突然ですが、みなさんはピザに対してどんなイメージを持っていますか?
もしかしたら「ジャンクなファストフードかな」と考える方も、最近増えている手づくりの焼きたてピザを食べられるレストランを思い浮かべる方もいるかもしれません。
「だったら焼きたてのピザがファストに食べられれば一番いいのに」と思う方はいらっしゃいませんか?
今回ご紹介するのはそんな期待に応えてくれる「Timber Pizza」。創業者は、とにかくピザが大好きなAndrew Dana(以下、アンドリューさん)と、Chris Brady(以下、クリスさん)。
ふたりは「素材からこだわった、おいしいピザを食べてもらいたい!」というピザへの情熱から、生まれ育ったアメリカ・ワシントンD.C.でなんとピザ釜トラックでの“窯ごとデリバリー”をはじめてしまったんです!
ピザ釜の下にはタイヤ。トラックでひっぱって窯ごとデリバリー
薪はオークとアップルウッドを使用。オークだけでも焼けるが、アップルウッドも混ぜるとさらにいい香りに。ピザは90秒で焼け、2時間で200人分を提供できる
ピザ釜トラックはファーマーズマーケットにも登場。ピザは土に還る、紙食器で提供
「Timber Pizza」は本格的な石釜と薪を持ち運ぶことで、どこでもおいしくピザを焼きあげることができます。その機動性を活かしたコラボレーションが、おいしいピザの秘訣になっているのです。
たとえば、ピザ釜とともにアンドリューさんとクリスさんのふたりがファーマーズマーケットに移動して農家とコラボすることで、新鮮でおいしいトッピングを提供することを実現しています。
お客さんが出店農家から買ったばかりの野菜も、その場でカスタム・トッピング
ピザ生地はオリジナル。00粉(イタリアの基準で挽き目が最も細かいタイプの小麦粉)とレギュラーの小麦粉を同量ずつ混ぜることで、食感はパリパリに
「Timber Pizza」は生地とソースのプロに徹する
またあるときは、ジェラートショップとのコラボを実現。「Dolcezza」というジェラートショップとのこのコラボイベントでは、地域のデリショップなどともコラボして5つのコース料理を提供。デザートがつくられる場所に窯ごと出向くことで、デザートとピザがお互いを引き立てるピザのコース・ディナーをつくりだしたそうです。
バーベキューハウスからは、バーベキューポークをトッピングに。デリカフェからは自家製スモークサーモンを。そしてインド料理店からはマンゴーチキンを、というようにそれぞれのコラボピザをつくったのだとか。
そして、ピザに合う飲み物といえばビール! ということで、地ビールメーカーとのコラボをも実現し、それぞれのピザに地域のビールをペアリングしたこともありました。
コースメニューには「ワシントンD.C.のベスト:ぼくらが大好きなレストランのショーケース」という名前がつけられた
コラボイベントは「Dolcezza」のジェラート工場内のスペースで開催。「Dolcezza」もまた素材や生産者との関係を大切にしているそう。
「Dolcezza」とのコラボで生まれた“窯焼きピニャコラーダ”
食材のもとへシェフが移動する
アンドリューさんとクリスさんは、元はテクノロジー系の企業の同僚でした。ふたりともかなりのピザ好きということで意気投合し、次第にピザの道を突き進もうと話すように。そして、ついにピザ生地とソースのプロになることを決めたのです。
アンドリューさんとクリスさん。ふたりともバスケ好き。でもピザはもっと好き!
その後ふたりはピザづくりの修行に挑み、とうとう「Timber Pizza」をオープン。そして、より新鮮なトッピングを実現し、多くの人々に気軽に焼きたてのピザを届けるために、自分たちが窯ごと移動するアイデアを思いついたのです。
アンドリューさん みんなを巻き込みたくて、テスト販売も路上でやったんだよ。ピザを焼きながら歩いている人を呼び止めてね。ファーマーズマーケットでピザを焼くなんてたぶん、ぼくたちくらいだよね。
とアンドリューさんはいいます。
ふたりが向かう先は、今回ご紹介したほかにもワイナリーなどさまざま。「おいしいピザを提供するためには、新鮮な食材を使いたい!」と追求した結果、食材がシェフのもとに届くのではなく、食材のもとへシェフが移動することになったのです。
ミニマムだけど重要な機能に徹し、身軽になることで新しいコラボをつくりだすアンドリューさんとクリスさん。きっとふたりは、今日も自分たちの町でこだわりのピザをふるまっていることでしょう。
[via Timber Pizza, Dolcezza, Washinton Post]