みなさんは、最近どこで映画を観ましたか? 最近では、ネット配信で観ることもできるようになり、ちょっとした空き時間にスマートフォンやタブレットで楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。
このように一人で気軽に映画が楽しめるようになった一方で、大画面で楽しめる映画館ならではの迫力や、観終わった後に友だちと感想を話す時間も楽しみの一つですよね。
もっと気軽に、人が集まって映画を観て共有する体験をつくれたら… そう思い立ったサンフランシスコの建築・デザイン会社「envelope A+D.」は、映画を通して“対話を生む“ことができる屋外シアター「Walk in Movie Theater」を立ち上げました。
「Walk in Movie Theater」は、サンフランシスコのHayes Valleyという地域に屋外映画館をつくろうと、現在Kickstarterでクラウドファンディングに取り組んでいます。
そのビジョンは、気軽に立ち寄れ、当たり前のように地域の人々同士が会話を楽しめる”街のリビング”をつくり、完全無料で展開すること。
「Walk in Movie Theater」が実現した暁には、「PROXY Fall Film Festival」という映画祭の開催を予定しており、全世界注目のアートイベントであるSXSWや映画通が注目するインディペンデント映画の祭典、サンダンス映画祭からのベストセレクションを上映するそう。
その他にも常時プログラムとしては、地元の映画界の重鎮プロデューサーたちと協力し、選りすぐりのインディペンデント系映画を集めて上映予定だといいます。
ふらっと立ち寄れば、これまで観たことも聞いたこともなかった映画と偶然出会ったり、地元に根付いた映画を見ることによって、友だち同士はもちろん初対面の人とも、自然に会話が弾みそうですね。
Walk in Movie Theaterの構想図
一方「Walk in Movie Theater」には、映画ファンでなくても、楽しめる要素がたくさん! 予定地周辺には、アイスクリーム店やカフェ、ビアガーデン、レンタル自転車など、サンフランシスコの魅力が存分に楽しめるお店が勢揃い。地元の人にも観光客にも、エリア一帯がついつい足を伸ばしたくなる場所になりそうです。
ZAGATが選ぶベイエリアでホットなアイスクリーム店ベスト2となったSmitten Ice Cream
本格的なドイツビールが楽しめるBiergarten
おしゃれなお店ばかりで見逃せないエリアです
高速道路近くの騒音地域から街と人とをつなぐ場所へ
建設予定地のHays Valleyは、高速道路の騒音がひどく住環境が悪かったので、あまり人が集まりにくい場所と言われています。1989年に発生したロマ・プリータ地震をきっかけに高速道路はなくなりましたが、その後は寒々しい空地だけが残り、長いあいだ開発も行われてきませんでした。
「envelope A+D」は2011年にサンフランシスコ市の要請を受けて以降、単に建物という”箱”をつくるのではなく、”街”と”街に住む人”のつながりを生み出す建築をすすめてきました。「Walk in Movie Theater」に込めた思いについて、「envelope A+D」創設者のDouglas Burnhamさんは、こう語ります。
屋外で映画を見ながら、地域の人たちと一緒に笑って、固唾をのんで、ひやひやする。そんな時間を共有することで、街というつかみきれないくらい大きなつながりを感じ、地域の人との距離を縮めてほしいんです。
Douglas Burnhamさん
「Walk in Movie Theater」が実現すれば、街に住む人々共通の居場所ができ、さらに「街」との強いつながりをつくる兆しとなりそうですね。また、住民とともに街を発展させていくことで、彼らに「一人一人の街を変えようという思いが、やがて変化を生み出す」ということを教えてくれそうです。
多様なバックグラウンドや考えを持った人が多く暮らすサンフランシスコ。「屋外で映画を見る」というちょっとしたきっかけで、人々が街とのつながりをより感じられるようになったらいいですね。
[via Kickstarter,envelop A+D]
(Text: 笹澤つかさ)