続いて、岩手県紫波町へ。じつはこちらも、急きょ決まった出店です。湯沢のイベントの際、地元の図書館の司書さんに「ぜひきてほしいと言っている司書さんがいる」とご紹介いただいたのが、紫波町図書館でした。地理的にもちょうど次の目的地へ向かう通り道、スケジュールを調整すればぎりぎり行けそう! とのことで、短い時間ですが、急きょ出店させていただくことに。

とはいえ、あまりにも急な話。もちろん宣伝もしていないし、お客さんもほとんどいないだろうと誰もが気楽な気持ちでいました。しかし、紫波町図書館のある複合施設「オガール紫波」に到着すると、大人も子どもも、芝生の広場の前で手を振っているのです。正直、あまりの歓迎っぷりにびっくりしてしまいました。司書の手塚美希さんが、図書館の利用者や広場の子どもたちに声をかけて待っていてくれたのでした。

黒板のようになっている車体はさっそくお絵描きスペースに

ぜひきてほしい! と熱烈ラブコールをくれた司書の手塚美希さん(左)

手塚さん 老若男女が何の垣根もなくバスに駆け寄っていって、図書館にきても本を借りたことのない子が、そこで本を読んでいる。私たちが図書館でやりたいことがブックバスひとつで全部できていて、すばらしいと思いました。またぜひ紫波町にゆっくりきてほしいです。

旅も終盤、連日30度以上の暑さが続いていたこともあって少々疲れ気味だったスタッフも、その歓迎の様子を見て疲れが吹っ飛び、すっかり元気に。結局、予定を延長して、日没ギリギリまで出店させてもらったほどでした。


6月6日 岩手県陸前高田市「陸前高田市立図書館前」〜「産直はまなす」〜「栃ケ沢団地」

いよいよブックバスの旅も最終日。この日は、陸前高田市内の3箇所を巡ります。

本を通じて社会を良くするさまざまな活動に取り組んでいるバリューブックスですが、そのなかのひとつに「チャリボン」という寄付プログラムがあります。

通常の買取りでは、読み終わった本を送ってもらい、査定をして買取額をお客様に支払います。チャリボンの場合は、本を「寄付」という形で送っていただき、この買取額相当の金額を、社会的な課題に取り組んでいるNPOやNGOの支援に使わせてもらうのです。

バリューブックスは商品となる本が手に入るうえ、支払先がお客様か寄付先かの違いだけで支払う額は同じなので、持続可能な形で寄付を続けることができます。これまでの寄付総額は、なんと4億円以上というから驚きます。

この仕組みを使って、東日本大震災後、陸前高田市立図書館の再建を支援する「陸前高田市立図書館ゆめプロジェクト」が立ち上がりました。震災後、陸前高田市には日本全国から再建に役立ててほしいと、たくさんの本が送られてきました。しかし、職員のみなさんも津波で亡くなっており、建物もなく、すぐに再建というわけにはいきません。寄贈された本は行くあてもないまま隅に置かれ、置き場所にも困っていました。

再建された陸前高田市立図書館

そのことを知ったバリューブックスは、チャリボンの仕組みを使ってこれらの本を買い取り、買取金額相当を、図書館の再建へと寄付したのです。このプロジェクトは現在も続いていて、これまでにのべ四千四百万円が寄付され、再建後も、図書購入費などに充てられています。

今回はそのプロジェクトの報告も兼ねた訪問でした。ブックバススタッフに加え、寄付事業の担当者なども合流。スタッフ側も一気に賑やかに。

陸前高田市立図書館のゆめプロジェクト担当の本多暁子さん(左中)、司書の元木香代さん(右中)、バリューブックスの寄付事業担当・成澤健司さん(左)と廣瀬聡さん(右)

最初の出店場所「陸前高田市立図書館」があるのは、まちの中心地となる予定の商業施設「アバッセたかた」の一角です。施設にはスーパーや書店、カフェなどが入っています。しかしひとたび目線を移すと、周囲のほとんどはまだ更地。重機があちこちで動いていて、道路はダンプやトラックがひっきりなしに行き交っています。

上空からアバッセたかた周辺を見るとこんな感じ。中央がアバッセたかたと図書館、右下に公園やいくつかの建物が見えますが、そのほかはまだほとんど更地の状態です(撮影・上田謙太郎)

