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お寺をみんなの学びの場に!お寺を舞台に人と人の出会いを紡ぐ「まちのお寺の学校ナビ」

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みなさんは、どんな時にお寺に行きますか?

現在、全国には約75,000のお寺があると言われています。「駆け込み寺」という言葉があるように、お寺はかつて、地域の人にとって困りごとがある時に頼れるような、身近な場所でした。今回ご紹介するのは、そんなお寺と人をつなぐウェブサイト「まちのお寺の学校ナビ」です。

仏教のエッセンスを取り入れた講座で、気軽に仏教文化に触れる

「まちのお寺の学校」とは、お寺を舞台に学びたい人と教えたい人が集い、講座での学びを通じて、地域のコミュニティを醸成する取り組みです。お寺は古来、地域の人々が集い、ココロを調える場所でした。そんなお寺を、もっと人々にとって身近で温かい場所にすることで”ひと”や”まち”を元気にしようと、市民とお寺が協働してこの取り組みが始まりました。

「まちのお寺の学校ナビ」では、このような理念に共感したお寺をひとつの”学校”として紹介し、お寺が主催する講座を紹介しています。現在、首都圏を中心に13のお寺と、ヨガや写経など17種類の講座が掲載されています。

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まちのお寺の学校ナビ http://www.machitera.net/

講座の内容は4つのカテゴリに分かれています。心身のバランスを調える「ココロとカラダ」、日本の伝統文化や自然に触れることのできる「自然と伝統」、寺シネマなどの「遊びとアート」、生け花などふだんの暮らしを彩る「まちと暮らし」です。

講座には仏教の要素が取り入れられており、気軽にお寺や仏教の考え方に触れられるのが大きな魅力。例えば、書道の講座では「ほとけの言葉と書の時間〜書道で楽しむ、仏教の教え〜」と題し、仏教上大切にされている言葉を書きます。難しそうな仏教の教えも、手を動かして学ぶと、より心に染み込みそうですね。

また、「しなやか日舞〜にっぽんの所作を日本舞踊で学ぶ〜」の講座では、日本舞踊を通じて、日本の所作を学ぶことができます。

人と人が出会うコミュニティのハブとしての「お寺の学校」

「まちのお寺の学校ナビ」を運営する松村さんと堀内さんは、百人組という映像制作会社で企業のプロモーションの仕事をしています。その中で伝統仏教宗派のポータルサイトの運営や仏教を伝える映像制作の仕事があり、仏教について勉強していくうちにその面白さを感じるようになったそう。

宗教というと、何かをお祈りして自分のお願いを叶えてもらうようなイメージを描きがちですが、仏教には自分の足で地に足をつけて自律的に生きていきなさい、その上で他者や社会との調和を大切にしなさい」という考え方があるように感じました。

想像以上に、現代にもマッチしていてすごく面白いと思ったんですよね。(松村さん)

また、複数の活動的なお坊さんにお寺の現状について聞くと、「お寺がどんな場所でありたいか」という理想像には共通性があったといいます。それは、「お寺を地域のコミュニティのハブにしたい」ということ。ただ、なかなか実際に活動を形にできていないのが課題でした。

そこで、このような考えをもつお寺を応援していくために始めたのが「寺子屋ブッダ」というプロジェクト。前述の理念を掲げ、2010年10月にウェブサイトをオープンし、お寺が主催するイベント情報を掲載するとともに、講座運営のノウハウをお寺に提供しています。

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寺子屋ブッダ http://www.tera-buddha.net/

また、松村さんは仏教に関心にある人の声をお坊さんに届けたいという思いもあったといいます。

お坊さんに話を聞くと、仏教離れや寺離れということを言われるんですが、一方で、一般の人の仏教への関心は高まっていると私は感じています。私自身やスタッフも仏教について勉強して面白いと思ったし、仏像に魅力を感じる人が増えたり、雑誌などでも仏教について取り上げられることが多くなっています。

そういう一般の人の声をお坊さんやお寺に届けていく必要があると思いました。ですので、お坊さんだけがこの取り組みをやるのではなく、いろんな職業の人と一緒にやることに意義があると考えています。(松村さん)

