みなさんは金融機関を選ぶとき、何を基準にしていますか?金利、家からの近さ、両親が使っていたから、会社の指定、またはCSR活動など、判断する基準はいろいろあります。ですが、こだわりをもって特定の銀行を選んでいる人は、少ないのではないでしょうか。
金融機関は私たちから預かったお金を元手に、多様な企業に投融資を行なっています。金融機関の違いはこの”投融資”を行う対象にも表れます。「農業に特化した銀行」「福祉に特化した銀行」など、投融資を行う先によって分類できたら、預金をする銀行を選びたくなりませんか?
今回は、市民が銀行選びのための情報提供を行う、オランダの「BankWiser」という取り組みをご紹介します!
銀行評価サイト「BankWiser」
BankWiserでは、利用者の関心にマッチした銀行を紹介するサービス。ウェブサイトにアクセスして銀行を選ぶ手順を追ってみましょう。まず、興味のある問題のテーマを選択します。
例えば環境問題、人権問題、気候変動、政治と税問題など、特に解決したい課題を選択します。次に、投資する産業や企業を選びます。林業、農業、製造業、石油・ガス産業、漁業など、発展して欲しい産業を選択します。
この2つを選択すると、BankWiserが設定した評価基準に沿って金融機関の得点が付けられます。得点が高いほど、利用者の関心に近い投融資を行なっている銀行であることを示しています。サイトでは、最高得点を得た銀行の口座開設ページへ利用者を誘導し、すぐ預金できるようになっています。
BankWiserは問題ごとのテーマと産業分野、評価基準を100回以上更新しており、時事問題に対応し評価基準を多様化することで、市民の目線に立った金融機関の評価を行なっています。
金融機関を選ぶことで、金融機関の方針を変える
BankWiserを利用して口座開設を行った人は、2009年1月からの3年間で、22000人にのぼります。金融機関はBankWiserで高得点を得ないと、新規顧客が見込めなくなります。金融機関は預金を確保する必要があるため、BankWiserの指標に適したCSRや投融資の方針にする必要があります。BankWiserの出現によって、市民の関心に沿って投融資を行うように金融機関が変わったのです。
BankWiserの最終目標は、社会、環境、経済的標準が常に向上する、サステナブルなお金の流れを創り出すこと。銀行間で社会的意義における競争を起こさせ、利益重視で自己壊滅的なお金の流れを、投融資すればするほど世界が良くなるお金の流れに変えようとしているのです。
日本でもNGOのA SEED JAPANが国内の金融機関にアンケートを行い、社会的事業に対してどのような取り組みを行っているかを「エコ貯金ナビ」で紹介しています。
グリーン・エコノミー国際シンポジウム
先に紹介したオランダで金融機関との対話に取り組む BankWiser International。そのPolicy Advisorである Ted van Hees氏が基調講演のスピーカーとして参加するシンポジウム、「グリーン・エコノミー国際シンポジウム」が開催されます。
これからの市民と金融機関の関係を考えるために、市民と金融機関の実際の対話の場として、ワークショップも開催されるんだとか。お金の流れや銀行の投融資に興味がある方は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか?
(Text: @ryu1023)
Twitter @ryu1023
グリーン・エコノミー国際シンポジウムについて調べてみよう。
お金のめぐり方を意識しよう!