突然ですが、みなさんは大雨が降って洪水が起きたらどうしますか?
災害の中でも、洪水はなかなか被害が予想しづらく、「突然自宅周辺が洪水してしまったときにどうしたらいいのだろう…」と思ったことがある方もいるかもしれません。
そこで今日は、洪水で溢れかえった水を吸収する、まるで魔法のようなコンクリート「Topmix Permeable」を紹介したいと思います。
「Topmix Permeable」を開発したのは、イギリスの建築材料を取り扱う「Tarmac」という会社。彼らは、豪雨などで大量に溢れた水をまるで魔法のように吸収することができるコンクリートを開発したのです。とはいえ、文字で説明してもなかなかわかりづらいと思うので、どんな仕組みになっているのか映像を見てみましょう。
こちらは「Topmix permeable」が実際にどれだけ水を吸収するのか試しているビデオなのですが、1分間の間に4000リットルの水を流し、コンクリートに吸収されていく様子が描かれています。
通常道路を舗装するときには、大きい砕石(天然の岩石を人工的に砕いたもの)も小さい砕石も混ぜて舗装しているそうなのですが、この「Topmix Permeable」は、小さいものや砂利を取り除いてつくっているそう。そういった砂利を除くことで、道路の通水性が良くなり、大量の水を吸収することができるのだそうです。
そして、このコンクリートは層になっていて、一番上の層に通常の土壌の表面と同じ素材を使うことで、さらに水はけがよくなるのだとか。
それにしてもなぜ、このような画期的なコンクリートがつくられることになったのでしょうか。
実はイギリスでは2007年に大洪水が発生し、57000戸の家が被害を受けたのだそう。その原因は氾濫した川ではなく、大雨をコンクリートが吸収できなかったからだそうで、「より多くの雨を吸収できるコンクリートを開発しよう!」と生まれたのが「Topmix permeable」でした。
もともと水を吸収する材料のアイデアは、およそ60年前から排水を助けるものとして、舗装の下層の方では使われていたそうなのですが、このように表面で使われるのは初めてなのだとか。
Tarmacの営業部長Richard Stares(以下、リチャードさん)は、こう語ります。
この製品はイギリスで過去に起こった洪水に対処するのに、十分な量の数倍の吸収力があると思います。ですが、価格は市場に出回っている他のコンクリートと同じくらいに抑えることにも成功しました。
すでにイギリスでは車への耐久テストなどもクリアして、駐車場を含むいくつかの事業で実用化されているそうで、その他にもテニスコートやプールサイド、歩道などでも使用できるとのこと。まだイギリス国外では実用化されていないようですが、Tarmacは海外進出にも意欲的な様子。
「この技術を世界の他の地域にも届けることができたら理想だと考えています。もうちょっと先になりそうですが。」と語るリチャードさん。
すでに街に舗装されているコンクリートを変えるということは、なかなか実行に移すのが難しいかもしれません。しかし例えば、大雨に悩まされていて、かつ道路の舗装が十分ではない国が新規導入することができれば、災害を防ぐことができるだけではなく、インフラ整備にもつながるのではないでしょうか。
これを機にみなさんも世界でどんな災害が起きているのか、そしてそれを解決するのにはどんなアイデアがあるのか、考えてみませんか?
「水を吸収できるコンクリート」のような魔法なアイデアでも、具体的に想像することが実現への大きな一歩になります。みなさんも、魔法のようなものであっても、「こんなことって実現できるのかな?」と考え共有するところから始めてみましょう。
[Via Citylab, Tarmac, Smithsonian.com, Dailymail.com, Thinkprogress]