陸前高田市立図書館の司書・元木さんによると、ここは震災後、10メートルの土地のかさ上げを行い、2017年にようやく商業施設と図書館がオープンしたばかりなのだそう。今年は運動施設ができ、市役所は来年度にようやく完成する予定。つまり実際の復興は、昨年あたりから、ようやく始まったばかりなのです。

「この商業施設ができるまでは、建物も街灯もなくて、夜は何も見えないぐらい真っ暗だった」
「うちがあったところがこの辺一帯の最後のかさ上げ地で、ようやく整地が終わったっていうから、どうなったか見にきたんだ」

買い物帰りの男性から、こともなげにそんな言葉が聞こえてきます。関東にいると、復興はかなり進んでいるかのように感じます。しかし、実際はまだ始まったばかり。現地に行って話を聞き、ようやくそのことを実感できたように思います。

産直はまなすでは、前日のイベントで使っていたというステージをそのまま本売り場に。わざわざ隣町から足を運んでくださった方も

その後、ブックバスは産直はまなすと栃ケ沢団地へ。最後の栃ケ沢団地では、広い駐車場の一角をお借りしました。人気のない駐車場。平日ということもあり、果たして人がくるのだろうか、そんなことを思いながら準備をしていると、あちこちの階段から、続々と人が降りてきました。

復興住宅として建てられた、まだ新しい栃ケ沢団地

あっというまに人だかりに!

「ねぇ、カラオケの本はないの?」「手芸の本は?」「なぞなぞの本がほしいんだけど」と、ほしい本のリクエストを次から次へといただきました。「リクエストに応えるためにも、これはもう1度こないといけないね」とブックバススタッフ。みなさんの生き生きした表情に、たちまちパワーをもらいました。

ブックギフト担当の中村聖徳さん(左)とブックバス担当の市川健吾さん(右)。長野県上田市から、冷房の効かないブックバスを交代で運転し、出店のたびに重たい本と格闘。端から見ていてもかなりの重労働で大変そうでしたが「大変だけど、その分楽しかったです!」と笑顔。お疲れさまでした!

ブックギフト担当の中村聖徳さんは、1週間の旅をこう振り返ります。

中村さん ブックバスは非現実的な空間が魅力だと思います。バスの中に本があって、普段じゃ味わえないような環境で本を探せる。それだけでテーマパークみたいで、本という世界に入るためのきっかけとしてすごくいいものだなと、今回のツアーを通じて改めて思いました。

僕は特に子どもたちの顔を思い出します。どこにいっても、子どもたちはいい表情をしていて、好きな本を探してお母さんのところに走っていく。みんな、じつは本が好きなんだと、本当に感じました。

なぜ「ブックバス」はみんなの表情を生き生きさせるのか?

最後にみんなで記念撮影

バリューブックスは、オンラインで古書を販売して収益を得ています。一方で近年は、長野県上田市の「BOOKS & CAFE NABO」や「ブックバス」など、リアルで本を手にとってもらう場づくりも始めました。収益規模を考えれば、リアル店舗の展開はやらなくてもいいはずです。

それでもなぜ、バリューブックスはリアルな場づくりに取り組むのでしょうか。これまでもその思いについてはいろいろ伺ってきましたが「つまりこういうことだ」というその答えを、このツアーでは見ることができたように思います。

この記事に掲載した写真を見ても伝わるのではないでしょうか。ブックバスにやってくる人たちは、世代も地域も関係なく、とにかくみんな目がキラキラと輝いて、本当に楽しそうだったのです。

きてくれたのは、別にものすごく本が好き、という人たちだけではありませんでした。たまたま居合わせた人、とりあえずなんか面白そうだから来てみたという人、ブックバスの見た目につられて覗きにきた人、いろいろな人がいました。しかし本棚を前にしているうちに、不思議とみんな、生き生きしてきます。

本の魅力ってなんだろう。
本離れって言われているけど、本当だろうか。
なぜ、ネットで本が買える時代でも、無書店地域に本を届ける必要があるんだろう。

きっと本というのは、そこに付随するすべての体験が人生のひとときを豊かにしてくれるものなのではないでしょうか。そしてブックバスは、そんな、本を媒介にした体験を届けることができる「乗り物」なのだと思います。

興味のある方は、ぜひバリューブックスまでお問い合わせください。かわいいバスが、いっぱいの本を乗せて、あなたのまちにもやってきてくれるかもしれません。

ブックバス東北ツアー・ドキュメンタリー
『BOOK BUSは本を届ける旅に出る』

(写真:袴田和彦)