10月11日は「国際ガールズ・デー」。この日は、世界の女の子のおかれている状況に関心を持ち、女の子の人権を尊重する世の中を作っていくことを目的として、国連が新たに制定した国際デーです。
世界には、男きょうだいは学校に行かせてもらえるのに仕事をしなくてはいけなかったり、若いうちに結婚させられたり、暴力や性的嫌がらせの被害にあいやすかったりと、性別のみを理由としてつらく厳しい状況に置かれている女の子たちが、数多く存在します。
そんな、世界中の女の子の未来を明るくするための日に、ガールズ・デーの認知度を上げることを目的として、ガールズパワーが炸裂するイベントが開かれました。主催はエシカル&フェアトレードライフスタイルを提案するブランド「VEGANIE(以降ヴィーガニー)」。世界の女の子が生きていく力を身につけることを目的とした活動を行なう国際NGOプランジャパンの「Because I am a Girlキャンペーン」に賛同するエシカルファッションブランドとタッグを組んで行なわれました。
トークセッション「世界と日本の、ガールズパワー」
登壇したのは、「R ethical jewelry(以降アール・エシカルジュエリー)」の代表である星まりさんと、「Feliz(以降フェリーズ)」の代表の柿本可奈子さん、プランジャパンが展開する、女性であるがために様々な困難に直面する途上国の女の子たちの問題を訴え、彼女たちが「生きていく力」を身に付けることを目指す「Because I am a Girl」キャンペーン のコピーライターこやま淳子さんと「ヴィーガニー」のディレクター竹迫千晶さんの4人。
ガールズの世界は一つのサイクルでつながっている!
竹迫さんからは、なぜガールズ・デーにエシカルファッションのブランドがトークセッションを行なうのか、説明がありました。
ヴィーガニー竹迫千晶さん
竹迫さん 自分の人生を自由に選択できることすら知らない世界の女の子と私達は、経済でつながっています。私達が安いと言って買う低価格な商品の背景に、不公平な賃金体系に苦しむ原材料生産者や、児童労働や不公平で道徳的でない労働環境で働く生産者がいます。
消費者がエシカルファッションを購入すれば、不公平な労働が減るために生活水準が上がり、子どもに教育を受けさせる余裕が生まれます。女の子にも教育が行き届くようになれば、女性の社会参加率が上がって女の子のエンパワーメントにつながるのです。
世界のガールズの置かれている現状は?
続いて、こやまさんから世界の女の子の現状の説明がありました。
「Because I am a Girl」キャンペーンのコピーライターこやま淳子さん
こやまさん 世界の統計をみると、女の子は5歳まで生き延びることすら、男の子よりも難しいのです。中絶の対象になりやすかったり、病気でも治療を受けさせてもらえなかったり。女の子は仕事につけないからと学校に行かせてもらえず、15歳未満という早すぎる結婚をさせられることとも多々あります。
10代前半での妊娠で流産して体を壊したり、死んでしまったりすることも多く、収入がないから家庭内でも発言権がありません。また、教育を受けていないから知識がなく、HIVに感染してしまうこともあります。
女の子が初等教育を5年間受けると、将来生む子どもが5歳まで生き延びる確率が40%もあがります。ケニアでは、女性が男性と同レベルの教育を受けた場合、収穫高が22%も向上したと言うデータもあります。
ガーナの教育者J.E.クウェーギル博士は「男性への教育とは、一個人を教育することだが、女性への教育は、一家族を教育すること」と言いました。女の子の生きる環境を改善するために必要なのは、女の子への教育なのです。
日本のガールズたちの取り組み
こうった世界の女の子に対して、日本の女の子たちはどういった行動をとっているのでしょうか。
アール・エシカルジュエリーの星まりさん
アール・エシカルジュエリーの星まりさんは国際フェアトレードラベル機構で認証されたゴールドを買い付けたり、ピンキーリングの売り上げ15%をプランジャパンに寄付したりすることで、支援をしています。
星さん ジュエリーは、生きていくのに必要はありません。そういうものだからこそ、世界の貧困を考えたいと思っています。
フェリーズの柿本可奈子さん
フェリーズの柿本さんは、フィリピン・パヤタスのスラムに暮らすお母さんたちにアクセサリー製作の方法を指導し、デザインを提供し、商品を製作してもらって販売しています。
柿本さん 寄付をするのではなく、仕事を提供することで女性の雇用を増やし、女性の子どもたちが幸せに暮らせるようにしたいと思っています。
ヴィーガニーの竹迫さんは、2013年に事業を開始。エシカルファッションブランドの買い付けを行なったり、エシカルファッションブランドとタイアップしてインドの貧困地域で商品を作ったり、ということを計画しているそう。
竹迫さんは「エシカルを、メインストリームへ。メインストリームを、エシカルへ」と語り、それぞれの企業が比較される対象として存在するのではなく、一緒にコラボレーションしながら世の中を変えていかなくてはならないと話しました。
竹迫さん ビジネスから生まれる利益は金銭的なものだけではありません。社会的利益も、長期的な目で利益換算をすれば企業の財産となることを、大手企業に理解してもらい、共同事業を呼びかけたいと思っています。
ガールズたちの展示販売
会場では、登壇者以外にも多数のエシカルファッションブランドが出品。エチオピアで集められたビニール製の牛乳パックを再利用したイタリア製のバックを販売する「ブラゲッタローズ」はバックに加えて、ドライフラワーや生花を販売。「H&L plantation(長野県富士見町)」「S.フラワーズ(長野県原村)」の房が均一でなかったり、花芽が大きすぎたりといった理由で市場に出回らない花を販売しました。
フィリピン北部の山岳先住民族の無形文化継承を、アクセサリー販売などを通して実現していくことを提案する「EDAYA」は、新しいラインを展示。ヘアゴムなど、比較的安価なラインも特別に制作して販売を行ないました。
会場では「Beauty Bar」シェフ/ディレクターの寺脇加恵さんによる、アジア・アフリカン料理MIXのビュッフェも提供。参加者はおいしい料理に舌鼓を打ちつつ、プランジャパンの展示物を見たり、ワークショップに参加したり。売り上げの10%はプランジャパンへ寄付され、楽しくも意味深い、ガールズパワーに溢れたイベントでした。