Photo: magneticNorth
みなさんには、自分だけの憩いの場所がありますか?
自宅のお気に入りのソファでくつろいだり、音楽の流れるカフェで読書を楽しんだりするのが好きだという人もいれば、天気の良い日に緑に囲まれた空間でゆっくりしたいという人もいるかもしれません。
でも、都会で暮らしている人の中には、ガーデニングを楽しもうにも手間をかける余裕が無く、街中の公園ではなんとなく落ち着けないという人もいるのではないでしょうか?
今回は、イギリスのデザイン企業がそんな人々に向けて、新しいガーデニングのスタイルとして提案したパイロットプロジェクト「Plot」をご紹介します。
Photo: magneticNorth
Plotを考案したのは、北部イングランドに位置するイギリス有数の都市マンチェスターに拠点を置くクリエイティブチーム「magneticNorth」。英国放送協会(BBC)やGoogle、マンチェスター市などをクライアントに抱え、デジタル技術を用いた課題解決に取り組んでいる企業です。
せめて暑い夏の間だけでも、自然の中で涼んで安らげるような空間が欲しい。それも、人混みやメンテナンスに煩わされることのない空間を。
そんなちょっと欲張りな都会の人々の思いに応えようと、彼らはマンチェスター市のシンボルの一つである複合施設「Barton Arcade」の屋上に、オンデマンドで利用できるガーデンスペースを出現させました。
自分だけのひとときを、Barton Arcade屋上の開放的な空間で。(Photo: magneticNorth)
歴史的な建造物の多いマンチェスター市の景色を一望できるこの屋上庭園は、実は通常一般公開されていないエリア。ここに、ラベンダーやデリアなど多種多様な植物の鉢植えに加え、ソファやベンチ、さらにはWi-fiと電源設備が整えられました。
“テクノロジー×ガーデニング”をモットーに掲げるmagneticNorthが仕掛けたのは、それだけではありません。
ひとつひとつの鉢植えに、土の渇き具合を感知して水やりのタイミングを知らせてくれるセンサーを設置したほか、壁面のスクリーンに現在の気温や気象予報を表示することで、ちょっぴりクリエイティブなガーデニングを、利用者がささやかに楽しめるようにしたのです。
水やりが必要なタイミングになると、ランプが光って知らせてくれます。(Photo: magneticNorth)
予約は公式サイトから、利用したい日時のタイムスロットを選択。(Photo: magneticNorth)
Plotは、マンチェスター市内で毎年8月上旬に開催され、約100万人が訪れるガーデニングの祭典「Dig the City」の今年の目玉企画のひとつとしてリリースされました。
公式サイトを通じて時間単位で予約すれば、同時に最大30人まで無料で利用できるとあって、反響は上々。
アフターヌーンティーを楽しみたいグループのパーティ会場になったり、地元のビジネスマンが午前中のノマドワークに勤しむ場所になったり、ヨガのレクリエーションスペースになったりと、利用者によって使い方は様々なようです。
“StartupYoga”と題されたヨガには、マンチェスターで働くエンジニアやプログラマーが参加。(Photo: TechHub Manchester)
「必要なモノやサービスを何でも購入して所有する時代が変わりつつある」と人々の消費行動の変化を分析する「magneticNorth」のCEO、Lou Cordwellさんは次のように話しています。
オンデマンドで視聴するテレビ番組や音楽と同じように、外の空間を自分に必要なときだけガーデンスペースとして楽しめるようにするサービスをつくりたい、というアイデアがカタチになりました。
晴れた日には外に出たい、たまには自分だけの空間で気ままに過ごしたい、そう思うのは自然なことです。この空間をみなさんがどのように利用するのか、楽しみですね。
Dig the Cityの会期は終了しましたが、今後も「Plot」を利用した取り組みを展開予定とのことで、ひきつづき注目したいですね。
Plotが提案したオンデマンドのプライベートガーデンのように、自分の必要なときに、必要な分だけ楽しみたいモノやサービスのアイデア、みなさんのまわりにも眠っていませんか?
[via: Plot, magneticNorth]