農業情報を提供するソーシャルサービス
携帯ソーシャルサービス、ふたつめのトレンドは、情報提供をすることによって、経済的・社会的不平等を解消しようとするサービスだ。まずは、小規模農家に対して、技術や市場の情報を提供することによって、経済的な支援をする3つのサービスを紹介しよう。
Agricaltural Market Information Services (AMIS) Project in Cameroon
カメルーンのAMISプロジェクトは、農薬についての知識、市場や消費者のニーズなどの情報を携帯メールで情報提供している。また、季節によって雨で道がふさがれてフィールドワーカーが訪れるのが難しくなる地域がある時なども、携帯メールが役立っている。
Datagro in Chile
チリのDatargroも、携帯メールを通じて、小規模農民の支援やサステナブルな農業についての情報提供、国際的なマーケットの情報などを提供している。
Equobility in Kenya
そして、ケニアのEquobilityも農業情報提供型のサービスだ。ここが面白いのは、携帯電話の充電を太陽光と自転車でまかなえるようにしてあるところ。背中に太陽光発電パネルをつけて収穫していれば、同時に携帯電話の充電もされるというわけだ。
Equobility のプロジェクトについて、わかりやすく紹介されているビデオがあったので紹介しよう。
Equobilityについてのビデオ
Equobility – N2Y4 Featured Project from Sarah Tranum on Vimeo.
クールなイラスト付きで紹介されている。携帯メールで、農業のコツや市場の価格などの情報を受け取り、農作業中は、太陽電池で携帯を充電!なんてクールな農民なんだ!!
医療情報を提供するソーシャルサービス
医療情報や地域の課題解決のための情報を提供するソーシャルサービスもある。
FrontlineSMS Medic
インターネットがきていない地域の医療情報を必要としているひとたちに携帯メールを使って情報提供していくサービス。コミュニティのヘルスワーカーと病院、リソース、医療履歴などを結びつけ、診断と治療の質をあげていく仕組みだ。Frontline SMSは、実験段階のものも含め、紛争情報やマーケット情報、フェアートレード情報や旅行者向けの危険度情報など、さまざまなサービスを開発している。利用者は、各情報に地理情報とキーワードからたどることができる。
SMSOne in India
携帯メール(SNS)をベースとした無料ニュースレター。このサービスも、地域住民が社会的、文化的、政治的な問題を報告し、共有することができる仕組みで、地域のミクロメディアとなっている。
ここで紹介してきたのは、どれも情報の格差を埋めるサービス、機会の不平等を是正するサービスだ。携帯電話が、人々の生活をささえるインフラとして機能しはじめていることがよくわかる。携帯電話にこんなに応用できる可能性があるのかと思うと、ちょっと感動してしまうほどだ。
識字率が低い地域や国の場合は携帯メールが読めないという問題もあるだろうから、今後、映像や音声でサービスがはじまったりすると、さらに多くのひとたちに情報がいきとどくだろう。
案外、発展途上国で発達したサービスが、先進国で応用されるなんてことがでてくるかもしれない。すでにそういう例を知っている方がいたら、教えてほしい。
次回は、地域コミュニティの課題に取り組むためのサービスについて紹介したいと思う。
Equobilityについて調べてみよう。