寺子屋ブッダでは、当初、若いお坊さんがやりたいことに対して問題解決をはかっていました。例えばヨガをやりたいという要望があれば、ヨガの先生を紹介するといった具合に。

最初に参加した妙福寺(千葉県南房総市)は、地域に若い人が少なく、若い人にお寺に来てほしいという要望がありました。そこで、寺ヨガのイベントを企画し、サイトを通じて東京近郊に住むヨガ好きの人たちに向けて広報をし、お寺に連れていったそう。参加者にとっても新鮮な体験となったようです。

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その後、寺シネマ、寺市(文化祭)、仏教講座などいろいろなことをやってきてイベントとしては一つ一つ成功していました。しかし、イベントだと単発で終わり、参加者も解散してしまいます。もっとお寺のサードプレイス(家庭でも職場でもない、第3の自分の居場所。ありのままの自分を出せる居心地の良い場所)としての価値を社会の中で活用していきたい、という考えから生まれたのが「まちのお寺の学校ナビ」でした。

街角にあるお寺を学校にしていこうという活動にシフトチェンジし、「まちのお寺の学校ナビ」ではそれぞれのお寺が開催する講座の情報を、「お寺の学校」の中で行われている講座の一つとして紹介し、統合しました。学校という枠の中で講座を見せることで、通って学び続けるというイメージをもってもらうことがねらいです。

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お寺の学校の校長先生はそのお寺の住職か副住職が務めます。講座を行う講師はまちのお寺の学校が認定した講師、もしくはそれぞれのお寺で既に講座を実施している信頼関係のある講師です。生徒はあらゆる世代の人。お寺と市民が協力しながら活動していく「まちのみんなの学校」です。

寺子屋ブッダはお寺に対して、運営のための情報発信ツールやノウハウを提供します。前述の「まちのお寺の学校ナビ」のそれぞれのお寺のページ、サイト全体の運営をするとともに、イベント運営のノウハウやルールなどを提供します。

また、まちのお寺の学校に参加するお寺同士のネットワークを構築するという役割も。それぞれのお寺がもつ情報や、ポスターやチラシなどの制作物をネットワーク全体で共有します。これらのプラットフォームの利用は無料。代わりに、お寺には月に4回は場所を提供してイベントを開催してもらうというルールになっています。この仕組みでお寺の経済的な負担を減らすとともに、活動を持続可能なものにします。

過疎のまちにもウェブサイトを通じて新しい人がやってくる

まちのお寺の学校に参加するお寺のひとつ、妙海寺校(千葉県勝浦市)で行われるヨガ教室は、毎回約30人が参加するほどの人気講座になりました。お釈迦様の前で瞑想するという行為が心を調えるのにいい効果をもたらすようです。

妙海寺のある勝浦市は若者が少ない、過疎のまちといわれています。以前からこのような活動はしていましたが、ウェブサイトを通じて広く活動が知られるようになり、新しい人もやってくるようになったと、副住職の佐々木教道さんはいいます。

個々で活動をしていても、地域の人に情報を伝えるので精一杯でした。でもウェブサイトがあることで活動が広く知られ、着実に誰かに届いていく。縁が広がって、新しい人が勝浦に来てくれるのは嬉しいですし、やりがいもあります。

また、まちのお寺の学校と一緒に活動をやることで深みが増して、クオリティがあがりました。一緒に活動について考えてくれる人がいるのは心強いです。活動を「面白い」と言ってくれ、協力してくれる人がいるとモチベーションもあがります。(佐々木さん)

12月には「勝浦ミラクル人会議」という勝浦のまちづくりについて考えるイベントも行われました。全国のまちづくりの事例を通じて「まちづくりとは何か?」を学び、ワークショップを開催しました。ここから新たなコミュニティが生まれ、どのような勝浦の活動が展開されていくのか楽しみです。

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勝浦ミラクル人会議でのワークショップのようす

「まちのお寺の学校」では、今年の4月頃までには20ヶ寺の参加を目指していくとのこと。まちのお寺の学校を通じてお坊さんとまちの人、さらに新しくその地域に来る人が出会ってコミュニティがつくられ、お寺がより開かれた場所になっていくことに期待したいですね。